第46話 ザ・モバイル・ブラザーズ


ギルバートは、妻と子供に宛てた手紙を戦闘パーティーに託した。都市で投函してもらうために。だが、今は戦争中だ。いつ届くのか、本当に届くのかも定かではなかった。
 ギルバートはため息をつきながら、門からパーティーを見送った。
「ギルバートさん、メールって手がありますよ」
 庭のベンチに座っていたマルロが、自分のノートパソコンを開いて見せた。
「僕は、故郷のリリィちゃんとメール交換してます。彼女が字を覚えたばかりなので、市長からも頼まれてね」
「しかし、私はパソコンなど触ったこともないし。だいたい、この城にいて、どうやってパソコンを手に入れるのだ」
「その言葉を待ってましたぜ」
 手もみをしてゴードンが現れた。
「ゴードン商会に、無いものはございません。これが人気のVAIOノートだ。 i - book だってありまっせ。メールだけなら、携帯端末って手もある」
「うーむ」
 ギルバートは、かなりその気になって、マルロのパソコンの蓋を開けたりしめたりし始めた。
「使い方は、難しいのかね?」
「僕が教えてあげますよ。簡単ですから。ほら、彼らも使ってます」
 振り向くと、キャロの街に出かけたムクムク宛にメールを打つ、マクマク・ミクミク・メクメク・モクモクの4匹の姿があった。
 彼らは並んで芝生に正座し、切り株に携帯端末を置いて、カタカタとキィを打っている。
『ムムーー。ムムーー。ムムーー』
『ムゥーー』
『ムーーーーーン』
『ムーームーーー。ムーームーーー』
 決定! 決定! 決定! 決定!
「ね? 使いこなしているでしょう?」
 そうだろうかと、ギルバートは首をかしげた。

                               ☆ おわり ☆



モモンガの携帯端末のテレビCMを見ると、欲しくてたまらなくなっちゃいません? 携帯端末でなく、モモンガが。
せめてハムスターでいいから、飼いたいー。ムササビは、いらない。


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