――Quick USOYA 2001.01.09―――――――――――――――――――――――
今週の内容.........
1. しーもす君と小猫さん
2. 更新情報
3. 嘘書籍探訪
4. しーもす君と小猫さん

1. しーもす君と小猫さん ――――――――――――――――――――――――

しーもす:新世紀だねえ。
小  猫:新性器ですねえ。
しーもす:字が違うぜ、小猫さん。
小  猫:あ!ああっ!
しーもす:ああ!じゃないってば。
小  猫:いい百年にしたいですよね。
しーもす:どんな風になるだろね。19世紀末の人が残した「20世紀はこうなる!」
     っていうのを今読むと、結構笑っちゃうかんね。どんな予想言っても、
     今なら、ボクらの子孫が笑ってくれるよ。100年スパンのネタ。
小  猫:壮大なネタ・プランですねえ。お笑い好き冥利に尽きます。
しーもす:で、ボクらで勝手に未来を予測してみるって趣向は、どう?
小  猫:面白そうですね。
しーもす:名づけて、『未来予想図つうう!!』!
小  猫:「夢がホントになる!」わけですね。
しーもす:あれって、「日本版・Swing Out Sister」だよね。
小  猫:まあ、まあ。ジャクソン・ファイブとフィンガー・ファイブみたいな
     もんで、日本芸能界のお家芸ですから。そこはひとつ、穏便に。
しーもす:ま、さておいて。うーん…ボクは、21世紀に、新大陸が発見されると
     思うなあ。
小  猫:へ?
しーもす:新大陸ですよ、し・ん・た・い・り・く!
小  猫:カンペキダ!
しーもす:茶化さないでよ。知らないんですか?新しい大陸のことですよ。
小  猫:あ、いや、なに…その、知ってますけど…そのお…ええっと、どこに
     見つかるのか、伺ってもよろしいでしょうか?
しーもす:バカだなあ。どこにあるかわかったら、発見にならないじゃないです
     か。
小  猫:…はあ。ごもっともで。
しーもす:きっとボクは発見できないだろうけど、もしボクが発見できたら「ゴ
     ンドワナ」って命名したいなあ。
小  猫:…はあ。そりゃまた、ずいぶんレトロなネーミングで。

2. 更新情報 ――――――――――――――――――――――――――――――

●Dの嘘 http://d-uso.com/ 

今年もやってきました!鰐無スキー場オープン!
サイコーのパウダースノーが昆虫レベルの知性を獲得し、
不気味に蠢きつつも貴方の来訪をお待ちしております。

3. 嘘書籍探訪 ――――――――――――――――――――――――――――
壇つな@Dの嘘  http://d-uso.com/
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序
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さぁさ、新年早々唐突に始まる新連載「嘘書籍探訪」
この連載では「嘘」でかつ「笑える」書籍を紹介していく。

本を紹介し、推薦し、推薦し、その推薦の毒気に当てられた方にはその書籍を
買っていただいて、笑っていただき、他の人にも勧めていただいき、売上げを飛
躍的に伸ばし、ゆくゆくはこれらの書籍が紀伊国屋書店ベストセラーランキング
上位を独占すると言う幸福の科学のような企画である。

どうも話がでかくなりすぎた。実のところ「嘘」で「笑える」書籍というのはど
うも売上げが厳しい。大体がまず絶版。絶版でなかったとしても出回りが少ない
ため手に入れることは大変困難だ。このような地道な営業活動の結果、このよう
な本の人気が僅かにでも高まり、うっかり間違って絶版、もしくは永遠の近日刊
行予定の呪縛から脱却できる本が一冊でも出ればこんなに嬉しいことはない。

とりあえずこの連載では何とか購入可能な本に的を絞って紹介していきたいと思
う。入手難とはいっても今はネット通販のおかげでずいぶん入手しやすくなって
いるので、気の向いた方は是非読んでみていただきたい。

さてさて、まずはいきなり(私にとって)最高の本をご紹介する。

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嘘書籍探訪  第一回
 「虫づくし」 著・別役 実
  嘘 度:★★★★★
  笑 度:★★★★
 入手易度:わりと容易(大型書店もしくはネット通販で入手可)
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この本を読んだのは確か中学3年生のとき。
笑った。笑った。笑いすぎて呼吸が苦しくなってなお読むことを止められず、
読んで、笑って、苦しくなって、読んで、笑った。これほど笑った本は他にない。

若い頃、この本に出会ったおかげで私は「笑える本だけがいつも正しい」という
奇妙なポリシーをもつはめになってしまった。

「虫づくし」は名文「序にかえて-虫は虫である」から始まる。

この「序」は「郵便局の地下に住む虫に詳しい男が『虫に関するテーゼ』を追い
求める話」だ。このなんだかよくわからない設定の話が笑えると思うだろうか?
しかし、これが既に抱腹絶倒。その絶妙の間と流麗な流れによって笑いの痙攣
が引き起こされる。私はこれで何度も畳をかきむしった。
しかし、これでさえまだ「序」に過ぎない。

「虫づくし」とは虫に関する様々な事象を紹介し、それに関する考察を重ねた小
文の集合体である。その数ざっと32。

そのいずれもが虚偽混沌抱腹絶倒奇怪無比幻惑無窮。

その一つ「なめくじについての考察」はこのような書き出しで始まる。

  「なめくじに適量のヨウモトニックを振りかけると
   毛が生えてくる。これがけなめくじである。」

いきなり嘘だ。大体なめくじは虫じゃないだろう。
とつっこむ間もなく嘘が畳み掛けられる。

  「昭和49年6月18日、ヨウモトニックでは、これを超低
   速度カメラでとらえ、CMにしたてて全国に放映したが
   2時間後に警視庁からチェックされ、放送禁止となり
   フィルムはただちに没収されてしまった。
   表向きは誇大広告ということになっているのだが警
   視庁内部では猥褻物取締法違反に問えないかどうかを
   現在ひそかに検討中と言われている。」

