アッカムイの森に寄せて.3


『ごまかし』

自分が 狡くなっていっているような
そんな 気がした
真実全てではないが 嘘ではない
そんな答えで 全てをごまかし
いつの間にか 時間稼ぎをして
それはただ 彼の人を
期待させることでしかなかったのに

泣かないで
どうして今更 言えるだろう
哀れみ? 同情?
少なくとも 愛情ではない
なのにどうして言えるだろう
彼の人が欲したのは 愛情なのに

自分が 狡くなっていっているような
そんな 気がした
埋められない居場所の差を
嘘の笑顔で 全てごまかし
何にも気づかないふりをして
そうして 得たものなんて
空しさの残る 空虚な時間



『新しい世界』

新しい世界を始めよう
大丈夫 何も怖くないから
一歩踏み出して 前だけ見つめて
ほら 大事なものなら
きっと 手が届くほど 近くに

後ろなんか振り返ったっていいんだ
だけど 戻って行かないで
君の進む道は こっちにある
いつだって こっちにあるから

新しい世界を始めよう
大丈夫 何も怖がらないで
一歩踏み出して 前だけ見つめて
君の 大事なもの
きっと 手に入れるんだ



『大人になるなら』

折角大人になるなら
作り笑い覚えるスピードで
夢を叶える力が欲しいよね
子供みたいに真っ直ぐ望むだけじゃなく
自分の力で手に入れられるのがいいよね

何も捨てないでいいよ
何も諦めないでいいんだよ
欲しいものなんか全部手に入れちゃえば
全部望んじゃえばいいんだ

折角大人になるなら
騙すこと覚えるスピードで
素直でいられる場所が欲しいよね
子供みたいにただ望むだけじゃなく
自分の力で手に入れられるのがいいよね



『大丈夫』

あたしなら大丈夫
心配しないでいいよ
傷ついたって その分
今なら強くなれるから

灰色だった世界が少しずつ
色を取り戻していく
何かがはじまる予感
ほら どきどきしてる

あたしなら大丈夫
心配しないでいいよ
泣かされたって その分
今なら強くなれるから



『罰』

あのとき犯した罪は
死んで赦されるほど軽くはないから
いつまでだって十字架を背負っていこう
それが課せられた罰なのだから

だけど 誰にも譲らない
分けてだってあげない
これは私の罪 私の咎
あなたには「ごめんね」の一言だって
言わせてなんかあげない

あのとき犯した罪は
死んで赦されるほど簡単じゃないから
いつまでだって十字架を背負っていこう
それが私に与えられる正当な罰なのだから



『ギター』

ギターが欲しかった
別に音が出れば
本当は何でもよかったんだけど
でも キーボードは駄目
望む音があるから駄目
あの人の真似はしたくないし
どうしたってあの人の音は出せないし
負けたくは ないからね
だからギターが欲しかった
あの人とは別の手段で
だけど あの人に近づきたくて



『嫌えない理由』

音楽でも小説でも詩でも
語るより多くのこと
一晩中話すより多くのこと
全部 わからせてくれる
コトバに出来ないくらいに
儚いようなことだって
瞬時に気づかせてくれる

だから私はあの人を嫌えない
あの人を 忘れられない



『幸せになる音』

透明な 触れたら壊れそうな音で
私を切りつけるような そんな感じ
このまま死んじゃうのかもって 何度も想った
心臓切り裂かれて 死んじゃうのかもって
痛くて痛くて 仕方なくて
だけど このまま死ねたら 死ぬことができたら
どんなに幸せだろうって 想った
いつまでも その音に切りつけられたまま
ボロボロんなっても 聴いていたかったよ
今もまだ そんな音振りかざして
誰かを幸せにしているのかな



『気になること』

ほんのちょっとのことでも
すぐに 気になってしまう
あの人が怒ったのはあたしのせいかな?
そんなことないよってあなたは言うけど
だって 凄く怒ってたよ
ほんとにほんとに 怒ってた
その気持ち わかっちゃうから
だからきっと 尚更気になるんだろうね

でも 電話が来ないから
きっと大丈夫なんだって 信じよう



『仕事』

最近仕事が楽しい
仕事を楽しいと思える自分が嬉しい
会社に行くのが楽しみになってる
その日の仕事の量を考えて
ちょっとめげそうになってる時間が
それでも 結構楽しい

家に帰ってから明日の仕事を考える
今日入った原稿が明日締め切りで
入力は済んでるからあとは組むだけで
パターンは出来てるから
きっとあと1時間くらいで完成
それからこないだ出したやつの
校正戻りが入ってきて
そんなこと考えてる時間が
なんだか とっても楽しい

自分に出来るか出来ないか
そんな瀬戸際のものを目の前にして
ちょっとどきどきしてるような
でも わくわくしてるような
そんな 感じ



『ありがとう』

いろんなとこで君に
いっぱい助けてもらったよね
もしも君がいなかったら
今頃どうなっていたのか
本当に わからないんだ
だから 凄く感謝してる
ありがとうって何回言っても
全然 足りないくらいに

でも 本当はちょっとだけ
悔しいって 思うことがある
僕は君に何も返せない
何にも返せないでいる
それがちょっとだけ
ちょっとだけ 悔しいんだ



『今日』

また 今日が来たよ
いつもこの日はどきどきするような
不安になるような 複雑な感じ
この日だけは あなたのことを考える
一日中 あなたを想う
だけど あの日止まった私の時間は
ゆっくりと でも確実に
動き出してしまったから
もう「あなただけ」のことは考えられない
それでも 一番先にやりたいことは
やっぱり あなたのためのことなんだ



『決心』

とっとと金貯めて家を出てってやる。
たらい回しにされるぐらいなら、こっちから出てってやる。
そんなに要らないなら、こっちから縁を切ってやる。
せいせいされようが喜ばれようが構わない。
人格を無視されて切り捨てられてそれでも我慢しなきゃいけないくらいなら
あいつら喜ばせる屈辱味わう方がずっとマシ。
あたしはあたしだ、誰かと比べるな。
あたしはあたしだ、誰かと一緒にするな。
もう「親」は要らない。「親」だと思わない。こっちから切り捨てる。
保護という名をつけた監視の檻から抜け出してあたしは「人間」になるんだ。





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