内外価格差
国内価格と海外価格の差をいう。特に円高が進むと、ドル換算での国内価格と海外での価格の差が大きくなる。例えば、経済企画長の調査によると、94/11時点で東京の物価を100とすると、ニューヨークは66、ロンドン67、パリ70で、日本の物価水準は4〜5割程度高い。基本的には、輸入を拡大すれば国内価格は下がる。
内外金利差
国内金利と海外金利の差のことで、国際的な資金の移動に大きな影響を与える。日本の金利が海外(欧米主要国)より低くなれば、日本で債券などを買って、資金を運用していた海外の投資家はより高い金利を求めて、海外へ資金を移動させようとする。又、国内の貿易業者は輸出入に必要な資金を国内の円で賄おうとするようになり、いわゆる円シフトが起こる。日本の金利の方が高くなれば、逆の現象が起こる。通常、内外金利差を比較するにはコールレートとユーロダラーレート、事業債発行利回りと米国社債市場利回りなどを使う場合が多い。
内閣総辞職
全閣僚がそろって辞職すること。憲法は@内閣不信任案が可決されるか、内閣信任案が否決されて10日以内に衆議院が解散されない時(69条)、A首相が欠けた場合(70条)、B衆議院選後初めての国会召集の時(70条)、の3つの場合に内閣は総辞職しなければならないと定めている。一般に首相の退陣を原因とした内閣総辞職は70条に基づくもので、98/07の橋本内閣や96/01の村山内閣の総辞職などがこれに当たる。ただ首相が欠けた場合には、首相自らの退陣表明に加え、死去した場合なども含まれる。
内閣不信任決議案
内閣不信任決議権は衆院だけが持っており、不信任案を発議するには議員50人以上の賛成を集め、議長に提出する必要がある。憲法69条によると、不信任案が可決した場合には、内閣は10日以内に衆院を解散しない限り総辞職しなければならない。戦後から00/10までにおいて、不信任案が可決されたのは4例。直近では1980年の大平内閣で、当時の自民党非主流派の福田、三木両派と中川グループ衆院本会議を欠席したため可決された。1993年の宮沢内閣では、自民党の羽田小沢派が政治改革への対応を不満として不信任案の賛成に回ったため可決された。
ナノテクノロジー-1
ナノとは10億分の1を表す。ナノメートル単位で超微細加工する技術の総称。分子大のスイッチ部品など既存の製造技術では考えられない新製品を開発することができる。情報技術や環境、バイオ、材料など広い分野で技術革新をもたらすと期待されている。2000年に当時のクリントン米大統領がナノテク研究の国家戦略を発表したことで、先進国の間でも研究開発競争の機運が高まった。
ナノテクノロジー-2
原子数個分の大きさの材料を測定したり、加工したりする技術。2002/02現在、政府の総合科学技術会議がナノテク基本戦略を作成し、国を挙げて研究を推進、企業や大学などが競って研究を加速している。
ナノテクは情報技術やバイオ、環境、素材など広い分野で大きな技術革新を起こすと予想されている。超高速コンピュータ用チップや国会図書館の蔵書データを角砂糖程度の大きさに収めることができる記録装置、効果が高く副作用の少ない新薬などへの応用が期待されている。
二重通貨債
円建て外債の一種で、払い込み、利払いと償還が異なる通貨で実施される債券。一般に払い込みと償還が円で、利払いが外貨建ての債券を逆二重通貨債と呼ぶ。投資家にとって円建ての債券よりも高利回りが期待出来るが、円高が進むと損失を被る恐れもある。
98/04〜98/08までの円建て外債の発行額1,130億円のうち、二重通貨債の発行額は490億円にとどまっている。97年度の1兆495億円に比べて大幅に減少。信用度の低いエマージング市場の発行体の起債環境が悪化した事が主因だ。国内企業では中部電力が98/09/04に、10年物の逆二重通貨債100億円を機関投資家向けに募集した。応募者利回りは米ドル建てで年2.08%。主幹事の東京三菱証券は通常の円建て債券よりも0.3%程度高い利回りにできたとしている。
二千年問題
年号を下2桁だけで読み取る旧式のコンピュータが西暦2000年と1900年が区別できなくなるために起きるエラーのこと。金融機関も金利や預貸金の期日管理などで日付が情報管理の中核のため重大な課題だ。海外では、日本の金融機関は同問題への対応が遅れているとの見方がある。日銀によると日本の対応は海外が思うよりずっと進んでいるが、日本の対応が遅れているとのイメージが広がると海外との取引停止などの影響も考えられると警戒している。日銀は97年から考査の重点項目に加えたほか、98年末からは日銀ネットと民間システムの間で接続試験を実施する予定。金融監督庁も全金融機関に対して、対応状況を定期的に報告するよう求める方針だ。
日銀貸出
日銀が金融市場の資金需給をコントロールする金融調節手段の1つ。民間金融機関が保有している手形や債券などを担保として、金融機関が日銀に約束手形を振り出す形での実施が多い。適用する金利は公定歩合である。
98/04より改正日銀法が施行され、34条による国に対する貸出と、37条による民間金融機関に対する貸出ができた。37条貸出はある金融機関に一時的な資金不足が生じ、業務に著しい支障がある場合に実施する。事後的に蔵相に届け出て、金融監督庁に通知する必要がある。日銀は98/10/26に、金融早期健全化法の施行を受け、日本長期信用銀行に約3兆円の日銀貸出を預金保険機構を通じて行った。
日銀考査
日銀が2年から3年に1回の割合で取引のある都市銀行や地方銀行、長期信用銀行、信託銀行などの経営状況を調査すること。信用金庫や証券会社、外資系金融機関の在日拠点も対象になる。日銀は98/08〜09に大手銀行19行を対象に緊急の考査に乗り出す。98/09中間期で各行の不良債権処理を促し、経営の健全度を高める環境を整備することで、金融システムへの不安を払拭するのが狙いだ。効果を高めるため、金融監督庁との連携も図る。考査は日銀と民間金融機関の任意の契約に基づいて実施されるが、98/04から施行された改正日銀法には業務の1つとして明記された。98/06には点検項目を拡充し、不良債権の自己査定に関する項目や、コンプライアンス(法令遵守)関連の内容を大幅に増やした。
日銀審議委員
日銀の政策方針を決める政策委員会の9人のうち、日銀総裁と2人の副総裁を除く6人を指す。旧日銀法の政策委員会は銀行業・農業・製造業などから代表者を選ぶよう規定したが、改正日銀法で構成員は経済や金融などに詳しい学識者と改めた。衆議院と参議院の両院の同意を得て内閣が任命する。任期は5年。審議委員は支障が無ければ兼職も認められるとされるが、事実上禁止されている。大学教授が自分が携わる金融政策について講義する事などが問題視されるからだ。日銀政策委員会にはこれまで、日銀執行部の追認機関との批判もあった。新政策委員会でも、6人の審議委員のうち2人が日銀サイドに説得されれば政策委員会の過半数を占めてしまうため、審議委員が個性を発揮する事が重要な課題となる。
日銀政策委
日銀の業務・組織・会計や公定歩合などの金融政策を決める最高意思決定機関。98/04/01の改正日銀法施行に伴い、政府からの独立性強化と意識決定過程の透明性向上を図った。旧法では総裁のほか、大都市の銀行・地方銀行・農業・商工業の代表1人ずつと、大蔵省と経済企画庁が送る議決権のない政府代表委員1人ずつの計7人で構成していた。新法では日銀執行部から正副総裁3人、日銀外から審議委員6人の計9人になる。政府代表は除外されたが、大蔵省と経済企画庁は必要に応じて職員を出席させて、意見陳述や議決延期を提案することができる。今まで抜き打ち的に実施することが多かった公定歩合の変更は、米連邦公開市場委員会(FOMC)やドイツ連邦銀行理事会と同様に、事前に公表した日程にそって原則付き2回開く金融政策決定会議で決める。同会合の議事要旨は約1ヶ月後に公開している。
日銀短観-1
企業短期経済観測調査が正式名称。日銀が記入政策運営の参考にするため、四半期毎に全国約1万社の企業を対象に実施しているアンケート調査。企業の業況や製品需給などをDIとして算出、景気や物価の動向を探る指標となる。日銀がアンケートを集計、公表する。景気の先行きを占う重要な材料とされ、外為、債券市場などでは公表後、相場が大きく動くケースがある。一連の日銀の不祥事では短観の内容を民間金融機関に公表前に漏らした疑惑が取りざたされている。松下康雄日銀総裁は98/03/11の会見で短観について最近の管理状況は厳しくなっていると釈明したが、今後、こうした機密情報の管理の一層の徹底が求められている。
日銀短観-2
日銀が全国の民間企業9,000社弱を対象に、企業の景況感や収益を通じて景気実態を把握するために実施する調査。毎年三月、六月、九月、十二月に実施する。各企業に調査表を送付し、支店網を活用して回収する。サンプル数が多く、調査結果の公表が速いことから、足元の景気実態を正確に把握できる経済指標という定評がある。日銀の金融政策の基礎資料になることもあって、市場関係者の注目度が高い。
日銀短観-3
日銀が民間企業の景況感や収益状況を通じて景気の現状を把握するために実施している調査。2001年現在、対象は9,000社弱で、3、6、9、12月の年4回実施する。対象数が多いうえ、調査表の送付から公表まで1カ月ほどで処理するため、景気の実態に近い結果を得られる経済指標として重視されている。日銀の金融政策の基礎資料としても利用されるため、市場関係者の関心は高い。
