大好きだったキミへ


キミが嘘をつくときの表情(かお)くらい
僕は知っているさ
だからあの日キミがついた嘘も
僕にはすぐにわかったよ

ただ 僕はそれを言わない
キミにだけは 絶対言わない
僕がそれで傷ついたこと
キミはずっと知らないでいて
キミは永遠に 知らないでいて



一番好きだった人とは結婚できなかったと
友達が 言っていたよ

本当にそうだね 僕も
一番大好きだったキミとは
一緒になれなかった

だけど あの日感じた「運命」が
本当に「運命」だったなら
きっともう一度 出逢えるはずだよね



キミと別れて
淋しかった時間を超えて
また 好きな人ができたけど

きっとキミ以上に好きにはなれない
キミのこと 本当に
本当に 愛していたから



キミの姿を見たいと思った
キミの声を聞きたいと思った
たとえそれが 今僕が
大切に思っている人を
傷つける 行為でも



キミはあのとき 運命だと
そう 言ったよね
だけどその運命は
たった3ヶ月で 幕を下ろした

何度も泣いて
何度も恨んだ
運命ってこんなに
儚いものなのかと思った

今はもう 信じる気持ちには
ずっとなれないでいるけど
本当に運命ならもう一度出逢えると
当然のように そう想っているんだ



まだ胸が苦しいよ
諦めたはずなのに
捨てた想いなのに
それでも まだ
胸が 苦しいよ



想い出さない方がいい
何度もそう 自分に言い聞かせた
もう忘れた方がいい
だけど そのたびに浮かぶのは
キミの笑顔や 囁き声で

ずっと好きだって 言ってくれたよね
ずっと一緒にいようって
語ってくれた 未来の夢も
だけど 叶う日を見ないまま
「ずっと」は すぐに終わってしまった

そんなことはもう 過去のこと
何度そう思ってみても
時間の経過よりも曖昧に
キミだけがすぐに 浮かんでくるんだ



キミの本心聞かせてよ
僕はもう 何を言われても
もう傷つかないから
もう平気だから
だから お願い
キミの本心 聞かせてよ



キミに好きな人が出来たと
風の噂で聞いたよ
良かったね 良かったよね
本当に心からそう思うよ

ただ やっぱり少しだけ
「もう戻れない」と 思うけどね



キミが幸せになるといい
僕みたいに 恋に怯えて
暗闇の中を手探りで歩くみたいに
不安ばかりの恋愛をしないで
ただキミが 幸せになるといい
遠い場所から ずっと祈ってる



交差している道の途中で
近くなったときと 交わるときと
そのときに僕たちは一緒にいたから

あとはただ 離れていくだけなんだよね
もう二度と 交差しないままで



僕がもっと強ければ
僕がもっと大人だったなら
僕たちの時間は
もう少しあったかもしれないね

それに気づくのが
僕は遅すぎただけなんだよね



キミを傷つけたくない
僕の願いは ただそれだけ
このまま僕が聞かないことで
キミの平穏が保たれるなら
どれだけ僕が辛くても
キミには何も聞かないでおこう

キミを傷つけたくない
僕の願いは それだけだから



僕ならもう平気
もう 全然平気

嘘だよ そんなの嘘
キミの名前見ただけで
心臓が 止まりそうになるんだ



キミの声が聞きたくて仕方ない
キミの話が聞きたくて仕方ない

でも キミは違うんだ
僕の声は聞きたくもない
僕の話は聞きたくもない

いつからそんなふうになってしまったんだろうね?



アイシテルって言葉は
ずっとキミに盗られたままなんだ



何度もキミに電話しようと思った
何度もキミと話をしようと思った
でもそのたびに繰り返し想い出すのは
僕と逢ったときの キミの冷たすぎる表情(かお)



キミの冷たい言葉で
僕を撃ち殺してくれないか

僕が恋を諦めるまで



キミはもう要らない
僕にはもう要らない

なのに 何故だろうね
こんなにもいつも キミは
僕の中で 生きているんだ



助けてよ 助けてよ
もう僕だけじゃ
どうしようもない
どうにもならないんだ

そんなふうに 素直に
キミに言えたら 僕は
どんなに楽だろう
どんなに楽になるだろう



キミに今 ひとつだけ
本心からの言葉を
もしも 伝えるとしたら

「幸せに なってください」



幸せになってください
他の誰が不幸になろうとも
キミだけは 幸せになってください

それだけが 今の僕の
たったひとつのキミへの願いだから





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