いろんなところにいっていろいろやってみる。
それでいろいろなことがおこる。
それが人の幸せというものです。
メカ師匠とその弟子なんだ君がいろんなところへ行って
いろいろとやり、あなたのかわりに幸せになります。



今週の行ってみよう


コンビニのゴミ箱をあさってみよう。


なんだくん「いきなりあんまりな始まりですね。落ちぶれるにもほどがありませんか。」

メカ師匠「なにをいうのかね。こういうところは都会の人生の機微を見られる、生ける資料というものだ。最近の若いもんというのはフィールドワークを馬鹿にしてからに本当にまったく。」

なんだくん「申し訳ありません師匠。坊主になってやり直します。」

メカ師匠「坊主っていうのもありきたりにもほどがないかね、君。」

なんだくん「は。」

メカ師匠「ここをどこだと思ってるんだ君は。」

なんだくん「コンビニの前です。」

メカ師匠「その地にあるものをうまく利用して遺憾の意を表明する。それが立派な風水師というものではないかね。」

なんだくん「風水師だったんですか僕ら。」

メカ師匠「さあ、やってみなさい。」

なんだくん「はあ。」



なんだくん「ごめーんちゃい。」

メカ師匠「コンビニのゴミ箱というのはコンビニの前においてあるものだ。中にはどんなものが捨ててあると思うかね。」

なんだくん「師匠。」

メカ師匠「何が捨ててあると思うかね、なんだくん。」

なんだくん「やっぱり、コンビニの前といえば夜中に人がいっぱいたかっているじゃないですか。」

メカ師匠「ヤングが。」

なんだくん「ヤングが。だからそういう連中が食い漁る菓子類の袋やジュースの空き缶があふれているんじゃないですかね。」

メカ師匠「なるほど。では実際にコンビニのゴミ箱がどうなっているか見てみよう。」

なんだくん「うわっ。」

メカ師匠「これしきの異臭にうろたえてはいかんよ。」

なんだくん「あっ、この目をつく刺激臭の中で大事なことに気づきました。」

メカ師匠「なんです。」

なんだくん「ちゃんとコンビニの許可は取っているんですか。」

メカ師匠「ゲリラにきまっとるじゃないか。」



なんだくん「じゃみつからないように。」

メカ師匠「あのな、コンビニのバイトにそこまでやる気があると思うか。こんなゴミ箱をあさるややこしい奴は見てみぬふりをするにきまっとるわい。」


なんだくん「それもそうですね。」

メカ師匠「ただし、知り合いには見られないようにしろよ。」

なんだくん「だいじょうぶです。僕には友達がいません。」

メカ師匠「なら安心だ。」

なんだくん「あっ、これはなんでしょう。」



メカ師匠「カサだね。しかもかなり新しい。」

なんだくん「これはどういうことなんでしょうか。この新しい傘を捨てるなんて。」

メカ師匠「どういう事情があったか、説明してみなさい。」

なんだくん「はあ。ええとですね、このカサはこの模様からしてここで売っているものですね。」

メカ師匠「ふむそれで。」

なんだくん「ですから、雨が降ってきてうわあ大変やとコンビニに駆け込んで、カサを買ったのはいいけれども出てくるときにはすでに雨がやんでいたんです。で、こんなもんいらんわーい!と、ゴミ箱にたたきこんだのです。」

メカ師匠「なかなかいいところをついてはいるね。しかし、そんなことではない。大体今日は雨は降っていない。」

なんだくん「そうでしたっけ。」

メカ師匠「君、少しは人間らしい生活しろよ。」

なんだくん「はい。」

メカ師匠「まず、このカサは開かれた形跡がない。そして値札をみてみよう。この値札の形がちょっとここの店と違う。だから同じ物でも買った店がちがうのだ。」

なんだくん「なるほど。」

メカ師匠「よその店で買ったカサをここまで使いもせずにここに来て捨てたことになる。これはどういうことか。つまり、カサは何か用がすんで捨てられたのではない。捨てるために捨てたのだということだ。」

なんだくん「は。」

メカ師匠「つまりカサ捨て競走だな。いかに早く、また多くのコンビニにカサを捨てられるか、それを競う競技がオーストラリアにあると聞いた。それが海を越えてやってきたのだろう。」



なんだくん「YAWARAちゃんとともに。」

メカ師匠「YAWARAちゃん言うな!」

なんだくん「はっ。」

メカ師匠「さ、次のものを探してみよう。」

なんだくん「意外と雑誌が多いですね。」

メカ師匠「やはりこの前にたかるひとびとが読むのだろうな。もしくは常に新しい雑誌を読まないと死ぬ人がここで古いのを捨て、そこで新しいのを買っていったのだな。」



なんだくん「なんスか。常に新しい雑誌読んでないと死ぬ人って。」

メカ師匠「うるさいボケ。」

なんだくん「はっ。」

メカ師匠「次は…パンだなこれは。」

なんだくん「あ、これ知ってます。まずいんですよね、これ。」

メカ師匠「そんなにか。」

なんだくん「はい、何を考えてこんなもんを売り出したのか、ビジョンというものがまったく感じられませんよね。

メカ師匠「君の人生と同じにね。」

なんだくん「…。」

メカ師匠「さてこれは…なんじゃこりゃ。」



なんだくん「なんだこりゃ。」

メカ師匠「なんだこりゃ。」

なんだくん「おもちゃですかね。」

メカ師匠「さ、つぎのものは、と。」

なんだくん「ちょっとこれはいいんですか。」

メカ師匠「わけのわからんものは考えてもしゃあないやろ。」

なんだくん「そんななげやりな。」

メカ師匠「後はなんか液体とかレシートばかりやなあ。」

なんだくん「やっぱりさっきの調べましょうよ。」

メカ師匠「うるさい黙れ。」

なんだくん「なんスか!自分に都合が悪いことはいつもそうっスか!だから師匠はメカでもないのにメカやメカやて
言われるんスよおっ!100%生身のくせにっ!」

メカ師匠「やかましいっ!ガタガタ言うなっ!あ、こら店員、お前どこに電話しとんねん。こらっ、お前も泣きやめっ!」

なんだくん「だってだって。」

メカ師匠「ああうるさい。せやから最近の若いもんは。ん?なんや。おまえら。え?ちょっと署まで来い?なんや国家権力が学問の自由侵してええと思てんのか。あっ痛い。何が触っただけや。国家権力が市民に暴力ふるってええと思てんのか。あっこらなにすんねん!はーなーせーやー!」

なんだくん「…あっ僕はたまたま通りがかっただけです。ハイ。そうです。いや知りませんねえ。はい、じゃあまた。」


なんだくん「それでは、みなさん、ごきげんよう。」

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