日銀短観-4
日銀が民間企業から業況判断や収益計画などを三カ月ごとに聞く調査。調査対象が多いうえ、調査票の送付から結果公表まで一カ月ほどで処理されるため、景気の現状に近いデータが得られる調査として重視されている。2001年現在、景気動向を探る重要な判断材料として特に大企業製造業の業況判断指数が注目されている。
日銀短観-5
日銀が全国の民間企業を対象に、企業の景況感や収益状況を把握するため三カ月ごとに実施している調査。2002年現在、対象となる企業が多いうえ、調査表の送付から結果公表までの期間が一カ月あまりと短いため、景気の実態に近い結果を得られる調査として注目されている。なかでも大企業製造業の業況判断指数は、景気動向を探るうえで重視されている。
日銀短観見直し
日銀は企業経済短期観測調査の公表を99/03調査分から見直す。短観には原則として資本金10億円以上の上場企業約700社が対象の主要企業短観と、中小企業か大企業まで9,500社余りが、対象の全国企業短観があるが、これまで短観の中心だった主要企業短観に代えて、全国企業短観を統計の中心とする。主要企業短観は1959年の調査開始以来、対象企業をほとんど入れ替えていない。産業構造の変化などを反映できず経済実態と乖離していく可能性があった。全国企業短観は5年ごとに対象企業を見直しており、主要企業短観が対象とする大企業から中小企業までを網羅している。損益関連項目や海外での事業計画など計数項目については、単純集計ではなく企業全体の数値を推計する母集団のデータを公表する。
日銀当座預金-1
日銀が、金融機関に対し口座の開設を認めている当座預金。2001年現在、銀行のほか、証券会社や信用金庫など約700の金融機関が利用している。各社は日銀との資金の受渡のほか、他の金融機関との大口の資金決済にも使っている。また当座預金の中には、銀行が預金量などに基づいて中央銀行である日銀に預けなければならない準備預金が含まれる。日銀が公開市場操作によって、金融市場に資金を供給する際には、金融機関から国債や手形を担保にとり、当座預金口座に資金を注入する。日銀当座預金口座は利子がつかないため、資金の余った金融機関は、短期金融市場で資金運用する。この経路で、金融市場全体に資金が行き渡ることになる。このため、日銀当座預金残高の水準が金融市場への資金供給量を表すといえる。
日銀当座預金-2
金融機関が日銀や他の金融機関と資金決済するために日銀に口座を開設することが認められている預金。2001年現在、銀行や証券会社、信用金庫など約700の金融機関が口座を持っている。当座預金には、金融機関が顧客の預金払戻に備えるため預金量などに基づいて日銀に預けなければならない準備預金が含まれる。
日銀が公開市場操作で金融市場に資金を供給する際には、金融機関から手形や国債を買い、その代金を当座預金口座に振り込む。当座預金には利子がつかないため、金融機関は余った資金を短期金融市場で運用する。この過程で日銀が供給した資金が金融市場全体に行き渡るので、当座預金残高の水準が金融市場への資金供給量を示すことになる。
日銀特融
日銀法第25条に基づく無担保の特別貸し出しのこと。有担保融資(20条)では預金者の動揺や信用秩序が維持できない場合に実施する。融資には蔵相の認可が必要。97/11/17には北海道拓殖銀行が経営破綻し、日銀が特融を実施した。
98年春の日銀法改正で、日銀独自の判断でも特融を実施できるようになる。コンピュータの事故など突発的な事態で支払いに支障が出る場合に限り、政策委員会で融資を決める。ただし、破綻処理が絡む特融は蔵相の要請に基づいて実施する。
95年のコスモ信組以来、大きな金融機関の破綻が相次いでおり、今後も特融残高は膨らむ可能性がある。特融の責任が大蔵省と日銀どちらにあるかは不透明で、日銀資金が乱用される懸念が出ている。
日銀特融の発動四原則
日銀が経営危機に陥った金融機関に対し実施する特別融資を発動するときの原則。@システミックリスクが顕在化する恐れがある、A日銀の資金供与が必要不可欠、Bモラルハザード(倫理の欠如)防止の観点から関係者の責任の明確化が図られるなど適切な対応が講じられる、C日銀の財務の健全性維持に配慮する、となっている。日銀は99/05/28に、4原則の具体的基準を明らかにした。原則の中では、@が最も根源的な目的であるとし、他の原則に優先する。最後の貸し手としての機能を明確にし、発動にあたっては可能な限りの解決策の模索の必要を指摘した。山一證券向けの特融が焦げ付く可能性が高まる中、モラルハザード防止や財務の健全性を確保する目的を明確にし、安易な特融への依存を牽制する目的がある。
日銀ネット
正式名称は日本銀行金融ネットワークシステムで、民間金融機関と日銀を結び、決済データをやり取りする情報網。実際にはこのシステムで流れてきた情報をもとに日銀が同行にある民間銀行の当座預金口座の間で資金を振り替え、銀行間の決済を完結させる。日銀は日銀法で国庫金の取り扱いを定められているが、決済手法は会計法で小切手か現金に限定されている。このため、郵便貯金は日銀に小切手を振り出す形で決済している。日本の重要な決済システムとして2000年現在、決済リスクを低減するための様々な措置が取られ始めている。01/01/04から資金取引を瞬時に処理するRTGSも導入されるため、参加金融機関の事務処理負担は増加しつつある。
日銀の決済システム
中央銀行である日銀には銀行や証券会社などの金融機関が当座預金口座を開設している。各金融機関はこの口座を使って、他の金融機関に資金を支払ったり、受け取ったりする。日銀は、振替指図と呼ばれる各金融機関からの依頼に従い、それぞれの口座残高を増減させることで、資金決済を実行している。日銀と当座預金口座を保有している金融機関の間には、日銀ネットと呼ばれるオンラインシステムが構築されており、各金融機関は端末操作で日銀に振替指図を送信している。税金や年金など国庫との資金のやりとりにも使われている。全国銀行協会なども銀行間の小口資金決済システムを持つが、日銀を利用した決済に比べて圧倒的に取り扱う金額が少ない。2000年現在、日銀の決済システムが日本国内の資金決済の根幹をなしている。
日銀の国債引受
財政法5条は、特別な理由がない限り、日銀が公債を引き受けることを禁じている。国が無制限に資金調達をする危険性があるためで、戦後は禁じ手とされてきた。
99/02現在、自民党や一部の民間エコノミストから解禁を求める声が強まっている。国債増発を原因とした長期金利上昇に、他に有効な手段が見当たらず、目先の解決策として浮上している。これに対し、日銀の速水優総裁は中央銀行の信任が損なわれるとして慎重な立場を表明した。市場のもう1つの焦点は日銀の債券買切りオペ増額が認められるかだ。長期金利上昇を懸念する政治家からの圧力に、中央銀行がどう対応するか。99/02/12
の日銀金融政策決定会合は、通常以上に市場の注目を集めている。
日銀の国会報告
日銀が半年に1度実施する国会での金融政策運営についての報告。日銀は98/04に施行された改正日銀法54条に基づき、金融政策運営に関する報告書を作成する。報告書を国会に提出した後、国会議員からの質疑に応じる。米国のハンフリーホーキンズ法による米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言に相当する。速水優日銀総裁は98/12/10に改正日銀法施行後、初めて参議院の財政金融委員会に出席。通貨及び金融の調節に関する報告書に基づいて、景気の現状や金融市場の動向、98/09の金融緩和に対する説明をした。日銀の国会報告は政策決定会合の議事要旨の講評などと並び、開かれた日銀を実践する目的で、アカウンタビリティ(説明責任)を向上するための一環だ。
日銀のコンティンジェンシープラン
日銀が策定したコンピュータ2000年問題への緊急時対応計画。中央銀行で概要を公表するのは珍しい。日銀は99/12/30に手作業の決済に必要なデータを紙に出力しておき、決済システムが機能しなくなった場合に手作業処理に移行する。金融機関の流動性対策については、2000年問題に的を絞った考査を実施、各金融機関の流動性確保への対策をチェックする。また2000年問題への懸念などから、現金需要が高まる可能性がある。このため日銀は本支店に40兆円の現金を準備して、預金などの引き出しに備える。
2000年問題への緊急時対応は日銀だけでなく、全国信用金庫連合会も同様のプランを策定、信用金庫の流動性対策などに対処する姿勢を示している。
日銀の債券買切りオペ
日銀が市中に資金を供給する方法の1つ。発行から1年以上経過した10年物と20年物の国債を対象に、日銀が証券会社と銀行から買取る。1回当たり2,000億円程度を月2回のペースで実施している。経済成長に伴う資金需要の増加に対応するための調節手段だが、債券の需給改善の方策としても注目されている。98年末から、長期金利上昇の抑制策としてオペの増額をめぐる議論が高まった。日銀は99/06を目処に、オペの対象銘柄をこれまでの各回20銘柄から、原則として全ての銘柄(約110銘柄)に拡大することを決めた。オペの対象銘柄が広がることでオペの透明性が高まるとともに、商いの少ない銘柄についても売買がしやすくなる効果が見込めると期待する声が多い。
日銀の社債担保オペ
