――Quick USOYA 2000.09.19―――――――――――――――――――――――

今週の内容.........
1. しーもす君と小猫さん
2. 非尋常伝説
3. 嘘屋チャットのご案内
4. 嘘競演のお知らせ
5. しーもす君と小猫さん

1. しーもす君と小猫さん ――――――――――――――――――――――――

(前回のあらすじ)
少女を人質にして地球上のウラニウムすべてを要求する
アンドロメダの帝王・ゲヴ!
ゲヴを倒すため、しーもす&小猫は「弦楽戦隊・ヴァイオラー」
1号&2号に変身して立ち上がった!
しかし、ゲヴの秘密兵器「耳栓」によって、ヴァイオラー最大の武器
「音」は封じられてしまった!どうする?我らがヴァイオラー!

ゲヴ「どうだ、これで貴様らも攻撃できまい。ざまあみろ。」
1号「ふ、甘いな。俺達はヴァイオリンの弓を持っているんだぜ。」
2号「行くぜ!特殊奏法……」
1号・2号「コル・レ〜〜ニョ!!」

(ナレーション)
ヴァイオリンの弓の裏側、木の部分で弦を「軽くたたく」奏法、
これが特殊奏法「コル・レーニョ」だ!
頭や顔を「コル・レーニョ」されると、ちょっと痛いぞ!

1号「まずは俺からだ!覚悟しろ!ゲヴ!!」
 コツ、カツッ!
ゲヴ「あ、痛っ!!くそぅ、こんな武器を持っていたとは!
   しかし、おれを甘く見てもらっては困るぜ。
   ゆくぞ、これが“通信講座空手三級手刀”だっ!
   こんな木製の弓など……せいっ!」
 バキッ
1号「うおぉ〜〜っ!俺の弓がぁ〜〜!!」
2号「ちくしょう、今度は俺が相手だ!!」
 トン、トン!
ゲヴ「あ、もう少し首筋のとこね。あ、そこ、そこ!」
2号「おい、1号もぼーっとしてないで、手伝えよ。
   こいつの肩こり、かなりな強敵だぜ。」
1号「……お前ら、戦う気あるの?」

2. 非尋常伝説 ――――――――――――――――――――――――――――

第五回 学習塾と三角関数と永久機関とブラックホールと 
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壇つな@Dの嘘  http://d-uso.com/
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真の恐怖はいつだって日常の隣にしか存在しない。

超常現象にハマった人の言動は対岸の火事としてみる限り、笑えるものである。
パースの狂った少女漫画風前世の自画像を雑誌に投稿したり、
植物さんに話しかけたり、5000円札にユダヤの陰謀を感じたり…

しかし、対岸の火事と笑っていたその言動が自らの日常に割り込んでくるとき
それは恐怖となる。

…もう5年も前にもなるだろうか。当時、大学生だった私は小さな個人指導学習
塾でバイトをしていた。個人指導とは一対一の授業、塾でやる家庭教師みたいな
ものである。

その塾には理系バイト講師が少なかったため、高3の物理や数学といった授業は
大体、理系の私のところに回ってきた。

ある日、塾長からとんでもない依頼を受けた。
「65才のお爺さんに三角関数を教えて欲しい」というのである。
「なぜ65才に三角関数を?」と質問したのだが、塾長は
「よくわからないんだよ。とにかく来週水曜一コマ、三角関数を教えてあげて。
料金受け取ったから。よくわからないんだけどね。頼むよ。」
と繰り返すばかり。

「よくわからないんだよ」が気になったのだが、雇われの身としては、引き受け
るしかない。立ち上がる不安。65歳といえば人生の先達である。その人にどのよ
うに教えればいいのか?不安をよそに授業当日はやってきた。確かに目の前に65
才のお爺さんが大きな袋を下げ、杖をついて立っている。周囲は中高生ばかり、
お爺さんが年齢よりも老けて見えることもあり、違和感バリバリである。

爺「貴方が先生ですか。どうぞよろしくお願いします。」
私「こちらこそ」
とつつがなく始まる授業。
とにかく席に座り、三角関数の説明をしだしたが、話がまるでかみ合わない。

