第16話 ある探偵の秘密
 

 動物入浴騒動がおさまってから数日後。リーダーは目安箱に、再びテツからの手紙を発見した。
『先日はありがとよ。ところで別件で、女性客から苦情が出ている。入浴中にシャッター音が聞こえて、落ち着いて入れないというのだ。隠し撮りされているんじゃないかと、みんな疑心暗鬼になってる。おいらも調べてみたが、ここ数日、リッチモンドの野郎が調査と称してカメラを持ってうろうろしてやがった。あいつが怪しいんじゃねえかと思うんだが、隊長さんよ、いっぱつ調査をお願いしたい。テツ』
 本来なら、リッチモンドに捜査を依頼するところだが、容疑者が当の本人ではそういうわけにもいかない。リーダーは、ナナミ、ビクトール、シロウを誘い、遊びに来た風を装ってリッチモンドの部屋を訪れた。
「入るよ」ノックしてすぐ、返事も待たずにドアを開けた。
「ち、散らかっているんだ。ちょっと待ってくれ」
 リッチモンドは、あわてて机の上のものをしまいだした。素早くビクトールがその手を掴み、写真を一枚取り上げた。
「へええ。ビッキーはけっこうグラマーなんだな。で、リッチモンド。この写真の山はどうしたんだい」
 やっぱり犯人はこいつだったのか。リーダーはビクの手元の写真を覗きこんだ。
『うっ、うわーっ☆』
「リーダー、鼻血、鼻血!」
 
 リッチモンドのベッドを借り、リーダーが鼻にティッシュを突っ込んで休んでいる間に、ビクトールたちが証拠の押収でもめていた。
「ビクトールさん、女性の写真は私がチェックするから。見ちゃダメッ!」
 ナナミの声だ。
「いいじゃないかよぉ」「そうだよ、減るもんじゃねえし」
 ビクトールとシロウの声も聞こえた。メンツをもっと選べばよかった。
「あなたたちは、男風呂の分をチェックしてよ。ジャンル分けされているから」
「なになに。『もんもん系』?・・・タイ・ホーやアマダ達はわかるが、なんでおいらの写真があんだよっ! おいらは彫ってなんていねえぜ。ほら、この綺麗な腕と背中、見てくれよっ!」
「シロウさん、こんなところで脱がないで!」
 しきるナナミの声も、徐々にヒステリックに変わっていく。
「なんで『デブ専』にオレの写真があるんだーっ!」
 ボルガンやホイに混じって、彼の写真もあったらしい。
「だってデブじゃねえか」
「言ったな、シロウ! オレのは筋肉だ!」
「じゃ、筋肉デブだ」
「なんだと、このヤロウ!」
「喧嘩しないでよー」と仲裁に入ったナナミだが、自分の写真が『ロリータ』にジャンル分けされているのを知って、やっぱり「きーっ!」と怒り出した。
「ユズちゃんやトモちゃんと、私のナイスバディが同じなわけーっ?」
・・・「隣に横になっていいか?」
 リッチモンドが真っ青な顔色をして、ベッドの空いたスペースに横たわった。
「頭痛がしてきたよ」と、もめている彼らを顎でしゃくった。
「写真を撮ったことより、ジャンル分けの件でみんなに突き上げをくらいそうだ」
 自業自得とはいえ、少しだけ彼に同情をするリーダーであった。

 ☆おわり☆  



「こんな奴もいたな」のシリーズ2。ただそれだけ(笑)。
ただ『妄水』は、108 星の、ゲームに出て来なかったいろんな生活(特に、闘いではなく城での普段の生活)を書きたかったので、意義としては正しいんですけど。

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