日銀が決定した新たな金融調節手法。金融機関が買い入れた社債や証書貸付債権を事前に日銀に差し入れておき、これを担保に金融機関の振り出す手形を日銀が購入し、資金供給する。担保が拡大することで、金融機関は日銀から資金供給を受ける機会が増える。社債や証書貸付債権を担保にすることで金融機関から民間企業への貸し出しが増える波及効果も期待できる。日銀は実施に向けて検討を進めている。ただ、中央銀行の資産の裏付けとなる担保として社債など民間企業債務の比率が高まる副作用がある。速水優日銀総裁も適格担保とする社債に対して、質の面では相当厳しいものになると優良社債の買入が条件となると表明した。資金繰りに苦しむ中小企業の支援につながるかは不透明だ。
日銀の適格担保
日銀が貸出やオペ(公開市場操作)を実施する際に、金融期間から担保として受け取る金融資産。国債や政府短期証券(FB)、金融債、地方債、事業債、優良企業の手形などがある。日銀貸出に適用される利率が公定歩合で、担保の種類によって利率は異なる。国債やFBなど信用力の高い金融資産を担保とする場合は、99/10現在、年0.5%で、一般にはこの利率を公定歩合としている。これに対し、日銀が相対的に信用が低いと判断した担保の場合は同0.75%となる。日銀は99/10/27に、2000年問題に対応する時限措置として米国債も適格担保に加えることを決めた。外国債が担保として認められるのは初めて。日銀は米国債の信用力は日本国債に匹敵すると判断、米国債を担保にした場合の貸出金利を年0.5%にした。
日銀の当座預金残高公表
日銀は99/04末から、日銀当座預金の残高を毎営業日発表することにした。資金の流れを明らかにするのが目的である。依然は、金融機関の中で一定額を当座預金に預けることを義務付ける準備預金制度の対象金融機関の預金残高を公表していた。しかし、日銀のゼロ金利政策で都市銀行の資金調達が減ったにもかかわらず、市場に出回りつづけた資金を短資会社が引き受けたため、取引が成立しないまま短資会社の当座預金に積み上がった。日銀は準備預金だけでは資金の流れの正確な把握ができなくなった(金融市場局)と説明している。
99/04の準備預金積上期間(04/16〜05/15)に準備預金制度外の金融機関が当座預金に積上げた残高は7,200億円と過去最大になった。
日銀の特融見直し
日銀が経営危機に陥った金融機関に対して実施する特別融資(特融)の見直し。公定歩合(99/04/14
現在年0.5%)に0.25%%上乗せした金利を一律に適用してきたが、更にリスクプレミアムを上乗せする形に切り替える。金利水準は融資回収の可能性に応じて弾力的に設定する。日銀は99/04/12に、経営破綻した国民銀行に対して0.25%のリスクプレミアムを適用した日銀特融を初めて実施した。特融の金額は明らかにしていない。従来は特融で借りるコストが低かったため、借り手の金融機関の返済が遅れる原因になっていた。特融の金利を高くすることで、特融のつなぎ資金としての位置付けを一段と明確にする。96年に示した特融など金融支援を発動するときの原則も大まかな内容にとどまっているため、具体的な表現で再構成する。
日銀の預金保険機構向け貸出
日銀が預金保険機構に対し政府保証付きで実施する貸出。金利は公定歩合(99/03/05現在は0.5%)で、残高は99/02/20現在、6兆1,600億円。預金保険機構は会員金融機関が預金払い戻しを停止した場合の預金者への保険金支払や破綻金融機関の処理に絡む援助をする。加入金融機関が払う保険料でまかなうのが基本だが、不足すると民間や日銀から借りる。99/03/04現在は、一時国有化された日本長期信用銀行や日本債権信用銀行向けの借入が多い。大手15行が99/03/04に正式申請する公的資金の注入で、預金保険機構が拠出する優先株の買い取り資金の大半は日銀が貸し出す。日銀はバランスシートの肥大化による資産劣化を懸念、出来るだけ民間借入や債券発行で資金を手当てするよう要望している。
日銀の臨時貸出制度
日銀が年末年度末に限定して企業の資金繰りを支援するために創設した貸出制度。金融機関が企業向け融資を絞り込まないように貸出の原資の一部を日銀が供給する。10〜12月期に貸し出しを増やした金融機関には増加額の50%分を日銀が貸し出す仕組み。貸出金利は年0.5%。臨時貸出の担保は国債のほか、日銀が適格と認める民間企業の手形、CP、社債、証書貸付債権に対象を広げた。担保の50%以上は民間企業の債務を差し入れることとし、金融機関の担保不足にも配慮した。日銀からの低利の資金供給は金融機関の資金繰り改善にもつながる。ただ銀行は不良債権抑制や資産圧縮を優先させており、これで貸し渋りに歯止めがかかるかどうかは不透明との声が多い。
日銀のレポオペ拡大
日銀が99/02/12の政策委員会金融政策決定会合で決定した措置。金融調節の資金供給手段の1つである現金担保付債券借入(レポ)オペを従来以上に積極的に活用することを決めた。レポオペは現金を担保に日銀が国債を借り入れるオペで、オペの対象先となる金融機関にとっては国債を担保にした資金調達の手段になる。レポオペの積極化で銀行の資金調達機会が増えるため、金融機関の資金繰りの安定化につながる。
99/02/12の決定会合で日銀は国債を買い入れる買い切りオペの増額は拒否する姿勢を示した。しかし、レポオペの拡大で日銀は銀行の国債を使った資金調達を積極化させ、国債の需給悪化が是正されることを狙っている。懸念されている長期金利の上昇が抑制されることを期待しており、長期金利上昇にも一定の配慮を見せた。
日銀のFB引受
大蔵省の発行する政府短期証券(FB)を日銀が直接引き受けること。FBは政府が財政の一時的な資金繰りを補う手段として発行する。外国為替市場での円売り介入資金を調達する目的の場合、外国為替資金証券というFBを発行し外国為替資金特別会計で管理する。
99/03までは日銀がほぼ全額を引き受けていたが、99/04からは原則として公募入札方式で発行されるようになった。日銀は資産の健全性確保のため、短期国債オペ(短期国債とFBが対象)を使ってFBの保有額を大幅に減らそうとしている。大蔵省は99/06〜99/07の円売りドル買い介入の円資金をFB発行で調達し、発行したFBは日銀が引き受けた。日銀がFBを引き受けたことで介入資金を機動的に手当てできたが、日銀は資産が膨張した。
日銀副総裁
日銀で総裁に次ぐポスト。日銀法は総裁を補佐し、総裁が不在のときは総裁職務を代行すると定めている。
98/04/01施行の改正日銀法で副総裁は大きく変わる。まず人数が2人に増える。たとえば国内、国際担当というように、総裁を両側から補佐する体勢が必要との議論からだ。又、政策委員会での議決権を得る。新法施行を目前に、日銀幹部逮捕で松下泰雄総裁、福井俊彦副総裁が引責辞任。福井氏が総裁、永島理事が副総裁と見られていた人事は大きく揺らぎ、98/03/20には日銀OBの速水優氏が総裁に就任する。98/04/01には山口理事が副総裁に就任する予定だ。2人の新副総裁の役割分担は未定だが、新生日銀を立て直す重責を負うことになる。
日銀予算
日銀は銀行券製造や給与などの必要経費を織り込んで予算を作成する。日銀法の定めによりこの予算は、新しい決算期が始まる4月より前に大蔵省に新生し、認可を受けなければならない。日銀は法律上はこの予算を公表しなくてもよいことになっているが、98年度予算が認可を受けたのを機に始めて公表に踏み切った。98/03に日銀史上初めて現役幹部が逮捕される不祥事があり、信頼回復が急務となっているためだ。98年度予算の総額は前年度比5.2%増の2,213億円で、内訳は銀行券製造費が693億円と最も多い。
98/04には日銀の透明性と独立性を掲げる新日銀法が施行された。日銀は新法の下で経営の透明化を確保したいとしており、99年度以降の予算も公表し続けるという。
日米金利差
日本と米国の長期金利利回り格差のこと。米国の10年国債利回りは、2000年現在、年6%前後で、日本とは4%強の差がある。一般に資金は低金利の国から流出し、高金利の国へ流れ込む。このためインフレ懸念がない限り高金利の国の通貨は上昇する。内外の機関投資家が日本に対する投資を引き上げ米国債などに資金を移せば、円売り、ドル買いにつながるため、円は下落する。
00/07までは日銀のゼロ金利政策の解除観測が円高、ドル安要因となっていた。しかし、00/08現在、日経平均株価の急落で早期解除観測が後退している。一方、米国では4〜6月期の成長率が高い伸びを示したことから、00/08の米連邦準備理事会での利上げ観測も再び浮上。金利差が一段と拡大するとの見方に注目した円売り、ドル買いが目立っている。
日経平均株価
日本経済新聞社が管理、運営する日本の代表的な株価指数。東京証券取引所第1部に上場している銘柄の中から代表的な225銘柄を選び、毎日1分間隔で算出、公表している。1950年に東証が算出を開始し、現在の名称で日本経済新聞社が算出を始めたのは1985年から。算出方法は、米国のダウ工業株30種平均の算出に使われているダウ修正方式を採用している。株式分割などの権利落ちによって市況の変動にかかわらず株価が下落した場合には、構成銘柄の株価の合計額を割る除数を小さくして連続性を維持している。
日経平均株価の算出銘柄
