偽りのあと


あの 至福の瞬間(とき)に
もしも 死ねたら

すごく 幸せだった
きっと 幸せだった



まだ温もり消えてないのに
まだ 感覚残っているのに

あたし どうして
今 独りでいるの?



忘れられないよ
その指も
髪も唇も
数時間前までは
あたしのものだったんだから

そう簡単に 忘れられないよ



どんどん
どんどん
本気消えてくの
わかって

すごく
怖かった
すごくすごく
怖かった



淋しいよ
淋しいよ
それだけで
死ねたらいいのに

淋しさだけで
死ねたらいいのに



体疲れてるのに
今すぐにも眠れそうなのに

眠りたくない
さっきまでの幸せが
全部「夢」になりそうで



タイムリミットつきの幸せは
もう いやだな

ずっと 「永遠」を
願ってる 欲してる



ごめんなさい
友達に戻るのは
ちょっと 難しそうです



心ん中に
ぽっかりと
穴空いちゃった

暗くて見えなくて
淋しいよ 淋しいよ



これって
大泣きしても
いいんだよね?
本当はさ

でも泣けない
泣けないよ辛いの
辛いのに 泣けないよ



それでもきっと
あの人の前では
いつもどおりに

笑ってんだろうな



こういうときになって
初めて誰かの優しさを知る

ちょっとだけ 悔しい
その場で「ありがとう」が
言えないから



ねえ あの最後の夜
私だけ好きでいてくれた?

……答えは要らないよ
本当は知っているから
あなたのキスが
教えてくれたから





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