精神安定剤?

 くどくて難しい話は先週でお終い。さて本題の山スキーと思ったら、今週は大幅に脱線してオフロードバイクネタ。でもこれはこれで結構スキーと共通点多いんだよね。
 現代はストレス社会と呼ばれて久しい。確かに仕事上なにかと疲れる事が多い。ただ外部からのストレスがなにもなくなってしまうとこれまた退屈。例えば入院して一切仕事のストレスから解放されたとしたら、かえってストレス溜まるだろうな(死ぬほど辛い?)。締め切りとかでせっぱ詰まった時なんか、結構きついけど適度な緊張感があって張り合いあるし、うまくいった時なんかは充実感もあるから、一概にストレスは悪者ではなく、問題なのはその持続期間。

 以前何ヶ月も連続で山の中の現場(飯場)に缶詰状態で、緊張する仕事を全く休日無しでした事があったけど、その時は終いには動悸やら不整脈やら消化不良やら感情爆発やらと、明らかに自律神経が変調したっけ。確かにストレスは、逆にないとボケちゃうけど、それが日常的にエンドレスに継続するとこれまた問題。強いストレスが短期的に発生して終息する事より(例えば仕事で大失敗したけど始末書で済んだとか?)、弱いストレスがじわじわ持続する事の方が(かみさんと長い間冷たい戦争が続くとか?)、よっぽど精神安定上よろしくなかったりする。じゃーストレスのサイクルの中に、いかにリラックス状態を取り込めるか?。

     ただ私なんかは、仕事の後で、”休暇やるからのんびりリラックスして来い!”って言われても、なにもする事がないと逆に疲れる。まあこれは人によるけどね。ただ単に海辺で水平線眺めたって、露天風呂で紅葉の山見続けたって、ものの数十分で飽きちゃう。それどころか考える時間がありすぎて、”あれはどうしようか?”とか、詰まらない思案をしたりして逆効果。

 そんな私のリラックス法は、週末には逆に仕事以上に緊張する事を好き好んでやる事。夏場はオフロードバイク。”あの崖みたいな坂登れるか?”とか、”あのラインは攻略可能か?”とか、”あのコーナーやギャップをこの速度でクリヤ出来るか?”とか、結構過激指向。日常生活じゃ、胸がどきどきする程の緊張って、あんまりないもんね。

 ただそれで怪我すると元も子もないどころか、かえって落ち込んでしまう。実際昨年までは結構怪我が絶えなかったけど、最近は基礎練習にも打ち込んだ。怪我しない程度の低速で急な操作を繰り返して死ぬほど転けまくったら、転けるのもうまくなったし、転ける直前の挙動も掴めるようになった。そのせいか、今年は全く怪我知らず。地味だけど、基礎ってやっぱ大事!。

     でも、冬場のスキーだって”あそこの標高差○○○mバーン、転けずに一気滑り出来るか?”とか、”あそこの沢の源頭、果たして滑走可能か?”とか、よく考えるとバイクもスキーも、やっていることはあまり変わらない(新規ルートの開拓だって同じだし)。


例によって脱線

     恒常的なストレスで、緊張側で固着した振り子をニュートラルに戻すには、力づくでリラックス側に戻すよりも、逆に緊張側に振って固着を取り、その後のリバウンド(ホメオスタシス)でニュートラルに戻すと言う”振り子理論”なる説があるそうな。湯治の温泉療法なんかもこれの一つ。湯治開始2〜3日後には一度湯中りして気持ち悪くなる。これは交感神経の高ぶりによるもので、湯中りの1〜2日後に副交感神経が優勢になって、はじめて湯治の効果が出るんだって。だから2泊3日では単なる転地療法か湯中りに行くだけ、湯治には最低一週間は必要。

     またそれとは別に、ストレス受けて仕事していると、論理を司る左脳ばっかり酷使している状態なので、好きな事に打ち込んで右脳を働かせて逆に左脳を休ませると、頭のオーバーヒートが防げると言う説もある。確かにギャップだらけのコースをかっ飛んでったり、アイスバーンの急斜面をターンしている最中に、あーだこーだ面倒くさい事やどーでも良い事を堂々巡りで考える(これは左脳の仕事)、そんな暇なんかないもんね。

     はてまた医学の領域では、”運動療法”もあったりなんかして、体を動かす事で発生する筋肉痛や疲労感を緩和するために、脳内麻薬(βエンドルフィンとかの快感ホルモン)が分泌されるとか。運動じゃないけど熱い風呂に一気に入るとすっきりするのもこのせい。オフバイクなんて、実は凄い運動量なんだっけ。特に転んでばかりのへたっぴにとってはネ!。

       最近”癒し”なんて言葉が流行っていて、例えばペット飼う事なんかが挙げられるけど、単に飼い主のストレスがペットに転嫁されただけだったりして?。本当に癒しを必要としているのは、そんな飼い主に飼われているペットの方だってば!。

 いろんな理屈はさておいて、確かに充実した一日を過ごした後に、風呂入ってビールちょこっと口にした後なんぞ、先ほどまでのテンションは今いずこ?、長椅子の上の生ゴミ状態。ついさっきまで、転けたらバイクもろとも谷まで転げ落ちる廃道やら、スキーのエッジも利かない地吹雪のカリカリ稜線で、思いっきり緊張していた自分が遠い昔の想い出に思えてくる。でも適度な疲労感も手伝って気持ちいいんだな!。これが自分にとって、一週間のうち最もリラックスした時間。昨日まで”どうしようか?”と心配の種だった事項だって、”大した事ないじゃん”に変わっている。


 さて、なんでこんな話題を書くかって?。一年の内でちょうど今頃は私、ブルーなんです。バイクにも乗れない、山でも滑れない、とストレスが発散出来ないもので。と言う訳でただ今私、結構溜まっています。”ゴチャゴチャぬかすあんにゃろー!、うおー!、ぶんなぐりてー!。”
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