私「…つまり、sin関数とcos関数があって、これは三角形の…」
爺「…エンジン」
私「sin関数は正弦関数と言って…」
爺「エンジンが動くはずなんですよ」
私「エンジン?エンジンがどうかしたんですか?」

と、興味を示したのが運の尽き。お爺さんは嬉しそうにいそいそと傍らの袋から
ボロボロの図面と計算式を取り出した。

爺「これは東工大の先生にも見ていただいたんですがね。このエンジンが完成す
  ればね。永遠に動く素晴らしいエンジンになるんですよ。でも、この中の棒
  の長さがいくつになるかわからない。これを先生に計算していただきたいん
  ですよ。」

今だったら、これは永久機関を発明しようとしている手におえないオカルト爺だ
ったということがわかる。永久機関とは文字通り、永久に動く機関。物理法則に
反した機関の事で、「あまり真面目に相手にしない方が良い」とされているもの
の一つだ。
しかし、当時いたいけな大学生だった私はそんなこと知る由もなくおじいさんの
言うことを理解しようと躍起になった。

私「つまり、この図面がエンジンなんですね。」
爺「そうです。この部分が永久に回転します。」

その図面はエンジンとはとても思えぬ、いいかげんなもの。
円の中に棒が書いてあるだけだ。

私「燃料は何なんですか?このままじゃ回らないですよね?」
爺「回ります。」
私「どうやって?」
爺「ブラックホールが…」
私「ブラックホール!?」
爺「そうです。地球の中のブラックホールが…」

ブラックホールだけでわけがわからないのに…それが地球の中に?
お爺さんは指で輪を作り、自分の周りをグルグルと回している。
どうもそれがブラックホールらしい。怖い。なんだか無性に怖い。
怖さのあまり、私は思考停止におちいってしまった。

私「…cos関数は余弦関数と言って」
爺「ブラックホールが…」
私「正接関数というのもあるんですけどね。今はこれは置いておきましょう」
爺「地球の中でね。回っているんですよ…それと同じなんですよ」

周囲では、普通に中高生向けの授業が進んでいる。
何故、私ばかりがこんな不条理な目にあわなければならないのか。
周囲の日常が恨めしい。隣でのんきにhaveの過去形を中学生に
教えているバイト友達が憎い。場所、空気は日常のものでありながら
教室でただ二人、いきなり非日常に叩き込まれているこの状況は恐怖そのものだ
った。

ともかくも苦痛と恐怖に満ちた90分の授業は終わった。私は三角関数について知
っていることを話し、お爺さんは地球の中のブラックホールと永久機関について
語り尽くしたのだ。お互いに人事は尽くしたといえよう。しかし、恐怖はこれで
終わらない。

爺「いや、ありがとうございます。ためになりました。
  是非、後4〜6回ほど教えていただきたいのですが…次の授業はいつに…」
私「いえ、うちは永久機関のコンサルタントではないので…」
爺「まぁそういわずに。そうだ。先生の名刺ありますか?是非電話ででも教えて
  いただきたいのですが…」
私「いえ、あいにく名刺は持ち合わせておりませんので…」
爺「東工大の先生も動くと言ってくださったんですがねぇ」
私「お疲れ様でした」

名刺は持っていたのだが、嘘をついてなんとかお引取り願った。
後で聞いた話では、この授業の後、塾の本部に
「授業を受けさせろ。あの先生の連絡先は。」
と1時間に及ぶ電話がかかってきて大弱りだったそうだ。しかも繰り返し。

あの時、名刺を渡さなかったのは私の人生の中でも最も賢明な判断だったと思う。

                 (次回は10月24日号に掲載の予定です)

3. 嘘屋チャットのお知らせ ―――――――――――――――――――――――

残暑厳しい今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。

このところ、皆様におかれましては、残暑やら、台風やら、はたまた、嘘競演や
らで、なかなか心休まる日々が少ない状況かと思います。

台風は一体何処に行こうとしているのだろうか? 残暑はいつまで続くのだろう
か? 雷で壊れたTAは燃えないゴミなのだろうか?
嘘競演で「2行以下の振り逃げネタ」を書くと、次回から「開催のお知らせ」が
届かなくなってしまうのだろうか?

