秋の夜長


あなたが言った科白を
ひとつずつ 憶い出してみるけど
好きだって言ったときのあなたの顔だけ
どうしても 憶い出せなかった



愛してるって
言ったのにな……



独りだけで これからのこと 考えてた



結局私に何が残ったのか
指折り数えてみようとしたけど
ひとつも思いつかないままで
指なんか 折れなかった



怖いのは
独りになったあとの時間



もう 秋が来たんだね
だからきっと 淋しいんだね



いつか夢を諦めていたことに気づいて
大人ってこんなにつまらないんだと
初めて 知った夜



心なんて
消えてなくなればいいのに



いつもサヨナラが言えなくて
ずっと 立ち止まってた



想い出にはできない
想い出にはしたくない



もう少しここにいれば
あなたが来てくれるような
そんな 気がして



ぬくもりだけなら
今すぐにだって憶い出せるのに



こんなに声が嗄れるほどに叫んで
僕は君に何が伝えたかったんだろう
だけど今 こんなに胸が痛むのは
きっと そういうことなんだと思う





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