日経平均株価の算出銘柄において統合や合併があった場合、順次銘柄の入替が行われるが、持株会社方式で統合する銀行株については、後継会社の上場までの期間、銘柄の補充を行わない。このため、2001/03/27からは222銘柄、2001/03/30からは223銘柄という変則的な算出銘柄数という事態が発生している。2001/04/03からは、三菱東京フィナンシャルグループとUFJホールディングスが加わることにより、本来の225銘柄に戻ることになる。
日経平均構成銘柄
東京証券取引所第一部の上場銘柄のうち、売買が活発で値付き率の良い225銘柄が日経平均株価に採用される。除外基準は倒産債務超過などによる整理ポスト入りなど。また、市場流動性が相対的に低い銘柄を除外することもある。流動性は過去十年間の売買高と、売買高あたりの価格変動幅で測定している。東証一部上場銘柄のうち、流動性の高い上位二分の一が「高流動性銘柄」。補充の際は、高流動性銘柄と比べ、現行の構成銘柄に不足している業種を決めた後、より流動性の高い個別銘柄を抽出する。97年の見直しでは、合併により上場廃止となる三井東圧化学の代わりに東洋ゴム工業を補充、97/10/24から実施する。
日ソ共同宣言-1
1956/10に訪ソした鳩山一郎首相とブルガーニン首相が署名した日ソ国交回復宣言。領土問題が解決できず、平和条約ではなく共同宣言になった。@両国の戦争状態を終了させる、A平和条約締結交渉を継続する、B平和条約の締結後、ソ連は日本に歯舞諸島、色丹島を引き渡す、などが柱である。ソ連は1960年の日米安保条約改定に反発、外国軍隊の日本からの撤退を二島返還の条件にすると一方的に通告。2000/09に訪日したプーチン大統領は首脳会談で有効性を公式に確認した。
日ソ共同宣言-2
1956/10にソ連を訪問した当時の鳩山一郎首相とブルガーニン首相が署名した日ソ国交回復宣言。領土問題が解決できず、平和条約ではなく共同宣言になった。@両国の戦争状態を終了させる、A平和条約交渉を継続する、B条約締結後、ソ連は日本に歯舞諸島、色丹島を引き渡す、などが柱である。
宣言は日本の国会、ソ連最高会議で批准された。ソ連は1960年の日米安保条約改定に反発、外国軍隊の日本からの撤退を二島返還の条件にするとし、二島返還条項の破棄を一方的に通告した。
2000/09に訪日したプーチン大統領は首脳会談で有効性を公式に確認。2001/03の日ロ首脳会談で、日ソ共同宣言を「条約交渉のプロセスの出発点を設定した基本的な法的文書」と位置付けた。
日中貸越
同一営業日内に銀行口座の預金残高がマイナスになっても、事前の契約で銀行が一時的に貸し出す概念を利用して口座のマイナス残高を認めること。通常は担保となる資産規模などに応じて一定の限度枠を設ける。銀行の貸越によって資金決済のタイムラグを埋め、対象者は円滑な取引が可能になる。例えば、午後に予定されている入金まで口座残高が少なくても、午前から資金移動を伴う取引が滞りなく実施できる。金融市場では国債の売買代金や外国為替など資金の種類によって決済時刻が異なる。このため、証券会社や保険会社などでは1日の中で数字間だけ口座残高がマイナスになることがある。こうした場合に、資金効率を上げる目的で必要に応じて都市銀行などから日中の貸越を受けている。
日本企業の米国上場
日本企業によるニューヨーク証券取引所への上場は1970年のソニーが第一号。海外での知名度向上や株式の持合解消に対応した投資家の裾野拡大が主な狙いとなる。日本企業が株式を上場する場合、2002年現在、金融機関が企業から預かった原株を裏付けに発行する米預託証券(ADR)を上場するのが普通である。
日本工業規格
日本国内で使われる鉱工業製品の互換性を高めるなどの目的で、工業標準化法に基づいて定められる製品の経常や品質などの規格。規格を定めると、品質の改善や工場の生産性向上につながるほか、公害の防止や消費者の安全衛生確保などにも役立つとされる。各国の製品の規格が違うと貿易の妨げとなりかねない。このため、99/12現在、日本の工業規格を国際的な規格にできるだけ合わせるべきだという機運が高まっている。通産省は貿易と関連が深い約1,000品目の国内規格の見直しに取り組んでいる。
日本スペースガード協会
小惑星や、彗星の衝突から地球を守るために、1996年に設立された非営利組織法人。2002年現在、文部科学省の補助金により岡山県美星町に建設した美星スペースガードセンターの望遠鏡で、小惑星や人工衛星などの観測を実施している。
日本道路公団
高速道路を建設、管理する特殊法人。主に財政投融資資金から資金を借り入れて建設し、通行料収入で金利や管理費を返済する仕組み。2000年度決算で借入金残高が25兆円を突破しており、2002年現在、今後も採算性の低い路線の建設を続けた場合は全体の収支が悪化すると懸念されている。
日本版金融サービス法
銀行、証券会社、保険会社など、業態別に縦割りになっている業法の枠を超え、横断的な金融取引のルールを定める法律。00/06現在、日本版ビッグバンの進展を踏まえ、蔵相の諮問機関である金融審議会が検討を進めている。金融サービス法の制定に向けての動きは、金融商品の多様化、複雑化によって、旧来の業法では投資家や預金者の保護が難しくなっているとの判断が背景にある。第一弾として商品の元本割れリスクの説明を金融機関に義務付ける金融商品販売法が成立、01/04の施行が決まった。海外では英国が金融サービス、市場法を成立させ、消費者保護の強化や金融犯罪の防止などに取り組んでいる。そうした動きを受けて国内金融界でも、対顧客取引を見直す動きが活発化しつつある。
日本版401K
掛け金の拠出額だけが決まっていて、給付額は運用によって変更する年金制度。米国の代表的な確定拠出型年金制度が米国の内国歳入法401条K項に従って制度設計されていることにちなんで名付けられた。確定拠出型年金では資産運用のリスクは加入者側が負う仕組みで、企業の年金債務問題が浮上する中、その解決策の1つとして90年代後半に注目されてきている。自民党と厚生、大蔵など4省が提出した案によると、サラリーマンを対象とした企業拠出型に加え、自営業者や専業主婦が対象の個人拠出型も導入される見通し。米国では、401Kを通じた資金が株式相場の上昇を支え、米経済活性化の原動力の一因にもなっており、日本でも同様の効果を期待する声が多い。ただ、年金資産の運用リスクを従業員に転嫁することについては、産業界でも賛否両論がある。
日本輸出入銀行
日本開発銀行と並ぶ代表的な政府系金融機関。輸出や海外直接投資の振興を目的に1950年に発足した。融資や保証の残高は98/03末で10兆1,980億円。特殊法人統廃合の一環として、政府開発援助(ODA)の実施機関である海外経済協力基金と99年度に統合し、新しい機関になる予定。国際的な金融危機が続く中、日本がタイや韓国、ロシアなどに約束している巨額金融支援の窓口になっている。宮沢蔵相が98年に提唱した新たなアジア通貨危機支援策の中でもアジア諸国が発行する債券の買い取りや保証など、新たな役割を担うことが予定されている。海外経済協力基金との統合は業務のスリム化を目的の1つとしているが、国際金融市場の混乱でむしろ輸銀の業務は拡大する傾向にある。
ニューヨーク証券取引所
米国にある世界最大の証券取引所で、2000年末時点の上場企業は約2,900社、上場する株式の時価総額は約1,400兆円にのぼる。東京証券取引所の一部、二部合計と比べ、上場企業数は1.4倍、時価総額は約4倍の規模を誇る。国際的な市場間競争を背景に、ここ数年は米国外企業の上場を働きかけている。00/11末時点の米国外企業の上場は437社、過去10年で4倍強に膨らんだ。
任期付任用法
高度な専門知識を持つ民間人を5年以内の期限付きで国家公務員に登用するための法律。2000/11に自民、公明、保守の与党三党と民主党などの賛成多数で可決した。同法では弁護士や大学教授、公認会計士など高度な専門的知識、経験または優れた識見を有する人材を一般公務員より高い俸給で処遇する。同法の成立に合わせて、法務省は弁護士の公務員との兼職を自由化した。2001/03現在、公正取引委員会のほか、金融庁なども2001年度から任期付任用法に基づき、弁護士や公認会計士を採用する方針を打ち出している。
認証機関
製品の安全性や機能などが法律などで定められた基準を満たしているかどうかを審査して、問題がなければお墨付きを与える機関。審査は法律で義務付けられているものが多く、消費者や取引企業の選別基準になるため認証機関の認証がないと事実上販売できない。欧米では複数の民間企業が審査の正確性や審査手数料などで競争しており、認証はビジネスになっている。2000年現在、日本では監督官庁の影響力の強い特定の公益法人が独占している場合もあり、民間参入により手数料引き下げを求める声が内外から上がっている。
ヌーボマルシェ(nouveau
marche)
フランス店頭株式市場のこと。パリ証券取引所に96/02から開設され、96/03から売買が始まった。発足当初からマルチメディア関連や遺伝子解読専門のバイオ関連企業などが公開している。米国店頭株式市場(NASDAQ)がモデルで、情報通信をはじめ先端分野でベンチャー企業の育成が遅れているとのフランス産業界の声にこたえた。株式公開の最低基準は自己資本額が800万フラン、総資産が2,000万フランと低めに設定されている。隣国のベルギーでは、欧州版NASDAQと言われるEASDAQが96/09に開設され、今後は有望企業の争奪戦が激化するとの見方もある。
