ふたご1 「こんにちは、と言ってみる秋の暮れ。」
ふたご2 「夏だし暑いし蒸すし。」
ふたご1 「ポーランドのワレサ元大統領が自慢のひげをそり落としたそうです。」
ふたご2 「へえそうなんですか。」
ふたご1 「ですが今は後悔しているそうです。」
ふたご2 「なんじゃそりゃ。」
ふたご1 「何しろワレサ元大統領のひげといえば、ワレサ元大統領が連帯の委員長時代からのトレードマークで、ポーランド、東欧の民主化をひきいてきたワレサ元大統領のシンボル、すなわち東欧の民主化のシンボルというわけなのですよ。」
ふたご2 「はあそうだったんですか。」
ふたご1 「つまり、ひげをそった今、東欧の民主化は音を立てて後退しつつあるわけですよ。」
ふたご2 「ひげそったくらいで後退するか。」
ふたご1 「本当です。たとえばルーマニアのブカレストでは、パン屋の角で共産主義を見たという目撃証言が。」
ふたご2 「目撃するもんか共産主義って。だいたいどんな形だ。」
ふたご1 「形はわりと普通の人っぽいですが、全身赤く染まっていたから共産主義に間違いないかと。」
ふたご2 「イタリアのトマト投げ祭りの帰りの人かも知れんぞ。」
ふたご1 「ほかにもハンガリーのブダペストのかもめ第三小学校の音楽室のシューマンの肖像画が社会主義に変わっていたり、ブルガリアのソフィアのかもめ第四高校の音楽室では誰もいないはずなのに共産主義を弾く音が流れてきたり…」
ふたご2 「妖怪か、共産主義や社会主義は。」
ふたご1 「ヨーロッパをひとつの幽霊が横行している…共産主義という名の幽霊が…。」
ふたご2 「まあ幽霊でもいいや。」
ふたご1 「チェコのプラハのかもめ第五小学校のトイレの中から…赤い共産主義と青い社会主義どっちがいい〜?」
ふたご2 「もうええわっ!」
ふたご1 「ですから今東欧の人たちは共産主義と社会主義を除霊するために大騒ぎですよ。」
ふたご2 「まあ夜は涼しくて良いんじゃないかと思いますが。」
ふたご1 「というわけで東欧の人たちは共産主義と社会主義を除霊するために日本から除霊のエキスパートを呼び寄せました。」
ふたご2 「何でわざわざ日本から。」
ふたご1 「なんといっても資本主義の大国ですし、それにその国の首相を務めた人というのだから効果は期待できるでしょう。」
ふたご2 「首相経験者が除霊の専門家?」
ふたご1 「そう、なくなってしまったワレサ元大統領のひげにかわるものはこれしかない!村山富市元首相のまゆ毛ですっ!!」
ふたご2 「「毛」なだけでかわりになるんかっ!!」
ふたご1 「…よく考えたら村山元首相って社会党の人でしたね。社会主義祓えるんでしょうか。」
ふたご2 「ミイラがミイラとりに行くようなもんやからね。」
ふたご1 「パキスタンのベナジール・ブット元首相が10月の総選挙に獄中からの立候補も辞さない意向を固めているそうです。」
ふたご2 「獄中からですか。」
ふたご1 「ブット元首相は現在イギリスに亡命しているのですが、帰国して選挙に立候補すると現政権によって逮捕されてしまう可能性があるのです。」
ふたご2 「パキスタンは政権のあれやこれやがややこしいからねえ。」
ふたご1 「しかし、イスラムの国のパキスタンで初の女性首相となったブット元首相はただものではありません。たとえ逮捕されても大丈夫なようにいろいろ手をうっているにちがいありません。」
ふたご2 「はあそうですか。」
ふたご1 「もし現在のムシャラフ大統領が逮捕以外の別の手段をとってきても、それに対抗する期方法も練っているに違いないのですよ!」
ふたご2 「逮捕以外の別の手段?」
ふたご1 「たとえば、ブット元首相が帰国する飛行機をインド洋上で撃墜したとしても!」
ふたご2 「うわあえらいことするなあ!」
ふたご1 「その時にはブット元首相は海中からの立候補を!」
ふたご2 「いや、それどころでなく。」
ふたご1 「たとえ謎の巨大怪獣にひとのみにされても、ブット元首相は胃中から立候補!」
ふたご2 「出るな!巨大怪獣!」
ふたご1 「たとえブット元首相が日本の高校に転校して持ち前の野球のセンスを開花させ、そのあまりの才能が高野連のかたくなな方針を変更させ、甲子園への女子の出場が可能になり、優勝候補の筆頭と目され、一回戦、二回戦は順調に勝ち進むも準々決勝で強豪の折田商業とぶつかり、一転を争う好ゲームとなり2−1でむかえた九回の裏、ランナー二塁、ここで四番のブット元首相に一発長打が出れば同県の高校としては二十年ぶり三回目となる準決勝進出、カウントは2-3、さあピッチャー振りかぶって投げたとしても甲子園中から立候補!」
ふたご2 「長いわっ!」
ふたご1 「さすがのムシャラフ大統領も「本日はまことにお忙しい中、ご立候補いただき…」というほかないありさまに!」
ふたご2 「だから忙しいどころではないと言うに。」
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