モービル第三弾〜ちょっと言葉足らずだったかな?

 前回モービルとの共存が必要なるコラム書いたけど、”モービルはうるさい・臭い・だから嫌!”という山屋さんには、やはり受け入れがたい内容だったかな?。ちょっと言葉足らずの感があったので、しつこいようだけど、モービル第三弾。

 近郊の山はもちろん、国立公園の乗り入れ規制区域を傍若無人に走り回るモービル、この現状を今まで山屋の内輪だけでモービルへの恨み辛みを愚痴っていただけでは、事態は全く好転しませんでしたが、この度三段山クラブの勇気ある行動によって、マスコミが動き、行政・警察も重い腰を上げつつあり、世論も盛り上がりそうな機運が生まれたのはご承知の通り。そこで一気に”うるさい・臭いモービルを全山から締め出せ!”と言う山屋の感情も分からないではないですが、いきなり”全山締め出し”はあまりに性急で、かえって逆効果になりやしないか?と言うことを言いたかった訳でして。


 ”違法モービルを乗り入れ規制区域から締め出せ!” これならマスコミ・行政・警察も動いてくれますし、世論のみならず良識あるモービラーだって後押ししてくれます。しかし今の段階で”うるさい・臭いモービルを全山から締め出せ!”と言う感情論を持ち出したら、果たしてどうなるでしょう?。

 まず行政・警察は動いてくれません。違法行為ではないからです。全否定されたモービラーだって猛反撃をしてくるでしょう。マスコミだって、”多少は我慢したら?”と取り合ってくれなくなります。既に社会的認知を受けているモービルの全否定を、世論が支持してくれるとも思えません。

 つまりせっかく盛り上がりつつあるこの機運に水を差して、”二兎を追うモノ一兎も得ず”になりやしないかが心配なのです。主張が先鋭化して世論の支持を失った運動の末路は、....。


 但し私は、違法行為で無ければ何やっても良いという意味で言っているのではありませんので誤解無く。乗り入れ規制区域以外を掘りまくる現状は改善しなければなりません。ただ順番としては、まず今ある規制法を実行力あるものにする事が先決です。それからその規制区域を国立公園一般区域や道立公園内やその他の区域へと、徐々に規制区域を広げて行くという戦術が最も現実的と思いますが?。

 そのためには乗り入れ規制区域内はもちろんの事、規制区域外でもこんなにハイ松が掘られているとか、モービルの邪魔になる樹木を大量伐採していたとか、はてまた登山者で賑わう近郊の山にモービルが大量乗り入れしていて接触事故を起こしそうになったとかの、現に今山で起こっている事実を、出来れば証拠写真も添えて、行政・マスコミに根気よく主張し続けるという、一人一人の地道な努力が必要となります。つまり貴方任せでは解決せず、山屋一人一人が行動することが必要となります。機動力に勝る彼らに勝つためには数で勝負するしかありません。

 そして最重要な事として、”うるさい・臭いモービルを全山から締め出せ!”と言う感情論を決して振り回さず、冷静且つ論理的になる事なのです。感情論では世論は支持してくれません。逆に反発を買います。だってそうでしょう?。理屈抜きに感情をむき出しにして主張する隣人がいたとしたら、貴方は”がんばれ!”と支援出来ますか?。モービラーが機械武装するなら、我々は理論武装しましょう!。


 ただくどいようですが、既に社会的認知を受けているモービルを全否定する事は出来ません。ある一線で山屋が妥協し、林道や、低い藪山などかつて山屋の聖域だった場所を彼らに引き渡す、”落とし所”も探る必要もあります。交渉事で、主張が全て通る訳などないのですから。で、彼らとの”共存共栄”が必要だと言った訳です。これで私が”裏切り者”でもなければ、”モービラーが放った密偵”でもないって事、分かっていただけました?。
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