値付け
金融商品の流通市場での売買を活性化させるために、金融機関が売値と買値を提示して顧客からの注文に応じること。市場環境にかかわらず常時、売り買いの気配値を建てる。値付けをすることで市場の需給が調整され、安定的な価格形成と流動性の向上につながる。マーケットメーカーは価格変動リスクにさらされるなか、自己勘定で売買に応じなければならない。マーケットメーカーには相当量の資金や在庫が必要になる。債券や株式の引受主幹事を獲得するためには、マーケットメーク能力が要求される。新規発行銘柄を適切な価格に設定し円滑に販売するには不可欠のものだからだ。流動性が低い店頭株市場でも、流動性を高めるためマーケットメークを行う場合がある。
ネッティング-1
輸出入などで発生する外貨建ての債権と債務を特定の期日に一括して帳簿上で相殺し、差額分のみを資金決済すること。これまでは大蔵省の許可が必要だったが、98/04から施行した改正外為法で自由化され、決済額をまとめて事後報告するだけでよくなった。たとえば、A社が日本円を外貨に換えてB社に送る一方、B社が外貨を円建てにしてA社に送金すると、取引のたびに為替手数料や送金手数料を銀行に支払う必要がある。ネッティングでこうした手数料を削減できるため、採用する企業が急増している。企業他企業の相対で取り引きするバイラテラルネッティングのほか、ネッティングセンターなどに資金決済を集約し複数の企業間でまとめて相殺するマルチネッティングがある。
ネッティング-2
グループ企業間または取引先企業同士で製品や部品、サービスなどを売買すると、債権と債務が発生する。それらを特定の期日に一括して帳簿上で相殺し、差額分だけを決済する手法を指す。相殺決済や差額決済とも呼ばれる。例えば鉄鋼メーカーが商社から鉄鉱石を仕入れ、製品の鋼板を商社に販売した場合、通常は資金が移動するたびに手数料を金融機関に支払っている。ネッティングを活用すると差額分だけしか資金が移動しないため、手数料を削減できる。支払いに備えて手元資金を厚くしておく必要もないため総資産の圧縮も可能になる。複数のグループ企業同士の決済を相殺するマルチネッティングと、企業対企業の相対決済を相殺するバイラテラルネッティングがある。
ネット銀行
インターネットを利用して預金や送金業務を扱うほか、公共料金の振込やネット上での買い物の代金を口座から引き落とすなどの決済サービスを提供する銀行。支店網を持たずに営業するので人件費などの経費を節減でき、高い預金金利や安い手数料を実現できるとされている。利用者は銀行の窓口に足を運ぶ必要がなく、家庭内のパソコンで取引できる。
99年時点で、ネット銀行展開の動きは欧米で先行しており、日本でもインターネットの普及を背景に急拡大が見込まれている。99/12現在、さくら銀行が住友銀行、富士通などと共同でネット銀行を設立する計画を表明している。既存の銀行にとどまらず、事業会社も新規参入の機会をうかがっている。
ネット金融-1
インターネットを利用した金融取引やサービスの総称。個人と企業、企業と企業の間の取引が考えられる。特に個人の証券取引での利用が盛んだが、銀行、生損保の販売、個人向けローン、資産運用のコンサルティングなどにも広がっている。
00/03現在、ネット証券取引は外資系も含め約50の証券会社がサービスを展開。ネットバンキングは全ての都市銀行が今夏までに開始、異業種の参入計画も相次いでいる。通信料金の低下などで利用者は加速度的に増加しているとみられ、伝統的な取引方法を脅かす存在になることが確実視されている。ネット金融では実際の取引相手が存在するのか、操作ミスによる契約上のトラブル、悪用、個人情報の保護が問題になる。取引上のトラブル防止策に加え、法令整備、金融、通信分野の規制緩和、商慣行見直しなどが課題になっている。
ネット金融-2
インターネットを使った銀行業務や株式売買の取次など、金融取引やサービスの総称。金融機関と個人顧客、金融機関と企業の間の取引がある。株式売買の取次が先行したが、2001/01現在、銀行、生損保、個人ローン、商品先物、為替などにも急速に広がっている。金融機関はネットを活用して人手を介さない仕組みにすることで経費を削減、顧客が支払う手数料の大幅な削減につなげている。一方でシステムの安定性や操作性、取引に関する情報保護の安全性などの面で問題がくすぶっている。
ネット金融サービス
インターネットを利用した金融サービスには、ネットを通じて資金そのものを顧客に融資する業務と、ネット取引によるものの移動に注目して買い手の決済を代行するなど、支援業務の2種類がある。2000年現在、前者のネット融資は流通など銀行以外の異業種参入が目立ち、競争が激化している。
ネット決済規格
インターネット上での買い物代金を銀行口座から即時に引き落としたり、クレジットカードで支払ったりする時の規格。顧客の口座番号をどのように電子データ化し、暗号処理してやり取りするかといった内容を設定する。郵便貯金や富士銀行などは米国のクレジットカード会社などが採用するグローバル規格を使い、将来的には海外で作成されたホームページでも買い物ができる体制を整える。一方、住友銀行などはより少額の投資でサービスが提供できる日本独自規格を構築することを打ち出している。金融インフラで複数の企画があると、消費者の混乱を招く上、小売店にとっては投資がかさむ。このため、ICカードの発行ではほぼ全ての金融機関が規格を共通化することで合意している。
ネット決済サービス
現金を直接やり取りせず、インターネット上のデータ処理により、購入した商品やサービスの代金を支払う決済サービス。決済の迅速化、合理化に役立つ。パソコン、携帯電話のほか、将来はデジタルテレビなども端末として利用できると見られる。暗号化技術を使って、口座番号や暗証番号など個人情報を守れる安全な決済システムを、それぞれの端末に対応する形で開発する必要がある。金融機関や流通各社などは、ネット決済システム構築が顧客を獲得する有力な手段になるとみて、実用化を急いでいる。
ネット証券取引システム
顧客からのホームページへのアクセスを受け付けるウェブサーバー、売買注文や約定を処理するアプリケーションサーバー、顧客の属性、取引履歴、預かり資産残高、銘柄情報を管理するデータベースサーバーの3種類に大別される。顧客がパソコンで売買注文を入力すると、証券会社のサーバーを経由して、自動的に証券取引所のシステムに流れる。ほとんど人手を介さずに注文を執行できるのが特徴で、証券会社は手数料を格安に設定することができる。
99/10以降に頻発しているシステムトラブルはシステムの処理能力を超えるアクセスが主因だが、通信手段に公衆回線を使用していることなどの理由で、証券会社がシステムを増強するだけではトラブルを完全には防げないとの指摘もある。
ネット証券の再編
1999/10に実施された株式委託手数料の完全自由化をきっかけに、格安手数料を特徴とするインターネット専業証券が相次いで設立された後、2000年秋以降、合従連衡の動きが盛んになっている。
2000/01現在までにまとまった合併は、イーウィングと日本オンライン(新社名はカブドットコム)、日興ビーンズとインターネットトレーディング、マネックスとセゾンの3組。カブドットコムにはウィットキャピタルの個人取引口座も統合される。
ネット上の権利侵害
インターネットのホームページは個人でも簡単に作成できるため、音楽CDやテレビ番組の映像を勝手に使ったり、他人を誹謗、プライバシーの暴露を書き込むことも可能である。2001年現在、電気通信事業法や憲法で認められた通信の秘密、表現の自由との関係で、ネット接続業者は被害者からホームページの削除などを求められても、事実上対応できない状態にある。米国は通信品位法やデジタル著作権法で、被害者が裁判所で簡易な手続きを取れば、接続業者によるホームページ管理者の氏名、住所の公表、掲載情報の削除が可能。情報の検閲の側面も持つため、行政当局が公表や削除の命令を出さない仕組みになっている。
ネット専業銀行
店舗を持たずインターネット上で口座開設、振込、ローンなどの金融サービスを提供する銀行。店舗費や人件費が少なくてすむため、通常の銀行より預金金利が高く振込手数料は安い。24時間利用できる利点もある。ネット普及とともに、1990年代半ばから米国や英国で相次いで誕生した。日本では三井住友銀行が富士通などと共同で2000/10に開業したジャパンネット銀行が最初である。
ネットバンキング
従来の銀行のように店舗網などを使わずに、インターネットで通常の銀行と同じ効果を持つような営業活動を展開すること。ネット上で預金の受け入れや資金決済、小口ローンなどを実行することが主力業務になると見られている。具体的にはネット上での仮想商店で買い物をした際に、商品代金を即座に引き落としたりする業務などがある。米国では90年代に入って急速に普及。日本でも99/07に、さくら銀行が富士通と共同でネット専業銀行を作る方針を打ち出している。
ネット販売
インターネットを通じてメーカーなどが卸業者を介さずに消費者から直接注文を受け、届ける販売の仕組み。00/02現在、国内でもインターネットの普及に伴い、企業向けのパソコン販売、消費者向けには書籍や雑貨のネット販売が活発化している。ネットの先進国の米国では自動車の仲介販売なども台頭している。ネット販売の特徴は消費者が家庭にいながら買い物ができる点。一方、企業にとっては販売コストの削減、在庫管理の徹底、顧客情報の直接把握などのメリットがある。今後、主要な販路に育つといわれ、通産省などの予測では2003年に消費者向けの電子商取引市場が3兆5,000億円以上の規模になる。