そんな中、「9月嘘屋チャット」を開店したいと思います。

オフ会やら私の都合で、このところ開店日がずれまくっていた「嘘屋チャット」
ですが、今月は、ようやく、まともな日にちに開店することができます。

日時:西暦2000年9月23日 22時〜
方法:くどいようですが... いつものtelnet
場所:当日22時前に、嘘屋らくがき帳にてお知らせいたします。

初めて参加される方は、嘘屋トップページからUSOYA CHAT INFORMATION をご覧
下さい。その中の、THIS IS CHAT で、Win Mac 両ユーザー向けに、接続方法等、
ご説明させて頂いております。

敬称略の気軽なチャットですので、お気軽にご来店いただければ、幸いです。

皆様のご来店をお待ち申し上げております。

Chat Bar 一円店 店主 流水木

USOYA CHAT INFORMATION
http://www.est.hi-ho.ne.jp/ryusuiboku/

4. 嘘競演のお知らせ ――――――――――――――――――――――――――

春になると渡り鳥が北に帰るように、涙橋を渡ったあの日の若者が、やがて胸を
張りかつての道を逆に辿るように、全ての嘘つきが嘘競演へと戻る季節がやって
まいりました。

第16回嘘競演、お題は、「死」

開催期間:9月23日夜〜10月1日夜

開催情報については
http://village.infoweb.ne.jp/~fwba0050/usokyo/
において詳細をお伝えしていく予定です。

皆様ふるってのご参加をお待ちしております。

5. しーもす君と小猫さん ――――――――――――――――――――――――

ゲヴ「ふっ、ついに貴様らの攻撃も万策尽きたようだな。」
1号「くっ、こうなれば最終攻撃に出るしかないな。」
2号「この攻撃だけは、あまり使いたくなかったのだが……」
1号「ゆくぞ!最終攻撃……」
1号・2号「4分33秒ぉ〜〜!!」

(ナレーション)
演奏者は4分33秒の間なにもしない。その間に会場の中で発生した
すべての音が「音楽」だ、とする、ケージ作曲のゲンダイオンガクの
メイサクが「4分33秒」だ!!
「でも、それって音楽なのか?」「裸の王様の衣装じゃないのか?」
というしごく真っ当な疑問は、しかし、ゲンダイオンガク界最大の
タブーとされている。

ゲヴ「なんだ?こいつら黙ってしまいやがったな。
   ではこちらから行くぞ!
   “二日だけボクシング部にいましたパ〜ンチ”!」
1号・2号「……」
ゲヴ「ふっ、あまりの攻撃に反応すらできないようだな。では次、
   “90度しか脚が上がらない踵落と〜し”!」
1号・2号「……」
ゲヴ「反応なしかよ。気味の悪い奴らだな。
   ほら、耳栓はずしてやるから『痛い』とか何とか言えよ」
1号・2号「……」
ゲヴ「何だ?そのニヤついた顔は?……はっ!まさか貴様ら、あの
   伝説の攻撃を使っているのか!今起きているすべてのことが、
   俺の攻撃さえも『俺への攻撃』だという、あれを!」
1号・2号「……」
ゲヴ「し、しまった!どうやら図星のようだな!!
   くっそぅ、そうとわかった以上、今回は俺の負けだ。
   くやしいが、今日はこの辺で退散するぞ。
   さらばだ、ヴァイオラー!」

1号「……行っちまったぜ。」
2号「何もしないのに逃げ出すなんて、楽な相手だったな。」
1号「全くだ。この攻撃を知らない相手だったら、
   俺達、ボコボコにされてたところだったよな。」
2号「さ、俺達も嘘屋に帰ろうぜ。」

(ナレーション)
こうして、われらがヴァイオラーは勝利を収めた。強いぞ、われらの
ヴァイオラー、さすがだ、正義の味方、弦楽戦隊・ヴァイオラー!!

次回は量子力学戦隊・シュレディンガーでお送り…えっ?まだ何か?

少女「えっと、あたし、前回失神したまんまなんですけどぉ……」

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