ふたご2 「はいはい9月ですが。」
ふたご1 「三重県鈴鹿市のアイエスカンパニーという会社が画期的なものを販売したそうでっせ。」
ふたご2 「なんでっか。」
ふたご1 「お見舞い専用「千羽鶴セット」!」
ふたご2 「えらいもん売り出すなあ。」
ふたご1 「ツル990羽と折り紙10枚と糸のセットで一万二千円。」
ふたご2 「1000羽と違うのん?」
ふたご1 「「残り十羽は自分で折って心をこめてくださいね。」という意味でしょう。」
ふたご2 「だったら千羽分折ったほうが心もこもるというものでしょうが。」
ふたご1 「まあ忙しい現代ですからせめて十羽分の心でもこめとこうというものですよ。」
ふたご2 「なるほど。」
ふたご1 「こうやってほかのものも最初からセットで売り出してくれれば忙しい現代人は助かりますね。」
ふたご2 「ほかのものてなんですか。」
ふたご1 「たとえば般若心経があらかじめかいてある米粒!あと一文字書きこむだけで忙しい現代人もお気軽に米粒に般若心経が書けます。」
ふたご2 「いや一文字書くだけでもたいへんやて。」
ふたご1 「世界記録直前まであらかじめ置いてあるドミノ!あとわずかの数を置くだけで忙しい現代人にも気軽にドミノ世界記録ができます!」
ふたご2 「ぜんぜん達成感がないなあ。」
ふたご1 「さまざまな経験をして、酸いも甘いもあじわいつくし、まあ満足だった。もういつ死んでも悔いないという人生!あとは目をつぶるだけで忙しい現代人も気軽に人生をまっとうできます!」
ふたご2 「人生買うな!」
ふたご1 「たった一度の人生だもの。買って気軽にすませてもいいじゃない?」
ふたご2 「すますなすますな。」
ふたご1 「ポッカがレモン飲料「ホットレモン『ほ〜っ』」を発売するそうです。」
ふたご2 「「ホットレモン『ほーっ』」ですか。」
ふたご1 「ノン!「ホットレモン『ほ〜っ』」ですよ!」
ふたご2 「どっちでもええがな。」
ふたご1 「あのですね、この「ホットレモン『ほ〜っ』」は「安らぎの時、充実の時、温かい気持ちの時など、寒く乾燥する冬場に向けてココロとカラダが‘ほ〜っ’とするシーンを想定して開発したレモン飲料」なんですよ!それを「ほーっ」とは何事ですかっ!「ほ〜っ」とはニュアンスも思想もイデオロギーも何もかも違うじゃないですかっ!」
ふたご2 「いや、そうかも知れないけれども、口で言う分には変わりないじゃないですか。」
ふたご1 「ノン!もし仮にあなたが乗るのが「ヘリコプタ〜」だったら乗る気がしますか!?」
ふたご2 「なんかちょっと信用できない気が…。」
ふたご1 「そうでしょう。さらに「シ〜トベルト」や「ガ〜ドマン」や「シュレ〜ダ〜首相」が信用できますか!?」
ふたご2 「なんかもうちょっとまじめにやれという感じがするね。」
ふたご1 「そうでしょう。いっぽう「おいらの名前はルパーンさーんせーい」はどうですか!?山田康雄のニュアンスが感じとれますか!?」
ふたご2 「今は栗田寛一やけどね。」
ふたご1 「つまりですね。「ー」は緊張が必要とされる時の伸ばし棒、いっぽう「〜」はリラックスが必要とされる時の伸ばし棒なのです。今回発売される「ホットレモン『ほ〜っ』」はリラックス目的なのです!ですから、そのポッカコーポレーション様のご意志を感じとったならば、「ほーっ」などと言ってせっかくのリラックスを台無しにしてはならないのですよ!」
ふたご2 「でも口で「ほ〜っ」というのはどういうふうにすればいいんですか。あんまり違いの出し方がわからないんですけど。」
ふたご1 「はい。そういう方のためにわたしがここで正しい「〜」の発音の仕方を教えます。はい席について。」
ふたご2 「はい。」
ふたご1 「発音する言葉が「〜」の前にきたらまず大きく息を吸い込みます。」
ふたご2 「すーっ。」
ふたご1 「そして息を五秒ほど止めます。この際、少しでも空気を漏らしたりしては台無しです。死んでも漏らさないでください。」
ふたご2 「……。」
ふたご1 「そして30秒間ラ♯の音で、1秒に3回の割合でビブラートを聞かせて発音です!はいっ!」
ふたご2 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ー〜!」
ふたご1 「ノン!今ちょっと「ー」が入った!」
ふたご2 「ええやんそれくらい!」
ふたご1 「ノン!「〜」に「ー」が混ざるということはとんでもないことです!公の場でそんな発音をしたらもう世間様に顔向けできないざます!いいざますか、もし次に「ー」をまぜたりしたらこの堅い樫の板で側頭部を思いっきりひっぱたくざますよ!さあ、もう一回やるざます!」
ふたご2 「リラックスと程遠いわっ!」
9月7日、ノンノンばあとおれ。