ネット向け定額通信サービス
一般家庭から電話回線を使ってインターネットを利用するには、通信会社へ電話料金、ネット接続会社へネット接続料をそれぞれ支払う必要がある。ネット接続料は定額制が主流だが、電話料金は時間と距離に比例する従量制。このためネットを長時間利用すれば、費用が大幅に上昇する難点がある。ネット先進国の米国では、市内電話料金に定額制が導入されており、日本でも市内回線をほぼ独占する日本電信電話(NTT)に対して導入を求める声が高まっていた。NTTは99/11から試験提供を始めたが、産業界や消費者からは料金が高すぎると批判されていた。
年金資金運用基金-1
財投改革の一環として旧年金福祉事業団から資産を引き継いで、2001/04に発足した公的年金積立金の自主運用機関。2001/06の運用総額は政策協力として引き受ける財投債を含めて約40兆円。大部分の資産運用を信託銀行や投資顧問などに委託するほか、国内債券の一部をインハウス運用する。従来、約144兆円に上る公的年金積立金は、旧財務省資金運用部、現在の財政融資資金特別会計に7年満期の固定金利で預託され、郵貯や簡保資金とともに特殊法人に資金が流れる構造になっていた。これに対し財投改革の一環として預託をやめ、基本的に市場運用することになった。ただ、預託分が全て償還を迎えるのは7年後のため、約144兆円全てを市場運用するのは早くても7年後となる。
年金資金運用基金-2
2001年度から公的年金を運用している厚生労働省所管の特殊法人。2000年度までは公的年金の保険料などの収入から給付金などの支出を差し引いた剰余金は全額を固定金利の財政投融資に預託し、積立金として蓄えてきた。この一部は年金福祉事業団が預託金利と同じ金利で借り入れ、自主運用してきたが、預託金利の支払負担が重く運用効率が上がらないため、2001年度からは財政投融資への新規預託を廃止。年金福祉事業団を衣替えして新設した年金資金運用基金が市場で自主運用を拡大している。
基金は2008年度までに預託金を順次圧縮するとともに、運用効率を高めるため株式など市場での運用比率を高める計画。翌年度の運用計画は毎年度末、社会保障審議会年金資金運用分科会に諮り、正式に決める。旧年金福祉事業団の2000年度末時点の累積赤字1兆7,000億円も基金が引き継いでおり、2001年度以降10年間の運用益で穴埋めしていく予定。
年金資産管理
信託銀行は企業の年金基金からサラリーマンの年金給付に充てる資産の管理運用や投資信託などを受託している。銀行では専業信託のほか都市銀行の大和銀行などが手掛けているが、各行の運用力や信用力で年金基金の受託額に格差が広がっている。企業年金の運用管理はシステムに膨大な投資が必要といわれる。欧米では投資に耐えられる資金力のない金融期間が業務から撤退した例もある。国内では、競争力維持のため、三菱信託銀行と日本生命保険のように信託と生保で資産管理を専門に手掛ける新会社を設立する動きが出てきた。
年金住宅融資
公的年金の保険料を負担している現役世代のための事業として厚生労働省所管の特殊法人である年金福祉事業団が1973年度に始めた。2001年度から同事業団を衣替えして新設した年金資金運用基金が引き継いでいる。2000年度末の融資残高は約8兆8,000億円。2002年度現在、特殊法人改革に伴い2005年度以降は新規融資を停止する方針が決まっている。
1990年代後半から借り手の自己破産や失業などで返済が焦げ付く融資が急増し、ローン保証会社が利用者に代わって公益法人に弁済する保険事故も増加している。原資は基金が年金積立金から借りた資金なので、ローン保証会社が弁済できず公益法人から基金への返済が滞ると将来の年金給付に備える年金積立金に穴があく恐れがある。それを避けるため、基金は公益法人の融資業務を代行している金融機関と保証契約を結んでいる。
年金信託
管理と運用を目的として、企業や団体から年金給付に充てる資産を引き受ける信託制度。厚生年金基金と税制適格年金、国民年金基金が年金信託の委託者となる。信託銀行は年金信託の受託と併せ、年金資産の管理と運用に関わる事務処理も手がけている。
97/12末の年金信託残高は31兆4,200億円。前年同月末比で1兆9,850億円、6.7%の増加。中でも外資系信託銀行の伸びが好調で、残高は同108.0%増の6,422億円だった。
99年度下半期には都市銀行や証券会社などが設立した信託子会社に年金信託の取扱いが解禁される見込み。ただ、システム開発などの投資がかさむとの判断から年金信託への参入に慎重な親会社も少なくない。
年金専用ファンド
年金給付のための流動性資金を一元的に管理する団体年金向けの運用商品。97/04に信託銀行に取扱いが解禁された。待機資金を有効活用することで運用効率の向上が図れるため、97/10時点で529の厚生年金基金が導入を決定、財産総額は840億円に達している。厚年基金などは年金の給付に備え、受託資産の1割程度を常に待機させておく必要がある。複数の運用委託先の内、特定のファンドに給付用資金を集めれば残る資金は株式や債券への純投資が可能になり、運用利回りの向上が期待できる利点がある。生命保険業界も同様の商品の導入に向け、97年秋に共同の研究会を発足させた。ただ生保の場合、掛け金である保険料と給付の間に一定のバランスを保つ必要があるため、実現に向けた障害は多い。
年金退職金の積立不足-1
年金退職金の将来の必要額に対して、年金資産と貸借対照表に計上済みの退職給与引当金の合計額が満たない部分を指す。2001/03期から導入される退職給付会計では、年金と退職金を一括して対象にする。新会計基準への移行時に発生する積立不足について、企業は15年以内に処理することが求められる。積立不足は、年金資産の期待収益と実際の運用成績との差額や、死亡率、昇給率などの見積もりと実績の乖離などから発生する。日本経済新聞社の集計によると、上場企業の年金退職金の積立不足は主要65社だけでも約6兆2,000億円に達する。
年金退職金の積立不足-2
企業が従業員に支払う年金退職金の必要額に対し、年金資産と退職給付引当金の合計額が満たない部分のこと。2001/03期に導入される退職給付会計では企業は年金退職金の債務を開示するほか、積み立て不足を15年以内に解消しなければならない。長引く低金利などの影響で、企業の年金退職金の積み立て不足が膨らんでいる。このため、日立製作所は全額出資の資産運用会社を設立、グループの年金運用を強化する。新会社はグループで1兆8,500億円の年金資産の1割から2割程度を運用する方針だ。決算が連結中心に移行しつつあるなか、日立が資産運用会社の設立に踏み切ったのは、大企業にとってグループ全体で年金問題に取り組む重要性が増していることを象徴している。
年金退職金の積立不足-3
企業は年金や退職金を将来にわたって支払うための資金を準備しておく必要がある。この必要額に対し実際に準備した額が十分でないことを積立不足という。必要額は従業員数や給与水準などをもとに一定の利回りを加味して算出。年金の資産や退職給与引当金が実際に準備した額になる。2000年現在、低金利など年金基金の運用難に加え、退職金の引当も十分でないため、積立不足が多額にのぼる企業が多い。
01/03期から退職給付会計が導入され、従来の会計制度では明らかにされなかった年金退職金の積立不足の開示が義務付けられる。
年金特金-1
信託銀行が扱う年金業務で年金信託、年金指定単と並ぶ基幹分野の一つ。特定金銭信託契約の略称。企業年金から資産運用を委託された投資顧問会社は、一旦資産を信託銀行に預けた上で運用指図する。信託銀行は株式や債券の保管、資金決済、記帳等の事務管理を扱う。信託銀行が厚生年金基金から受託した特近残高は98/03末で約7兆300億円と前年比5割増となった。特に増加が目立ったのは外銀系信託で受託残高の伸びは3倍を超えた。外国債券や株式の事務管理に強い外銀系のシェアが広がった。年金資産の管理から運用まで携わる年金信託に比べ年金特金の信託報酬は少ない。残高が一定水準を超えないと採算に乗らないので、年金特金から手を引く信託も出始めており、信託銀行間の格差が目立ってきた。
年金特金-2
信託銀行が年金基金から管理運用を目的にして年金資金を受託、投資顧問会社の指図に従って管理運用する信託。投資顧問会社の指図に従って信託銀行は有価証券の保管決済などを取り扱う。議決権の行使など運用にかかわる権限は投資顧問会社にある。99/10に年金関連業務が信託子会社にも解禁されるため、扱えるようになった。信託業務では93年以降、特定金銭信託(特金)や貸付信託などの業務が順次解禁された。99/10には年金特金のほか年金信託も解禁され、信託子会社もほぼ専業信託並みの業務が扱えるようになった。ただ、99/10現在、都銀と信託銀行が共同店舗を設立したり、都銀の傘下に入る専業信託もあり、子会社方式による規制緩和策は歴史的な役割を終えたとの指摘も出ている。
年金特金-3
