遠い日の約束

 もう、誰にも教えない。
 話しても、仕方ない。どうにもならないから。
 まだ、子供の世界にいるようなあの頃の、約束。
(ずっと)
 言葉の意味を知らなかったわけじゃない。
 きっと、誰よりも憧れていた。
(ずっと、愛してるよ)
 口にしたのは、伝えたかったからだけじゃなく、自ら言霊に縛られたかったから。
 気持ちが変わることはないと知りつつ、もしいつか嘘になったら、この身が割かれるといい、と。
 そう、思ったから。

 もう、あの世界には帰れないことを私は知ってしまったけども。
 それでも、想いは変わらないから。
 どれだけ穏やかなものになったとしても。
(ずっと、だよ)

 遠い日の約束は、今も私の内にあるから。




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