山スキーにだってクロカンワックス?

 タイトルだけ読むと何の事やら?。まあそう言わずにお付き合い下さいませ。
 深雪の冬山で決定的なシールトラブルが発生すると、登り返しに体力を消耗するなど、場合によっては遭難に繋がる事もあります。私も以前縦走中、取り付けシールのストラップの縫い糸が一気にほつれ、えらく往生したことがあります。また最近流行の張り付けシールも、トップに引っかけるゴムパーツが切れたり、付け外し中に粘着面に粉雪がこびり付いたりと、取り付けシールよりリスクは高いでしょう。

 以前は先輩に、”そんなもん、シールが使えなくなって登り返しが出来ない事態には、ソールに小便ぶっかけて、すぐ粉雪に板を放り込め!。そしたら厳冬期には板の裏が雪で団子になって、シールより登坂力ある!”と言われた事がありますが、真偽の程は確かではありません。(第一そんな事、試す気もしない!)

 で、以前は常にスペアシールを常備していましたが、最近はピストン山行がメインになったのと、ちょっとクロカンでヒントを得たので、かさばるスペアシールは持っていきません。じゃー、切れたらどうするかって?。

 実はクロカンのグリップワックスを常備しています。温度に応じて、青・赤・クリスターの3種類の内、どれか1〜2個と、小さなスクレーパーをザックに忍ばせています。

 いざシールが切れ、”この登り返しを越えないと下山できない”という緊急事態には、雪質・斜度に応じて適量をソールの足裏に塗ります。それでも登れなければソール全面。シール並とは行かなくても、そこそこパウダーでは登坂力あります。それを越えたら、スクレーパーでワックスを落とすなり、そのままゾンメルスキーのように歩いて下るなり。さすがにリムーバーなしでは綺麗には落とし切れませんが、緊急事態ではしょうがない。でも無事帰るには支障ない程度までは落ちます。


 ただ以上の事は、登りでシールが切れたら降りてくればいいピストン山行での対策です。縦走するのであれば、やはりスペアシールの方が安全でしょう。

 また裏技として(”伊藤家の食卓”じゃないっつーの!)例えば、後は下山するだけの時の林道に、ちんたらとしたアップダウンの連続があり、シールを付けるほどではないけどかったるい場面があったりします。その際ちょこっとソールの足裏に塗っておくと、緩い登り位はへっちゃらで、その後の下りでもそこそこ滑る事も可能です。ワックスは下山してからリムーバーでしっかり落としましょう。

 まあ厳密に言えば、ダブルキャンバー板用のグリップワックスを、シングルキャンバーの板に塗るのですから、クロカン並に滑走性能があるわけではありませんが、この際難しい理屈はパスさせてね!。


 またこれも裏技パート2。入山時の長い長いアプローチ林道で、ひたすら緩い斜度(と言うより平ら)。おまけにトレースもあって、シールの引きずり抵抗が嫌な場面。この時にはこれで、使い捨て張り付けシール(?)も作れます。

 事前にスキーのソール全面に、布のガムテープを張っておきます。トップとテールは剥がれないように折り返し、ビニールテープで一巻きしておくと良いでしょう。そしてガムテープの上に、ちょうど良いグリップワックスを足裏部に適量塗ります。これで2〜3時間位だったらワックスも持ちます(それ以上は実証してませんが)。まあ、これが利かない登りになったら、ガムテープを剥がしてシールに付け替えれば良いのです。シールより、軽くて滑りも良いのがウリ。

 但しこれの最大の欠点は、剥がした後の処理。表も裏もベトベトです。でもちゃんと下山時に回収し、ゴミは持ち帰りましょうね!。


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