'98 湧別原野クロカン Y田氏 ”オホーツク85kmにおける8年間の競技記録の年次変動”

 道立林業試験場○○駐在所のY田です。さっそくスライドお願いします。

 オホーツク85kmは、クロスカントリースキーとしては最長の85kmの距離を誇る競技で、コースプロファイルは下りを基調としているとはいえ、かなりのスタミナを要求されるレースです。継続的な参加者にとって、記録を伸ばし続ける為には、エイジングによる絶対的スタミナの減少を、自己の滑走技術の向上、及びトレーニングによる体力増強によって補っていく必要があります。次のスライドお願いします。

 そこで今回は、8年間にわたって連続で出場している個体の競技結果の変動を記録し、変動の要因について解析しました。あわせて近縁な他個体の競技結果との関係についても考察しました。次のスライドお願いします。

 この表は、調査対象個体の概要を示したものです。調査対象個体は、1991年から1998年にかけて8回連続で大会に参加した、1998年2月現在で30年生のオス個体です。この個体が参加した競技結果を毎年記録し、その年次変動について解析しました。次のスライドお願いします。

 では、結果に入ります。これは、調査個体の競技結果をタイムから見たグラフです。タイムで見ると、年次によるばらつきが大きく、はっきりとした傾向は見られません。これは、気象条件やコースの滑走条件など、年次によって異なる条件が影響しているためと考えられます。そこで次に、外的条件に影響を受けにくい順位について同様に見てみます。次のスライドお願いします。

 このグラフでは、初回から4回目までは順調な上昇傾向にあるものの、その後は頭打ちからやや下降気味という、明瞭な傾向が見られます。前半の順位の上昇は、滑走技術の向上のよるものと容易に推測されます。しかし後半の頭打ちや下降傾向については、技術の向上の限界、エイジングによる体力の減少、競争相手の不在による意欲の低下、単なるサボりなどの様々な要因が考えられます。これらのどの要因が最も効いているのでしょうか。次のスライドお願いします。

 これは、調査個体に近縁の競技参加個体について、同様に競技結果を調査し、先ほどの順位のグラフに重ねたものです(図-1)。長期間継続して参加している個体は、同様に頭打ち傾向を見せていることが分かります。しかしこれらの個体はいずれも調査個体よりエイジが高く、急激に順位を上げている個体も見られることから、エイジングが順位低下の要因であるとは考えられません。また常に比較的近い順位にいずれかの近縁個体が位置していることから、競争相手の不在という要因も排除できると言えます。したがって、近年の下降傾向の要因としては、サボりによるトレーニング不足が最も大きいと言えます。次のスライドお願いします。

 以上をまとめます。85kmの競技結果は、タイムではなく順位で見るのが妥当である、ということがわかりました。この順位という基準で見ると、調査個体の記録は、最初の4年までは急激な上昇、その後は頭打ちから下降傾向を見せていました。その要因としては、上昇傾向は滑走技術の上昇、下降傾向は単なるトレーニング不足が最も大きいことが示唆されました。今後は調査個体に夏季間からのトレーニング処理を施し、次回の競技結果に与える影響を調査してこのことを検証していきたいと考えています。

 以上で発表を終わります。スライドありがとうございました。

結果 85km 結果6:22:58 461位


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