第57話 墓を暴く者2』


 ララ・クロフトの足元を、ひんやりした風が吹き抜けて行った。背中を汗が流れてはいるが、体も頭も冷たくなっていく。
「ここはどこ?」
 ひとけの無い、廃墟となった街。朽ちかけたドア、破れた飾りの旗。窓枠が腐って落ちて来そうだった。もう何十回、この景色を見ただろう。同じ場所をぐるぐるまわっているらしいのだ。
 そう、ララは(というか、プレイヤーは)道に迷っていた。そして、おまけに、次に何をするのかもさっぱりわからなかった。
「ああ、こんな時に、『幻想水滸伝2』に出てくる、あのひとがいたら・・・」

 ひとけの無い、廃墟となった街。朽ちかけたドア、破れた飾りの旗。窓枠が腐って落ちて来そうだった。
「・・・あれは、何?」
 霧でけむる道の向こうから、ゆっくり、ゆっくり、何かがやってきた。
「あの体の位置の低さはワニ? いいえ、ワニはもっと速い」
 ララは両手で銃を構え、用心深くそれが近づくのを待った。
「はいはい、タキばあさんに何か用かえ?」
「・・・?」
「ここは、キャッスルゲートという名前さ。そうそう、バイクに付けるニトロを探しているんじゃなかったかい?」
「・・・。」
「若い娘が、肩や太股出して歩くもんじゃないよ。特に足は冷やしちゃだめだよ、難産になってもしらないからね。
 でもまあ、今時の若いひとは、年寄りの言うことになんて、耳を貸さないだろうねえ」
 言うことだけ言うと、タキと名乗る老人は、再びゆっくりと歩き始めた。ララは礼を述べるのも忘れ、銃を構えたまま茫然と見送っていた。

  おわり

半分本音。タキばあさん、教えて〜。ニトロはどこにあるの〜?


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