頭の黒い養殖モノの丘メダカ

 今回はスキーネタはちょっとお休み。脱線はするけどアウトドア関連ネタなので許してね?。
 私の愛車はダットラキャンパー。もうかれこれ10年乗っています。今じゃキャンパー(キャンピングカーは和製英語)はちっとも珍しくないけど、誰も乗っていなかったその頃から私の週末の移動別荘、兼書斎として夏冬問わず活躍しています。乗り始めた当時はキャンプ場(の駐車場)で静かな夜を過ごせたのですが、最近はちょっと敬遠気味。なんせかんせシーズン中は、打ち上げ花火あり宴会ありとうるさくて。

 キャンプ場がにぎやか過ぎるので、数年前から泊まる所を、観光地の静かな公共駐車場等に変更しだしたら、最近はにわかオートキャンパーのこれまた大発生。駐車場だから文句は言えないのかも知れないけど、エンジンかけっぱなしの発電器まわしっぱなし。しまいにゃ大音響カラオケまで!。うるさい・臭いで夜も眠れず。おまけに朝起きたら車の回りは至る所ゴミの山!。


 アウトドアブームと言う言葉が使われ初めて久しくなります。”どうせ流行モノ。一時のブームが去れば”と思っていたけど、結構しぶとい。昔はアウトドア用品と言えば、秀岳荘に行くしかなかったけど、今や近所のホームセンターでたいがいのモノは揃う時代(但し本物はない)。

 近年幾つか札幌市街にもアウトドアショップがオープンしたので、山で使うメタとか磁石とかの、小物や消耗品を買いに行ったら、広い店内にはウエアしか置いてなかったり(ナンダコリャー!)。ブームって言ったって、所詮見かけだけか?。また郊外にある大型店が続々と閉鎖になったりと、このブームが今後も持続するかどうかはちょっと判断付かない。ただ質はともかく、量だけは確実に増えているのは確か。

 アウトドア(この言葉の響きが軽薄で私は嫌いなので以後、”野外”と呼びます)の楽しみ方は人それぞれで、私に言われるなんて余計なお世話かもしれない。ただ私の場合は、野外での非日常性を楽しんだり、またどこかへ行く目的のための宿泊手段としてキャンプしています。でもキャンプで騒ぐファッションアウトドアラーは、野外へ行く確固たる目的もなく、単に”流行っているから”、”他の人がやっているから”と、流行モノに乗っかっただけ。確固たる目的がないものだから結局、道具を買ってそれを使うことが野外へ行く目的にすり替わっている。それでは、全くもって本末転倒じゃない?。

 おまけにその大人のおもちゃにも飽きたら、野外ではあとはもうする事がない。で、野外に思いっきり日常を持ち込んで、あちらこちらで大騒ぎ!。どうも流行モノに弱いんだなあ。でも静かな夜を求めている私は、何処で寝ればいいんだー!。


ちょっと脱線。
     貴方はアウトドアと聞いてどんなシーンを連想するでしょうか?。綺麗に刈り込んだ芝にロッジ型テントとタープがあって、その下には白いテーブルクロスの掛かったキャンピングテーブルと2バーナーストーブ。テーブルにはコレールの器にフレンチトーストとスクランブルエッグが並んでいて、ストーブの上でコポコポ沸いているパーコレーターの傍らには、ガダバウトチェア....etc????。これじゃー売り手が仕掛けたセールスコピーそのものじゃないか!
    (流行モノを仕掛けたら消費者がすぐ乗っかってくるなんて、売り手にとっての思うつぼ!)。

     真のアウトドアとはそんな綺麗に管理された所ではなく、例えば鱗まみれになって網と格闘している、板子一枚下は地獄の冬の時化の漁船上とか、蚊やアブやスズメ蜂の襲来にもめげず、おがくずだらけになってチェーンソー握りしめている造材現場とか、はてまたナイフと小銃と無線機だけ持たされて、蛇やトカゲで食いしのぎながらじっと作戦命令を待っているレンジャー訓練演習場とかの、野外の”プロ”の仕事場の事。そのようなプロの仕事場で本当に役に立つ道具、果たして先ほどのセールスコピーの中にあったでしょうか?。

