たかがストック、されどストック

 私は頑固です。誰がなんと言おうが頑固です!(えばってどうする!)。ですから保守的。おまけに極めてケチときた。だから自分がしっかり納得しなければ、新しいグッズは買いません!(ただでくれるなら話は別だけど)。
 その一例がストック。”♪ヘイヘイ!ポーラ♪”じゃあるまいし、”ポール”なんて軽薄な呼び方はこっ恥ずかしくて出来ません!。私にとってストックはあくまでストックなのです。で、今使っているのはセット500円で買った安物ゲレンデ用ストック。別に好きで使っている訳ではないのですが、今は納得出来るストックが売っていないもので仕方なしの間に合わせ。

 私にとっての納得いくストックとは、昔どこの山屋でも売っていた、大きめのリングの付いた一本モノのアルミのストック。ちょっとは重いけど丈夫で比較的安価で実用的。それに引き替え今一般的に山用で売られている伸縮自在のカーボンファイバー製ポール、細くて多機能で高価!。うーん!?。


第一に、私に伸縮自在機能は必要ない!。
     山では”Simple is Best”。一本物だって、グリップから20〜30cm下にゴムの滑り止めが付いていて、トラバース時には山側はそこを握れるなど十分実用的であった。下り時はザックにストックをしまう山ボーダー用ならともかく、山スキーヤーでいちいちそんな時に長さを調節する人がいるのだろうか?。
第二に高すぎる!。
     いわば消耗品のストックに一万円以上もかけるなんて、私の常識からはかけ離れている!。伸縮機能を省いてもう少し安くすればいいのになあ?。
第三にあの細さが頼りない。
     ブッシュと闘う山スキーヤーの唯一の武器&防具はストックなのです。例えば登りの途中に雪を被った枝くぐりの前にストックで雪を叩き落とし、そしてじゃまな下枝があれば手首のスナップを利かせて思いっきり振って枝払いしたり、はてまた滑走中ツルや下枝に突っ込む際には、あたかもボクサーがグローブでガードするが如くストックを使うのです。下枝払いをガシガシやると金属ストックでも曲がったりするのに、あんな細くて高価なストックでガシガシやる自信はありません。

     また深雪で転んでリングの反力だけじゃ起きあがれない時など、束ねたストックの真ん中を握り全体重を掛けて起きる事もあるけど、あんなに細くて大丈夫かな?。

     またまたついでに初心者がどうしても狭い林道で制動出来なかった時、ストックを股に挟んでプルーク姿勢を取り、通称股制動っていう最終手段もあったっけ。竹ストックはこれにとても適していたけど、あれはちょっと重すぎてね!。

第四に素材。
     カーボンファイバー製は確かに丈夫かも知れませんが、スキーのエッジの摩擦には弱いはず。例えば斜登高中ちょっとしたクラスト斜面で谷側の板が滑る事良くありますよね。エッジを利かすとシールが利かず、シールを利かすとエッジが利かないけど、いちいちスキーアイゼン付けるまでもない場合や、スキーアイゼンが付かないテレマーカーには、ストックが簡易スキーアイゼンにもなるのです。

     まず次に谷側の足の踏み出す付近にあらかじめストックを突き、そのリングを惜しみなく谷足で踏んづけ、がばっと膝を開いてシールを斜面にフラットにします。するとストックがエッジの代用をしてくれてシールも利くしで、結構踏ん張れたりします。但し谷足にしか通用しませんが一度お試しを。でもこんな事、カーボンファイバー製じゃ勿体なくて出来やしない。


 さすがに今使っている安物ゲレンデポールじゃ、転んで立ち上がる時やストック推進時には、潜って全く用をなさないので、以前ゲレンデポールに大きなリングを付けたところ、ゲレンデ用の短い石突き(リングから先端までの事)に対して遙かに大きなリングのため、クラスト斜面に斜めに突いたらリングが邪魔をして弾かれてずっ転けたので、それ以来使っていません。やはり山用リングには山用ストックとの相性がよろしいようで。

 また前も書いたけど、滑降中に大きなリングが雪に潜ったりブッシュや引っかかりして、ストラップのせいで手首を捻ったり肩を脱臼したりする危険性もありますので、下りはストラップを手首に通さずに握っただけの方が良いでしょう。でも高価なストックを深雪で無くしても私に代金請求しないでね。


 まあたかがストックでこれだけ言いたい放題書く事自体、本当はどうでも良い事なんだけど、頑固山スキーヤーとしては書かずにはいられない?。SINANOのアルミ製山ストック、どこかの店にデッドストックしていないかな?。
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