ケーススタディー?はまだ続く

 さて、単に自己責任と言ったって、その程度やレベルにはいくつもの段階があるようで、ここでまたしても例をあげて考えてみましょう(ケーススタディー?ナンチッテ!)
例1〜株式投資編

     ちょっと聞いてくださいよ!。以前虎の子の退職金全部はたいて○○の株買ったんですよ。そしたら大暴落!。もう明日からどうやって生活してよいやら...。だってねー、△△証券と言えば証券会社のトップでしょ。そのセールスマンが”絶対上がります!って太鼓判押したんだから、普通間違いないって思うでしょ?。もう、訴えてやる!。

 訴えが通るか否かは、私弁護士じゃないのでここじゃ触れませんけど、この事例は自業自得の代表例ですな(但し独居老人の孤独につけ込んだ詐欺商法は別。あれは詐欺というれっきとした犯罪ですからね)。

 一見すると彼は一方的な被害者に見えなくもないですが、でも老後の資産運用だったら、色々種類を組み合わせて危険分散するなど、他にももっとローリスクな運用方法がある。またリスクを負いたくないのであれば、例え金利は低くても、銀行に預けておけばよろしい。全額投資した目的は”いっちょうこれでハイリターン!”の腹もあったんでしょ?。そんな大事な判断を人に委ねておいて、損したからって訴訟で取り返すなんてお門違い。もしその投資で儲かった暁には、証券会社にお礼として儲けのごく一部でも寄付する心積もりがあったのかい?。

 山スキーの場合も、責任のとり方が最悪当事者の命にまで及ぶとは言っても、基本的にはこれと同じ。とは言っても、それだけの”ノウハウも経験もない初心者は山スキーに行くな!”とまでは言っていない。後で述べるけど、情報と安全はお金でも買える時代なのです(と言うより、ただじゃない!)。

 判定〜”自己責任レベル1-あんたが悪い!”


例2〜住宅建設編

     35年ローンかけてこの度、一生の夢だった一戸建て建てたんですよ。そしたら欠陥住宅で参っちゃった!。床は傾くは、雨振りゃ漏るは、外を車が走るだけで家は揺れるはで、とても住めた代物じゃないんでしかたなく、今はアパートに仮住まいですよ!。アパート代とローン両方払ったら、もう食うにも困るこの状況、なんとかして下さいよ!。

 自己責任の原則を徹底的に貫いたらおそらく、”高い買い物するときは、事前に徹底的に勉強するべきで、それが出来なきゃ買わなきゃ良い!”となるのかも知れない。確かに彼も、もうちょっと勉強すべきだったけど、全て彼の責任にするのもちょっと酷。

 ”衣食住”と、人が生きる上で不可欠な三大要素の一つである”住”を”買わなきゃよい”と済ます訳にはいかない。誰でも彼でも建築士並の知識を持ち合わせている訳でもないし。まして、欠陥住宅の場合は、地震・火事等がひとたび起きれば、購入を判断したお父さん一人にだけでなく、その判断とは関係ない家族やら、たまたまそのお宅にいたお客さんやら、借家の場合は借家人等、広範囲の人命にも影響が及ぶ。

 いくら”自己責任”と言ったって、責任が及ぶ範囲が自分だけでなく”善意の第三者”の生命・財産にまで広がる場合、そりゃあーた、”自己”責任とは言えないでしょう。つまり”自己責任”とは、”自分の尻は自分で拭く”事であって、人の不始末の尻拭きまでする事じゃない。私もそこまでむちゃくちゃ言っている訳じゃないので誤解なく。

 判定〜”自己責任レベル2-建築会社”も”悪い!”