     別に私は、そう言ったスタイルを否定している訳ではありませんよ。幼い子供連れのキャンプだと、あのスタイルが一番合っているかも知れません。しかしこれだけ多様化した現代社会、どんな人がどんな所でどんな風に遊びたいかの組み合わせは無限大。当然自分にとって本当に必要な用具と言うのも千差万別。なのに皆型にはまったスタイルと言うのはなんか変?。自分にとって本当に必要な用具だけを揃えると、案外ちまたで流行っているもの程は多くはいらないし、またお金も掛からなかったりします。賢い消費者になりましょう。


 1〜2年前に、経済評論家が使いだした言葉に、”北海道現象”という用語があります。別名”一人勝ち現象”とも言いますけど。ホーマックやらマイカルやらラルズなど、業界トップだけが増収増益なのに、他の会社は苦戦するこの現象、またたく間に日本全土に広がっていった。市場競争だから良いモノだけが生き残ったのであればしょうがないけど、どうも単に消費者が、”流行モノに乗っかっただけ”と言う理由が大きいようだ。行列が出来る店を見ると、無性に自分も並びたくなる習性、あなたにもありません?。

 街行くコギャル連中御用達の厚底靴やルーズソックス(もう古いか?)。本当に自分がこれが好きで愛用している子って、果たして何%いることやら。”だってみんな履いてるしー、流行っているしー、お店に沢山並んでるしー”と、大多数は流行モノに乗っかっただけ。この”流行モノに乗っかる”と言うキーワード、子ギャルファションから、果てはバブルの時の株の異常高騰や銀行の過度の不動産貸付に至るまで、今の閉塞した世紀末日本のどの現象にも当てはまります。やはり国民性なのかなあ。

     また脱線するけど、流行モノにすぐ乗っかると言うことは、本来自分で物事を判断すべき時にそれが出来ず、今まで貴方まかせで生きてきた事の裏返し。つまり日本人が賢い消費者ではない証拠で、成熟した自己責任社会とはほど遠いのが悲しいかな現状。そしてこのように自己の価値観を持たず、なんでもかんでも物事の評価を人や流行やブランドに委ねる人間は、悪徳商法やインチキ宗教法人の最高のカモなんですねえ!。ご注意下さいませ。

 かの本田勝一氏は氏の著書で、このような国民性を評して”めだか”と言っています。しかし天然モノのめだかは河川整備が進みすぎて今や絶滅寸前。”♪めだかの学校はー♪”、今や何処へ行っても廃校後なのです。変わって頭の黒い養殖モノの丘メダカが、日本全土に増殖してしまった。あーあ。
     またまた脱線するけど、皆が流行りモノに乗っかって、流行ったモノだけ一人勝ちするこの現象、実はとても怖い事!。種は多様性を維持しないと後でとんでもないことになるのです(by三段山クラブ)。昔々のアイルランド、たった数個の種芋が元で全土が同じ芋畑になったと思ったら、疫病が大流行して餓死者の山!。命からがら国外脱出した移民が今の合衆国の基礎を築いたそうな。但し原産地のアンデスでは芋だけで数十種類もあるので、そんな惨事はありえない。さて今の日本の食卓を見渡すと、ご飯はコシヒカリ、トマトは桃太郎、キュウリはブルームレス、....etc。行く末が怖いなあ!。自分で食うモノ、流行のブランドなんかに頼らず、自分のベロメーターとハナライザー(舌と鼻)で選びましょう!。

で、今回の主張。

 ”私がスキー場の駐車場で気持ちよく寝ていたら夜中にやって来て、しかもご丁寧にわざわざ私の車のすぐ隣に止めて、一晩中発電器回してどんちゃん騒ぎしていた、ビックアメリカンモーターホームのおっちゃん連中よー、朝になったらスキーする訳でもなくそのまま帰っていったけど、あんた、わざわざここに一体何しに来たんじゃい!。私の安眠妨害するついでに、自分の車を自慢しにきただけかいな?。”

    (こんなに長々と書いたけど、結局この事を言いたかっただけだったりして?。最近の風潮である、流行モノに流されて自分の頭で判断することを放棄し、どんどん幼稚化していく現代の傾向に我慢のならない、頑固憂国山スキーヤーの叫びでした。チャンチャン!)

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