ある晴れた日の残酷

「いい天気」
 ずっと外を見ていた。変わりゆく景色。どこまでもどこまでも……同じではない、空の色。
「いい天気、だよね」
 だけどきっと彼女の気持ちはここにはない。
 ここにも、景色にも、空にも。
「……にも……」
 だからこそ口にする、残酷な言葉。
 それを言ってしまえば、何処にも行けなくなるのに。二人とも。気持ちごと、どこにも。
「アイツにも、見せたかったな」




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