食べ放題。


TVチャンピオン「大食い選手権」を見る。

ジンギスカンを大量にむさぼり食らっていた。

あのモンゴル帝国を築いた英雄も今はむさぼられるだけの存在となる。

かつては多民族を制し、あらゆる富をむさぼった男が。

因果応報。

そんな言葉が頭をよぎる。

そうしている間にもジンギスカンの油うけには油がたまる。

ちょっと胃腸の弱い人間なら即死だ。

その後ラーメンを十数杯食らっている。

大体彼らは普段どんな食生活を送っているのか。

紅鮭をまるごと一匹弁当に持ってくるくらいのことは不思議ではない。

卵巣から手づかみでイクラを引きずり出す。

デスクの下にこぼれるイクラ。

飛び散るウロコ。骨。

あだ名は熊さん。

次の日はちょっと気取ってパン屋で売っている

焼きたてのでかいフランスパン数十本。

ひざでパンをへし折り食いちぎる。

飛び散るパンくず。あつまる小鳥。ひからびたイクラ。

牛乳風呂などうっかりすると飲み干してしまう。

冷える。風邪をひく。リットル単位のおかゆ。

こうしてみると彼らの人間としてのスケールが大きいことがわかる。

カロリーを気にすることなくジャムを飲み干し、バターをむさぼり、

ラードを喰らう。

これこそ人間の本来の姿ではないか。

「グルメ」によりゆがめられた食を本来の姿として見せてくれる彼ら。

帰ろう。暴飲暴食へ。打倒、腹八分目!



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