誰かに逢いたい。
 誰か、この無音の世界から連れ出してくれる人。
 ここは音がなくて空気も少なくてちょっと苦しいから。
 光も、ない感じで。
 淋しいのと苦しいのと哀しいのと、全部が合わさって波になって襲いかかってくるような。
 音がない。
 呼び覚ましてくれるような音。
 たとえば、誰かの放つ言葉でも。

 だから、誰かに逢いたい。
 嘘、本当はあなたに逢いたい。




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