忘れてきた場所

 気力、どっかに忘れて来ちゃった。
(あたし、なんでここにいるんだっけ?)
 何か凄く大きなもの、変えるために力ためるために休むのは本当はやっぱり必要なことで。
(だけど、そんなの)
 言い訳。でしかない、今は。
(逃げてるわけでしょう、要するに)
 病気、理由にして。
 病気ダカラ仕方ナイ。
 なんて自分に言い聞かせるための言葉でしかない。
 そんな言葉で他の人を納得させるのなんて絶対無理で、説明するのなんかもっと無理。
(わかって欲しいなんて思うほうがマチガイ)
 だって、他の人は他の人で、あたしじゃない。
 気持ち、理解ってなんかくれない。そんなのは当たり前。
 当たり前すぎて言い訳にもなんないよ。

 でも、違った。
 逃げてるつもりでも、まだ逃げ切れてなんかなかった。
 もっともっと、遠くまで行かなきゃ。
(きっとこの世に完全な場所なんかないけど)
 それでも、捕まったままでいたくないから。
(あたし、なんでここにいるんだっけ)
 逃げる先なんて、本当はどこでも良かったのに。

 ここじゃなくても、良かったのに。




作品集 Vol.3の目次へ戻る

コーナーの入り口へ戻る or 案内表示板の元へ戻る