推薦盤

木原さとみ 「Satomi from Tokyo Performance Doll」
木原さとみ / Satomi from Tokyo Performance Doll
In the Arm of Night
素顔のくちびる
スキャンダルが終わる
風酒花伝
Cheery Merry Kiss !
Night Rain
19××
サヨナラにKissを
星屑のフリータイム
もしも・・・の春
東京パフォーマンスドールで歌の二枚看板をはっていた木原さとみ(以下リーダー)のファーストアルバム。(もう一人はもちろん米光美保)

彼女のボーカルの特徴っていうのがいくつかありまして、「太い」「語尾の抜けに艶がある」そして「不安定」。この「不安定」っていうのが曲者で(^^ゞ 体調や曲調によってボーカルの印象がかなり変わってきます。彼女の場合TPDで多い「ビートの早いダンスミュージック」では正直「ついていくのがやっと」という印象を受けるのに、調子がいいときに歌謡曲寄りの歌を歌わせると天下一品。恐いものなし状態。

そんな彼女のボーカルの良さを引き出すためかこのファーストアルバムでは打ち込み色はかなり抑え目に「生音」寄りのサウンドに仕上がっています。アレンジは全曲、山川恵津子が担当(『NIGHT RAINのみMSTとの共同アレンジ』)。彼女のアレンジが木原のボーカルと楽曲を際立たせることに貢献しているのは聴いていただければわかるはず。これだけ徹底して「歌謡曲」に固執しようとした姿勢は当時の状況を考慮しても評価できるし、かなりの冒険だったはず。それをあえて発表したのは木原が息の長い「歌手」としての活動を展開していこうとした制作サイドの狙いも見えてくる。

正直なところこの作品においての彼女のボーカルは及第点といったところ。それも同時にリリースした米光のアルバムと比較すると差は歴然なのだが、彼女の「ボーカルのアク」だとか「艶やかさ」や「キャラクター」そして「表現できる世界観」というのが見え隠れしてきて癖になる作品。個人的には'94年にリリースしたアンビエントハウスの「blue easy sleep」なんかがリーダーの新しい可能性を示唆することができた作品でとても新鮮に感じられて好きでしたが。