私の愛板はK2のエクスプローラー、183cm。セミファット(やや太め)のオールラウンドに分類されるカービング板です。本来はゲレンデ用なので軽量化は元々考えてないみたい。おまけに幅が広い分余計重い!。登る時は鉄下駄のような重さを感じますが、一旦滑り始めると不思議な位、実に取り回しが軽く感じます(以前履いていたもうちょっと細身の板、k2パウダー程ではありませんが)。 ではまたしても、生まれた時から板を履いていたと豪語する、長屋の熊さんにインプレッションを聞いてみましょう。
いいから履いてみろって?。おめーが言うならしょーがねー。いっちょう履いてみっか!。ほー、短いわりには結構安定してるじゃないか?。おー!、良く曲がるなー、ずれもせず。んー、簡単にひょうひょい切り返し出来て、こいつあー楽だなあ!。お、おい、なんだこりゃ!深雪でえらくスキーが浮くぜこりゃー!。こいつあー面白れー!。 おう、おめー。しばらく借りとくぜ!。返して欲しけりゃ、おとついおいで!。じゃーな!。” 「登山時報 2000年2月号」には、
・・・しかし、最近山スキーを始めた仲間に最初からカービングスキーを使っている人がいますが、抵抗の大きな雪をゲレンデのような感じで滑り降りてきます。」” 整地されたゲレンデなら、何もしないでも自由に曲がれますが、悪雪・深雪・モナカ雪(ブレーカブルクラスト)・濃いブッシュと悪条件オンパレードの山では、お上品なフォームでは全く板が言うことを聞いてくれません。 で昔の山屋が生み出した山スキーヤーの18番と言ったら、切り返し直前に”ウサギ飛び抜重”(すねをうんと前屈させてからヨイショ!と伸び上がる)した後に、”ザックターン”(上体を谷にフンッと振って、背負っているザックの反動をターンのきっかけにするという究極のテク?)でもって、むりやり重たい雪の中でスキーを振る事だけに意識を集中して滑っていましたよね。(私はこれを先輩からみっちり叩き込まれたお陰で、もはや体に染みついてしまった。) たまに板が回りすぎて、谷に向かってすっ転んだりもしますが、むちゃくちゃ重い雪でもブレーカブルクラストでも滑れる究極の秘技?。ただ、フォームがむちゃくちゃ格好悪い!(ゲレンデではとても恥ずかしくて使えない)と言う欠点もありますが。 で、昨シーズンからカービング板に変えたのですが、山で乗ってびっくり。カービング板だとただエッジを切り返せば、ターン中にしなった板が跳ね上がって来て勝手に抜重してくれますし、また逆ハの字型の板のトップ部がターンのきっかけを作ってくれます。 で結果として、昔から使っていた、”ウサギ飛び抜重”と”ザックターン”の必要があんまりないんですよ!。なにもしないでも曲がってくれる整地されたゲレンデより、悪条件の山でこそカービング板の真価が発揮されるみたい。 おまけに従来のゲレンデスキーや山用スキーよりウエスト〜テール幅が広い板だと、ある程度スピードが乗れば水上スキーみたいに板全体が浮いて、重い雪でも回す抵抗が少なくてとても楽チン。かえって重い雪ほど板が良く浮いてくれて効果抜群!。この浮遊感、病みつきになってます。
板のウエスト幅があると、”ゾンメルスキーみたいにアイスバーン等ではエッジの効きが悪くなるのでは?と思っていたけど逆に、プラブーツであればかえってがっちり利くみたい。事実エクストリームスキーヤー御用達の板のウエスト幅は、88mm前後の超ファット板!。だからガンガン過激な崖滑りが出来るのかな?。 でもまあへリスキーやゲレンデ脇のオフピステ専用であれば、板の幅は太いほどいいのかも知れませんが(限度はあるだろうけど)、シール(題してpoorman's helicopter?)付けて山登りすることを前提とすれば、ウエスト幅70〜75mmが手頃かな?。これ以上太ければスキーアイゼンが着かないし、第一重い!。またこれよりもっと細すぎればアイスバーンで不安定らしい。サイドカーブもあれば良いってもんじゃないそうな。 ただカービング板はジルブレッタ等の山用ビンディング装着を前提としていないので、トウピース部分のねじ止め部の強度については未知数です(山用板はここを補強しているモデルが多いとの事)。ちょっとその点は購入時に、詳しいショップにてご確認下さいませ。でも今年になって、この組み合わせのスキーヤーをよく見るようになったし、山の店でもカービング板が店頭に並ぶようになったので、案外大丈夫かもね?(責任転嫁?)。 また横着して登り途中のちょっとした下りでヒールを解放したまま下ったり、またジルブレッタ等でテレマークごっこしている最中に転ぶとちょっとやばいかな?。金具が解放しないので、関節の靱帯の方が解放するか(おお怖!)、あるいは板から金具ごとリリースしたりして?。
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