高齢化社会?

 私の熱中している趣味は夏冬問わず沢山ありますが、それらすべてに共通点があります。それは”平均年齢が高い”事。クロカンのレースに出ると特にそれを実感します。完走者を年齢でランク分けしている大会のリザルトを見ると、私の属する40歳未満のクラスの参加者の少ないこと!。それに比べ、40歳以上の壮年クラスの層はうんと厚く、40歳未満の3倍はあるでしょう。その層の厚さのせいなのか、壮年クラスの方々には悲しいかな、私は全く歯が立ちません。

 中高年登山ブームに沸く山なども言うに及ばず。今は大学の山岳部やワンゲルでは新入部員が集まらずに勧誘に苦労するばかりでなく、後継者が育たないので山行レベルも下がっているとか。スキー場に行っても、30歳未満の若者はほとんどがボード。逆に50〜70歳代のシニアスキーヤーが良く目に付きます。

 この傾向はアウトドアスポーツの世界だけにとどまりません。私は夏はオフロードバイクに打ち込んでいますが、なんとこの世界でも!。岩だの崖だのと道無き道を登り降りするトライアルと言う、私の好きな競技は、見かけ以上に地味な練習が必要。そのためか、若い人は物珍しさから始めてもすぐに止めてしまう。私は今36歳ですが所属するクラブではほとんど最年少クラス!。一昨年から始めたエンデューロだって、一緒に走る仲間内ではまたもや最年少。いつまで立っても後輩が現れません。

 いずれの趣味も、”達成感があって面白いのになんでかなあ?”と思っていましたが、最近その謎が解けました。いずれの趣味も”しんどくて奥がとても深い”のです。


 しんどさと言えばクロカンなんてその最たるモノ。凍てつく寒さの中で、鼻水やら汗やらでグジョグジョのパリパリになりながら、ひたすらゴールを目指す。また他のだって、例えば胸突き八丁のきつい坂をゼイゼイ言って、ザックの重さに耐えながらひたすら山頂を目指したり、はてまたレースや競技会で全身泥人形になってスタックしたバイクを押したり引いたりしながら、ハンドルを持つ手が疲労や寒さで麻痺しながらも最後まで完走の二文字を目指して走るなど、いずれも楽でスマートと言うのとは程遠いのが現状。でもその分、やり遂げた後の達成感はより強いんですけどね!。

 また奥が深いと言うことは言い換えれば初心者には取っつき難いって事。確かに初心者が、山スキーでどこでも滑れておまけにそれが楽しく感じるようになるには、2〜3年ではとてもとても。でもボードだと、1シーズンもみっちり乗れば、結構深雪や悪雪でも滑れるようになるみたい。バイクだって、トライアルに代表されるオフロード技術を修得するのは、そう容易いものではないけど、今若者の間で流行っているビックアメリカンバイクだったら、教習所を出たてのほやほやがその日に乗っても走れないことはない。

 とは言ってもこの現状、今のうちは、煩わしい後輩の指導はしなくて済むし、優秀な先輩には恵まれているしと、楽しむ環境としては恵まれています。でも新人が参入してこないと言うことは、田舎町と同じいわば趣味の過疎化現象。年々愛好者が減ってしまって最後に残るのは私だけ?になりかねない。あえて今日日の若者に媚びは売りたくないけど、でもなんとかしないとなあ。

     脱線するけど私の強力な先輩陣である、40台のおじさんパワーには、それより若く元気な(?)私が未だに全く歯が立たない。今でさえ既に体力の衰えに愕然としている私、自慢じゃないけど自分があの年になってもあれだけ現役でバリバリやっている自信は全くありません!。

     でもこれも考えてみれば、バリバリの先輩連中はそう言えば皆団塊の世代。今より兄弟が多いので生まれた時から常に競争社会。それに引き替え軟弱に生きてきた我らの世代が、受験・就職・昇進と、競争に生き残ってきた彼らに立ち向かおうって事自体、はなから勝ち目が無いって事か?。

 若者がハングリーでなくなって、苦労してまで物事に打ち込まなくなったと言うこの傾向。なにか難しい事に直面すると、こつこつと正攻法で攻めるのではなく、なにか裏技を探して安直に解決しようとするそうな。まさにゲーム世代の申し子だね(私はゲームが嫌いだー!)。


 今ちょっと心配なのは、教育現場の過保護&悪平等の風潮。例えば運動会の徒競走、皆で手をつないでゴールさせるとか、学芸会で主役を皆で持ち回りでやらせるとか、刃物は危ないから使わせないなど、近頃なんか変?。過酷な競争や怪我から守ってあげると言ういわば親心からなのでしょうけど、いくら箱入りで子供を育てても、社会に出れば否が応でも競争社会のまっただ中に放り出されるのが、避けられない現実。

 ”勉強はからっきしだめだけど、運動会や学芸会でやたら張り切る子”とか、”図工をやらせりゃ大人顔負け”とか、僕らが子供の頃にもいたっけね。そんな彼らの唯一の活躍の場を奪って、学力のみを子供の評価の物差しにしてしまっては、勉強以外の事に真剣に苦労して打ち込んで、その達成感を味わって喜ぶなんて人間には育たないような?。

 ただ”競争で負けるのはかわいそうだから”、”危ないから”と保護することよりも、子供に”僕はこの分野では人に負けない!”そう自覚させ、自信を持たせる事の方が重要!。幼い頃からその子の長所を見いだして自信を付けさせ、早いうちから伸ばしてあげるって事の方が、真の教育じゃないかな?。そしてこれが物事に真剣に打ち込める人間に育てるための必須要素!。


 ただ私は、社会問題をなんでもかんでも教育のせいにするつもりは毛頭ありませんので誤解無く。子供の生活時間の3/4は学校ではなく、家庭にあるのですから。しかしその肝心な家庭が今や全くだらしない!。子供の言いなりになって我慢させずになんでもかんでも与えてしまう。ああ情けない!。こう言う親は親バカではなく、バカ親と言います!。

 あたかも金魚が口を開けたら餌が貰えるよう、全く我慢したり苦労したりせずに育てられた子供が、果たして将来、苦労してまで物事に打ち込めるような大人に成長出来るでしょうか?。子供の教育うんぬんを論ずる前に、バカ親の教育の方が先決か?。


 やはり経済成長で豊かになることとハングリー精神は反比例するようだ。豊かになった今、苦労するような事には若者は見向きしなくなるんだなあ。就職内定率が史上最低の今でも、労働のきついいわゆる3K職場には若者が集まらないこの現在の矛盾。額に汗して苦労する事を忘れた民族は、遠からぬ時期に皆没落の憂き目を見る事は、ローマ帝国しかりギリシャのポリス国家しかり、歴史がしっかり証明してます。遂に日本もそう言う”成熟期”に達したのかも?。

 おーい!そこのお兄さん、ちょいとオジさんと一緒に、クロカン体験してみない?。完走した後はすがすがしいよ!。えっ?そんなのダサい?。馬鹿じゃない?だって。うーん、だめだこりゃ!。


余談
     中国の殷王朝だったか、中東のメソポタミア文明だったかは忘れたけど、遺跡から発掘された古代文字を解読したら、”今時の若い者といったら....”という老学者のぼやきだったそうな。歴史は繰り返す?わっはっは!。

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