子豚のしっぽ
−−−「子豚のしっぽ」は、『小説の最後の文が「・・・」であること』というお題を貰って書く企画ものでした。
−−−今回アップするのは、以前HPに掲載していたものです。
−−−最後の文のお題は、皆様から募集しています。「書けるもんなら描いてみろ」というお題、お待ちしております。


しっぽその2 ・・・・・・ 『最後の文が 「それじゃ、地球寄ってく?」 であること」

『コレクション』

 三方のコントロールパネルを同時に見ながらアシュラが言った。
「採集作業も終わったし、そろそろ帰りますか?」
「……。」
 返事はない。真後ろはさすがに見えないので、振り返ってみる。
 スペースシャトルのコックピットの高い位置。艦長席ではブッダが瞑想するフリをして居眠りをしていた。鼻ちょうちんまで出している。
「まったく、もう」
 アシュラは、三組の腕で腕組みをしながら、三対のほほをふくらませた。
「ねえ、ラン。確かまだ全部は集まっていないはずよ」
 左の顔が言った。
「えっ、そうだっけ」
「ミキの言う通りだわ。もう一度、確認した方がいいわ」
 右の顔も言った。真ん中の顔は苦笑して、
「スーまでそう言うなら、倉庫へ言って確認しましょう」
 アシュラは船をオートにすると、船尾の倉庫へ向かった。

 倉庫には大小さまざまな檻が、十二個並んでいた。一つ一つに、各惑星で採取されたその星の「最高権力を持つ種」が捕らえられ、納まっているはずだ。
 正面の檻では、金色の地に稲妻のような模様の毛皮をもつ生き物が、行ったり来たりしてこちらのスキを窺っている。これは、セントラル星雲NANIWAという星で一番権力がある種であった。その隣の檻では、白いフワフワの毛並みの小動物が、長い耳を体に貼りつけるようにして眠っていた。ルナ星で一番の知的生命体だ。
 おや、確かに一つ、中に何も生き物のいない檻がある。
「……ほんとだ。九個目の檻がまだ空いているわ」
 真ん中のランの手が資料のページをめくった。スーが覗き込む。
「ネ、ウシ、トラ、ウ、タツ、ミ……。
残りの一つはサル型ね」
 三つの顔はお互いの顔を見合せ、同時に言った。
「それじゃ、地球寄ってく?」

 <END>

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