ミュージアム 小説
僕は鏡に映るのがあまり好きじゃなかった 全てを見透かされている ・・・そんな気がするからだ 僕が今までしてきた事も全て・・・ そう・・・数えるのも嫌になる罪の数 思い出したくもないのに 鏡に映ると思い出してしまう そこに映るのは 人を信じることの出来ない人物 僕の側に唯一居てくれる人物でもあり それと共に 僕が一番嫌いな人物だ それが鏡の向こうには居る 何故いつも真っ直ぐに こちらを見ているんだ その瞳は何を訴えている? 助けが欲しいのなら 泣いて頼めばいいじゃないか 『僕を助けて下さい』 そう言えば楽だろう? 早く言えば良かったものを・・・ 言おうと思えば言えた・・・ けれど 何かが それを言わせてくれなかった 「プライド」とかいうモノか・・・邪魔くさいモノだな そんなモノはいらない 何もいらない なのに・・・どうして鏡に映る自分は いつも物欲しげな瞳をしているんだ? 見ていて鳥肌が立つ その瞳の気味悪さに・・・ 求めることで相手を傷つけている 僕の瞳が物語っているよ それに気付いていないのは、向こうの僕? それとも・・・・・? 鏡は嫌いだ 僕が二人居るみたいで・・・ 僕が二人居たところで どうにもならない・・・ 鏡の向こうで僕を見ているもう一人の僕 見ていることしかできない僕 もしかしたら 君が・・・エミリオ・・・? 鏡は嫌いだ 全て割れてしまえばいい・・・! |
END |