 ただここで、建築会社”が”すべて悪い!としなかったのは、この事例の場合、建築会社とは別会社に設計・施工監査を委託するなり、建築中に第三者の施工監査を頼むなり、多少出費はかさむものの、色々方策はあった訳で、”情報・サービス・安全”に応分の負担をしていれば回避出来たのだから、当事者も100%被害者とは言えない。つまり、”情報・サービス・安全”はただじゃない。

 ”情報・サービス・安全”を軽視しているか否かは、その国が”チップ”を払う習慣があるかないかでおおよそ分かる。つまり日本では、モノとして形に残らない、”情報・サービス・安全”はただ!の扱い。しかしこれは、”日本の常識・世界の非常識”。以前コラムにも書いたけど、”本当に必要な情報・サービス・安全は、本来苦労したり出費を払ってでも得るもの!”なのだ。

 そして”情報・サービス・安全は有料”の例が、プロのガイドを伴った山スキーツアー等。登山靴やザックといった”モノ”には金をかけるけど、”情報・サービス・安全”にはビタ一文払わないのが国民性だったけど、最近リッチな熟年登山者の増加のためかようやく、”山岳ガイド”が職業として成立しだしてきたのは良い兆候。ただちょっと”雨後のたけのこ”状態で、”味噌もくそも一緒”なのが気にかかる。後日触れるけど、なんらかの資格認定等の枠組みが必要。

 ”規制は少ない方が良い”立場で言えば、ガイドの資格認定など、先例の”山スキー安全滑走協会(仮称)”の認定制度と、どこが違うのか?と言われそうだが、ここでもまた出てくるのが、責任の及ぶ範囲。責任取りが”善意の第三者”にまで広がる場合、”自己”責任とは言えず、ある程度は規制も必要というのが私のスタンス。つまり私は、なんでもかんでも”あんたが悪い!”と言っているんじゃないんです。


例3〜車のヒッチメンバーについて(ちょっと脱線しますが) 
     私の車に以前、トレーラーを引っ張る為のヒッチメンバーを付けた。過去であれば規制がうるさ過ぎて、そう簡単に付けられた代物ではなかったが、アメリカの外圧を受けたとたん、指定部品(要はカーキャリヤと同じ扱い)となって、”自己責任”で検査なしに、規格なしのどんな物を付けても車検OKと、ころっと立場が180度変わった。陸運支局に電話で確認しても、”自己責任のもと、付けて下さい”だって!。

     ちなみに私のはちゃんとしたC規格(牽引重量750kg対応)のを、ラダーフレームに溶接して付けている。昨冬後続車におかま掘られたら、ヒッチは無傷なのにラダーフレームが曲がった位だから、頑丈さは折り紙付き。しかし規制緩和以来、街を走る車のヒッチのなかには、補強なしで単にバンパーにボルト止めしたものやら、乗用車のペラペラのボディーにくっつけただけで、走ると上下に揺れる!まがいものまで、大手を振って走っている(違法ではない)。

     もしヒッチが壊れて対向車にトレーラーが突っ込んだとしたら、そりゃー一番悪いのは、それを知ってて付けた相手のドライバー。でも、あんなもんに突っ込まれて巻き添えを食った人には、全く落ち度はないのよねー。まして相手のドライバーに支払い能力がなければ、全くのぶつけられ損!、なんの救済もない。

 これは規制緩和に名を借りた、行政の怠慢といおうか、責任放棄の例。それをよくもぬけぬけと、”自己責任”の一言で責任逃れしやがって!、このバカヤロー!。まあ所詮、行政だの政治だのは、沢山の金や票を持っている業界の方ばかり向いていて、たった一票@一人&納税額もビビタな国民の事は無視するってのは、厚生省の血友病エイズ問題みりゃ一目瞭然だけどサ!。

     次回触れるけど、”声無き声は聞こえない”のであれば、我々ももっと、”大声”を出さないと、事態は変わらないどころか、どんどん悪くなる!。

 判定〜”自己責任レベル3-行政が悪い!”
 これ以上ケーススタディーを増やしていったら、いつになっても終わらないどころか、書いている当方もいい加減疲れたので結論。一言で言えば”自己責任”とは結局、”自分の尻位、自分で拭け!但し人の尻まで拭かせんな!”て事につきるかな?。

 3話連続のコラムもこれにて終了と思いきや、これだけ書いても、まだ私は書き足りません?!。またしても続く(もお、いいって!か?)。


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