コトバ

 コトバ。
 あたしの中にあったもの。

 どこに行ってしまったの。
 どこに消えてしまったの。
 あたしをおいてくの。
 あたし、ひとり。

 わからない。
 いつの間に失くして、いつになったら戻ってくるの。いつか本当に戻ってくるの。本当に。

 消えてしまったコトバは時の波に揉まれてもう手が届かない。
 彼方に去ってしまったコトバは遙か遠くてその存在すらもう見えない。

 手を、離さなければ良かったね。

 コトバ。
 あたしの中にあったもの。

 いつかまた、優しいコトバで満たされますよう。




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