信託銀行が年金基金から資金を受託し、投資顧問会社の指図に従って管理、運用する信託。信託銀行は主に有価証券の保管と決済をする。議決権など運用にかかわる権限は投資顧問会社にある。99/10に年金関連業務が都市銀行などの信託子会社にも解禁されたが、00/05現在、本格参入する銀行は少ない。年金特金は多額のシステム投資を必要とする。2000年現在、ここ数年の不良債権処理で収益力が低下するなか、信託銀行の間で投資姿勢に差が出始めている。2002年を目処に証券取引が約定から1営業日後に決済するT+1に移行する見通しで、人手を介さずにコンピュータシステム上で有価証券の取引過程を一貫処理するストレートスループロセシング(Straight
Through Processing、STP)の体制整備をはじめ、情報技術投資が今後の受託動向を左右するとみられている。
年金特金-4
投資家や企業から資金を預かり信託銀行が管理する特定金銭信託の一種で、信託銀行の主力商品の1つ。厚生年金基金などが投資顧問会社を通じて信託銀行に資産の管理を委託する。信託銀行には預った資産を運用する権限はなく投資顧問の運用指図に従って有価証券の保管、決済や配当金の受取など事務を管理する。議決権の行使も投資顧問が判断する。信託銀行の00/07末の受託残高は約18兆1,000億円で00/03末に比べて9%程度増加した。年金特金は多額のシステム投資が必要な半面、手数料率が低い。受託規模が一定水準を超えないと利益を確保することが難しい。このため、信託子会社の業務規制が撤廃された99/10以降も本格的に参入する動きは少なかった。即時決済の流れや時価会計への制度変更に対応するには多額の投資が必要なだけに、大手信託による寡占が進むとの声もある。
年金の海外投資
代表的な企業年金である厚生年金基金では総資産額のうち国債など安全資産を5割以上とし、株式と外貨建て資産をそれぞれ3割以下、不動産を2割以下にしなければならない、いわゆる五三三二ルールがあった。年金資産の運用市場に参入したい欧米金融機関や基金側の要望を背景にこの規制は1997年末に撤廃された。これにより年金基金は受託者責任に注意しながら原則あらゆる運用資産を手掛けられるようになり、外国有価証券への投資も進んだ。基金にもよるが、2001年現在、2〜4割が外貨建て資産により占められているといわれる。
年金の財政計画
正式名称は財政再計算。保険料収入を左右する賃金などの経済動向や将来の人口に一定の前提を置き、これに基づき長期的な保険料、運用収入と年金給付支出を見積もる。2000年度からの財政計画は賃金上昇率2.5%、物価上昇率1.5%、運用利率4.0%と見込み、出生率は長期的に1.6台に回復するという人口推計を前提にしている。
高齢化で人口に占める年金受給者比率が急激に高まると、現役世代の保険料を一気に引き上げなくてはならない。保険料負担の激変を避けるため財政計画では厚生年金保険料を2004/10から段階的に引上げ、2025年度までに月収の約28%に高める予定。2002年現在、国庫負担率は給付費の3分の1であるが、これを2004年度から2分の1に高める計画もあり、実現すれば保険料は月収の約25%に抑えられる。
年金の時価会計
代表的な企業年金である厚生年金基金は98/03期決算から時価主義に移行した。年金財政の悪化を背景に年金加入者や企業などから正確な情報開示を求める声が強まっていたことに対応した措置。資産の評価方法を従来の簿価評価から時価評価に変更し、企業は株式市況低迷などで膨らんだ含み損の処理を迫られた。株価下落で塩漬けにしておいた年金信託の合同ファンドなどは数千億円に上る含み損を出したとみられる。基金は特別掛け金を設定したり、母体企業に補填してもらったりして償却を進める。時価会計移行に伴い、信拓銀や生保、投資顧問など運用期間により評価結果に違いが出る例が目立っている。時価評価の方法が異なっているためで、厚生年金基金連合会は評価法の統一基準を作成している。
年金の利差損
年金の運用利回りが、あらかじめ決めた予定利率を下回ったときに生じる損失のこと。99/04/22現在では予定利率を5.5%に設定している年金が多いが、株式相場や市場金利の低価により、運用環境が悪化しているため、大幅なり差損が生じている模様だ。日本格付投資情報センター(R&I)が推計したところによると、98年度の年金の運用利回りは2.23%にとどまり、97年度の7.04%を大きく下回った。特に外国株式の利回りは0.13%だったうえに、外国債券はマイナスに落ち込んだ。企業年金の資産規模は98/03末で68兆円弱に達しており、約2兆円の利差損が生じる計算となる。利差損は企業の収益を圧迫する要因となるため、予定利率を引き下げる動きが相次ぎそうだ。
年金福祉事業団-1
公的年金加入者の福利厚生の向上を目的に設立された特殊法人。年金資産を活用して住宅資金を融資しているほか、全国13ヵ所で大規模保養所を運営している。年金資産を信託銀行や生命保険会社などに委託して運用する事業は、年金積立金を増やして、将来の保険料の上昇を抑えるために始めた。しかし、年金資産の運用や保養所での運営で赤字が目立つようになり、小泉純一郎厚相が年金加入者のためになっていないとして、廃止を含めた見直しを表明。97/06の閣議で2000年頃をめどに廃止されることが決まった。これに伴い、保養所、住宅融資などからの撤退策も検討されている。
1961年に設立。厚生年金保険及び国民年金の福祉施設の設置運営を主目的としてつくられた。年金担保融資もしている。しかし、民間なら職員数は半分ですむといわれている。主管省庁は厚生省で、同省の天下りが多いが民間出身の理事もいる。2000年に業務撤退廃止の予定。職員数165人。95年度の政府交付金収入は516億円。
年金福祉事業団-2
厚生省が1961年に設立した特殊法人。大蔵省資金運用部からの借入を元手に資産運用業務にあたる。24兆821億円(98年3月末)の資産規模は、年金マネーの運用主体としては世界でも有数の規模。信託銀行、生命保険会社などを通じ、国内外の株式、債券、短期金融商品に投資する。事業団の投資し政が金融市場に与える影響力は大きい。いわゆるPKO(株価維持策)の実行原資として、決算期末などに事業団の資産が投入されることもある。事業団は資産運用のほか、年金加入者に対する住宅資金融資、大規模保養施設事業を手がける。年金資産の運用や保養地の運営では赤字がかさみ、事業団は97/06の閣議で2000年度にも廃止されることが決まった。トップは厚生省OB(最終職は環境事務次官)の森仁美氏。事業団には社会保険福祉協会、年金住宅福祉協会など全国に53の関係団体があり、年金ファミリーを構成する。
年率換算
各月や各四半期の増減率を年度ベースに引き直す統計上の手法。国内総生産(GDP)や物価上昇率など、年度の数値に対する関心が強い指標で用いる。GDPの場合は四半期ごとの統計なので、前期比の増減率を4乗した数値が年率の成長率になる。年率換算した成長率を瞬間風速ともいう。物価指数などの月次の統計は12乗する。
99年1〜3月期のGDPは前期比1.93%増なので、1.0193を4乗した1.079(7.9%増)が年率換算の成長率。瞬間風速としては96年1〜3月期の12.3%以来、3年ぶりの高さとなる。
燃料電池-1
燃料となる水素を酸素などの酸化剤と反応させて、その反応エネルギーを電気として取り出す発電装置。排熱利用と合わせたエネルギー効率が80%と最新の石油火力の2倍に相当する効率の良さが特徴。排出物も水だけで環境負荷が極めて低く、次世代の動力源、電源として自動車のほか、発電機などへの利用が見込まれている。
2000年現在、潜水艦など軍事目的で一部実用化しているが、本格的な普及にはコストや小型化、軽量化、燃料インフラの整備が課題。自動車での利用は耐久性が厳しく求められる半面、量産効果が期待できるため開発に拍車がかかっている。
燃料電池-2
水素と酸素の化学反応で発電する仕組で、水が電気分解で水素と酸素を分離するのとは逆の作用を利用する。2002/01現在、メタノールやガスを改質して水素を取り出す方式や水素を直接送り込む方式がある。排出されるのは水だけで環境への負荷は極めて低い。
自動車向けのように大型で大出力が必要な燃料電池は、低コストで安定的に水素燃料を供給できる技術の確立が不可欠であるが、携帯機器向けの電池は要求出力も低く、簡単な構造ですむので、技術的なハードルが低いといわれている。また、自動車用のような燃料供給インフラを整える必要もない。
燃料電池-3
水素と酸素の化学反応で発生する電気を取り出す装置で発電機に近い。2002年現在、自動車のほか、パソコン、住宅の給湯器なでへの利用が研究されている。自動車でガソリンから水素を取り出す方式もあるが、高圧水素ボンベを積む場合は補充基地を各地に置く必要がある。天然ガスから取り出す住宅用では都市ガス網が使える。
農協の共済事業
農協法に基づき農家が共同組織形態を作り、組合員の病気やけが、死亡、事故などに対応する相互扶助事業。一般の生命保険や損害保険に相当する。農協の共済は生命保険と損害保険の両方の機能を持つ。農協の共済は営利を目的とせず、非組合員でも加入できる。農協の共済事業は以前は、農協−共済連−全共連の3段階からなり、組合員が農協と保険契約すると農協は共済連と再契約し、共済連が更に全共連と再々契約するという形態を取っていた。
