どうか幸せに

 あなたがいてくれて良かったです。
 苦しくても哀しくても、もう二度と戻れなくても。
 あなたと出逢えて、良かったです。

 今となっては、想い出すのはほとんどがあなたの苦しんでいる顔で、あなたを苦しめた私なんかもう要らない、とも思いました。
 大切な人を苦しめることしか出来ないなら、もう二度と逢うまいと……そう思ったこともありました。

 だけど、今は違う。
 あなたがもし、私を赦してくれるのなら、もう一度出逢って、今度こそあなたを苦しめたくない。
 想い出すのが全てあなたの笑顔であるようにと、そう祈りたい。

 この想いにどういう名がつくのかなんて、私にはわかりません。
 だけど、私にとってあなたは大切な人だから……うまく言えないけど、とにかく大切な人だから、幸せに、なって欲しいのです。

 きっと、あなたがいつでも笑えるようになったなら、私は今以上に幸せになれるでしょう。
 私は、私が幸せであるために、あなたの幸せを望んでいます。

 あなたに出逢えて、本当に良かったです。
 だからあなたは……あなただけは、幸せになってください。




作品集 Vol.4の目次へ戻る

コーナーの入り口へ戻る or 案内表示板の元へ戻る