
いとしの我が家
「一人暮らしをしよう!!」と思い立ってはや数ヶ月。
ようやく住むところも見つかり、入居日もほぼ決まり、準備の真っ最中である。
両親には初めは反対された。
数年間かけて貯めたお金を使ってわざわざ一人暮らしすることを良く思わなかったのだろうし、一人娘に何かあったら困るというのもあったのだと思う。
もちろん、このまま実家で暮らすというのも悪くはなかったと思う。
なにしろ楽である。朝になれば母親が起こしてくれる。起きると朝食ができている。
自分の部屋以外のことは気がつくと誰かがやってくれているのだ。
「このままじゃいけない」
そう思った。
親がいろいろ干渉してくる、というのもある。ちょっと長電話してるとすぐ怒る。たまの休日に寝ていても起こされる。口喧嘩が絶えなかった。それから逃れたい、そう思ったのも事実である。
しかし、私が引っ越す先を決めて見せると、両親は人が変わったように私の引越しに協力的になった。
頼んでもいないのにいらない食器を分けてくれる。家庭用品のセールがあると教えてくれる。
カーテンを買うのにも付き合ってくれた。
「何故私が勝手に出て行くのに、ここまでしてくれるの?」
そう聞いてみた。すると、
「何言ってんのよ、アンタが可愛いからに決まってるでしょう?」
とあっさり言われた。
私は不覚にも涙が出そうになってしまった。
きっと、これから一人暮らしをして、様々な経験をしていくことになると思う。でも私は、この言葉を忘れることはないし、時々は実家に戻って、両親に元気な顔を見せよう。そう心に誓った。
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