00/04には、全国の共済連と全共連が統合し農協−全共連の2段階に再編された。保険業界の競争が激化するなか、経営基盤の強化や事業効率化を図る狙いによる。統合によって運用資産は35兆円を超え、第一生命保険を上回り国内第2位の規模になった。
農協の信用事業改革
農林中央金庫、都道府県単位の信用農業協同組合連合会(信連)のほか、JAと呼ばれる地域単位の農協の三層構造で形成される農協系統金融機関の経営基盤強化に向けた取り組み。破綻を未然に防ぐため、信連、農協の再編を促すのが改革の柱。
2001年通常国会に、農協法や農林中金法など関連法改正案を提出する予定。金融庁や都道府県が早期是正措置を発動する対象となるのは、自己資本比率が4%未満になった金融機関だが、その前に独自のルールに基づき合併や事業譲渡などを検討させる。不良債権の表面化で1996年に農林中金と信連の統合を促す法律が成立したが、2001年現在、農水省の思惑通りには進んでいないとされる。
納税者番号
納税者となる個人や法人にそれぞれ番号をつけ、税務署が所得や納税の状況を把握しやすいようにする制度。2002年現在、米国や北欧諸国で既に導入されている。税を集める業務の効率を高めたり、納税者同士が公正な税負担をしていることを確認しやすくする効果があるとされる。2002年現在、政府税制調査会は基礎年金番号や住民票コードなど導入済みの番号制度活用を軸に導入を検討している。
国民の間では、行政機関にプライバシーを侵害されないかといった懸念から、番号制への抵抗感が根強いとされる。一方、金融取引の複雑化や国際化で所得の把握が困難になっている税務当局は番号制の導入を望んでいる。
農林系金融機関
農業協同組合の組合員を主な対象とする銀行(信用)、保険(共済)事業の組織。00/07現在、農協の組合員は全国に約900万人いるため、大手銀行などと並ぶ国内金融の主要な担い手となっている。市場占有率は1998年度末ベースで貯金量7.4%、保険の保有契約高13.4%となっている。信用、共済両事業の商品は農協店舗で一括して販売されているが、担当職員が縦割りのため顧客の利便性が低い。また、両事業は貯蓄性金融商品で顧客を奪い合ってきた経緯もある。農水省をはじめ農協関係者は2000年秋に農協全国大会を開き、金融部門を含む抜本的な経営改革案をまとめることになっている。
ノックアウトオプション-1
外国為替の直物相場が一定の期間に、一定のレートに達した場合に消滅するオプション。ドルコール円プットを例に取ると、例えば6ヶ月先に1ドル140円でドルを買うという権利に加え、150円までドルが上昇すれば、ドル買いの権利が消滅するという条件を付ける。オプションを購入する側にとっては、権利消滅の条件を付けることで、オプション料を低く抑えられるという利点がある。市場関係者によれば、98/08に米系ファンドは150円近辺で権利が消滅するノックアウトオプションを大量に保有しているという。ドルコールのノックアウトオプションを売った銀行は、ドルが下落した場合のリスクを考え、予めドルを売っておく???。ドル相場がノックアウト水準を付けると大量にドルを買い戻すため、ドル上昇を勢いづける一因になる。
ノックアウトオプション-2
為替相場がある一定の水準に達すると、売買権利が消滅(ノックアウト)する条件を付けることで、オプションの料金を安くするタイプのオプション。オプション量が節約できる利点が受けて、90年代初めに活発に取引され、その後一般的になった。例えば、3ヶ月後に1ドル125円で円を売ってドルを購入すると同時に、円の直物相場が1ドル120円に上昇したら権利が消えるという条件を設定する。このオプションを組み入れたのがゼロコストオプション。オプションの売りと買いを組み合わせることで、オプション料を相殺し、為替リスクのヘッジコストを押さえる。このオプションを利用したい企業は売る権利を銀行などから購入すると同時に、買う権利を売却する。
ノックアウトマウス
病気などに関係する特定の遺伝子を人為的に欠落させたマウスで、2002年現在、遺伝子の研究に広く活用されている。
のれん代
企業が持つ超過収益力のことで無形固定資産の代表的項目。株式取得などで企業を子会社化した場合、購入金額と親会社の株主資本持分が一致することは珍しい。この差をのれん代という。のれん代は商標や商号に対する消費者の人気や技術水準が高いなどの理由で生じる。会計上の資産として認められるのは有償の譲受や合併に限られ、自社が創設することは認められていない。のれん代は償却する必要があり2000年現在、最長20年となっている。のれん代を連結貸借対照表に計上したのが連結調整勘定。株主資本1億円の企業の株式60%を2億円で購入すると親会社の持分は6,000万円で、差額1億4,000万円は連結調整勘定として連結貸借対照表の資産に計上する。株式購入金額が親会社の持分を下回れば差額を連結調整勘定として負債計上する。
ノンバンク社債法
消費者金融などのノンバンクが社債の発行を通じて貸付のための資金調達をできるようにする法律。従来はノンバンクの発行する社債は設備投資などに使途を制限されていた。99/04/14に国会で成立し、5月中に施行される見通し。ノンバンクの社債には出資法で使途制限があり、業界には改善を求める声が強まっていた。大蔵省は投資家保護のために、発行可能なノンバンクを資本金10億円以上に限定し、銀行並みの経営情報の開示も義務付ける。ノンバンクにとっては資金調達手段の多様化につながるが、社債の発行条件は格付などの影響を受けるため、大手と中小の収益格差が拡大する契機になる公算もある。調達コストが下がれば貸出金利の引き下げを求める圧力も強まりそうだ。
ノンリコースローン-1
返済財源を担保に限定した融資手法。借り手が借入金を返せなくなっても、貸し手は担保不動産以外に返済財源を求めない。欧米の不動産融資では定着しており、日本では非遡及型融資と訳される。対象不動産の収益性が融資判断の基準になる。日本の企業向け融資は借り手の信用力がベース。借り手が返せなくなり担保不動産を処分しても残存額に満たない場合、残りの債務返済を求められる。この結果、不動産の価値算定がおろそかになり、地価下落によって邦銀の不良債権を膨らませる一因になった。対象ビルなどの収益性を精査した上で、リスクを織り込んで融資額、期間、金利を決める。賃貸収入などは銀行が厳重に管理、追加担保も許さない。権利関係が明確で、リスクが判断しやすいため証券化にも適しているとされる。
ノンリコースローン-2
融資の返済額を債務者が金融機関に差し入れた担保の範囲内に限定するもので、非遡及型融資とも呼ばれる。金融機関は事業の収益性を考慮し、貸出金利を決定する。一般的にリスクが高いため、金利も通常より高水準になる。従来の銀行融資では担保価値が目減りすると、担保を処分しても実際の融資額との差額は引き続き債務として残る。このため、99/11現在では、ノンリコースローンを価格変動リスクの大きい不動産案件への資金供給手段として活用するケースが増加している。銀行が事業計画を厳密に管理するため、資金の流れや権利関係が明確で、資産を証券化して投資家に売ることが容易だとされる。ただ、事業の採算性の判断などが難しい場合もあり、普及には課題も少なくない。
ノンリコースローン-3
非遡及型融資を指す。融資の返済額を債務者が銀行に指し入れた担保の範囲内に限定する仕組み。通常の融資は企業自体に資金を貸し付けるため、担保処分後にも実際の融資額との差額が引き続き債務として残り、企業は返済を求められる。ノンリコースローンでは特定の事業を対象に融資し、銀行は融資実行の判断基準を事業の収益性に求める。一般的にリスクは高く、金利は通常よりも高水準になる。
00/03現在では、価格変動リスクの大きい不動産案件への資金供給手段として活用する事例が増加している。特に不動産証券化案件で目立つ。証券化案件では対象不動産を特定目的会社(SPC)に売却し、SPCが優先部分と劣後部分に分けて資金調達する際に優先部分の調達方法として使われるのが一般的である。
ノンリコースローン-4
融資した金融機関が借り手に対し、返済の財源を担保物件の金額の範囲内に限定する融資。借り手が返済できなくなり、担保価格が下落して融資金額を割り込んでいれば、返済額もその分減少する。非遡及型融資とも呼ばれる。通常の融資は企業自体に資金を貸し付けるため、担保処分後にも実際の融資額との差額が債務として残り、企業は返済を求められる。ノンリコースローンはリスクが高い分、通常の融資より金利が高水準になる。
2000年現在、不動産の投資案件に対する資金供給手段として活用する例が多い。資金の流れや権利関係が明確で、融資を証券化して投資家に販売することが容易とされる。
ノンリコースローン-5
回収財源を不動産など担保の価格の範囲内に限定する融資形態。借り手が借金を返せなくなり、担保価格の下落で融資金額を割り込んだ場合は、貸し手の回収金額もその分減少する。非遡及型融資とも呼ばれる。通常の融資では、借り手の信用力をベースに資金を貸し付けるため、担保処分後にも実際の融資額との差額は債務として残り、借り手は返済を求められる。ノンリコースローンの方が高リスクの分、通常の融資より金利は高くなるのが一般的。
2001年現在では、不動産投資に活用されるケースが増加している。対象不動産の収益性を精査し、リスクを織り込んで融資額、期間、金利などを決定する。通常の融資に比べて権利関係が明確でリスクが判断しやすいため、ローン債権を証券化するのにも適しているとされている。