 我々がよく見かける「嘘」による笑いというのは「笑ってしまうような状況の
記述」による場合が多い。しかし、別役氏の場合はそれだけにとどまらない。
まず、「笑ってしまうような状況」で畳み掛け、読者がひるんだ隙に(ひるまな
くても)論理を縦横に展開させて「笑ってしまうような状況」によって巻き起こ
されるさらに笑える状況を描き出す。虚に虚を重ねるわけだ。一般的な嘘を木造
平屋の長屋だとするならば別役氏のそれは天を突く砂上の楼閣だ。
この差は思いの外でかい。

「なめくじについての考察」では「けなめくじ」を巡って、
有名大学病院の医師が対立し、予算案席上の国家公安委員長が苦しみ、野
党議員は吠え、アングラ派は当惑し、イグナチオ教会の神父は状況をたしなめ、
新左翼系論客は近代的合理性を覆す視座を見出す。

手におえないような混乱に見えるが、この混乱は単なる混乱ではない。
論理の下、正確に展開した混乱であり、これが笑いを引き起こす。

虚の事実に虚の論理を重ねるテクニック。それだけで身震いするほどだが、別
役氏にはさらに「実の事実に虚の論理を重ねる」「虚の事実に実の論理を重ね
る」「実の事実に実の論理を重ねる」という計4つのテクニックを自在に操り、
「そもそも虚と実に分ける事自体なんの意味がないのでは」と思わせるもはやな
んだかよくわからない境地に叩き込んでくれる。

 こう書くと高尚で難解な本かと思うがそうでもない。虚の事実も実の事実も
あまりにくだらなく、虚の論理も実の論理もその精緻さゆえにくだらなさをかき
たてる。
とにかく笑えるのだ。

少々話はそれるが別役氏の文章は特に笑いを引き起こすことを目的とはしてい
ないように見える。それゆえ時として笑いとしては寸止めしたような文章もある。
だが笑いを目的としてなくても寸止めであっても笑えるのだからお徳ではないか。

虫づくしには「なめくじ」以外にも、体内のさなだ虫を飼いならす「さなだ虫師」
を巡って起こる大論争。冷戦時代の対立に巻き込まれる「ナンキン虫」。R大学
実験神学部が行う「ハリガネムシの長さ」にまつわる研究。「ゲジゲジこそ完全
存在だ」と狂喜してモンマルトルの下宿の窓から墜落するサルトル。などが収め
られており、どれをとっても損はしない名品ぞろい。この手のナンセンス、
パロディ、パスティーシュ好きにはなにをおいてもおすすすめする一冊である。

ところで、私は先日、電車の中で「蛾に関する考察」を読んで
思わず笑ってしまった。今までに何十回、何百回と読んだ文章なのに。

なんてことだ。

書籍データ―――――――――――――――――――――――――――――
書名 虫づくし   著者 別役 実
出版社 早川書房 ISBN 4-15-050143-2  販売価格 505円(税抜)  

4. しーもす君と小猫さん ――――――――――――――――――――――――

しーもす:小猫さんは、21世紀、どんなことがあるといいなあって思う?
小  猫:宇宙ステーションが、月や仮性のあちこちにできてるといいですねえ。
しーもす:だから、字が違いますってば、小猫さん。
小  猫:宇宙ステーションを中心に、建売住宅などを増設してですね。
しーもす:おお!宇宙にマイホーム!
小  猫:ところが公庫の利率が高く、なかなか入居が進まない。
しーもす:なんか、リアルだね。
小  猫:で、オープン予定のステーション横・複合商業施設も、思うようにテ
     ナントが入らない。
しーもす:生々しいなあ。
小  猫:そんなこんなで、シャトル便快速が停まるはずだったステーションに、
     各停しか停まらなくなる。
しーもす:何の話してるんです?
小  猫:で、第3セクター運営の宇宙ステーションなどが、あちこちにできる
     と思いますね。
しーもす:暗澹たる宇宙開発だなあ…話題変えようよ。
小  猫:じゃ、ええっと…そうだ、21世紀は、バイオテクノロジーなども、進
     むでしょう。
しーもす:ゲノム操作なんかも、思いのままにできるようになるだろね。
小  猫:ヒトの遺伝子も操作可能、最初のうちは優秀な遺伝子だけ寄せ集め、
     こぞって「究極の人類」「至高の人類」づくりに熱中するでしょう。
しーもす:やっぱ「まったりとしてそれでいて爽やかな後味を残す」ひとだろう
     なあ。
小  猫:で、ひとしきり優秀なヒトのパターンが出揃うのが2042年秋ぐらい。
しーもす:なんです?その年代の決め込みは?
小  猫:そうなると、科学者っていうのは反証好きですから、劣悪パーツを寄
     せ集め、究極のバカづくりにこだわるグループが、絶対登場します。
しーもす:わはははは。出る、出る。絶対、出る。
小  猫:で、バカっていうのは繁殖能力だけは高いから…
しーもす:こらこらこら。
小  猫:あっという間に、バカが社会を席巻する。数の論理で。
しーもす:なんか、またヤな未来になっちゃったなあ。
小  猫:バカは自由与えられても、有意義なコト思いつかないし、きっとお笑
     いホームページが乱立します。これがだいたい2086年春ぐらい。
しーもす:だから、その年代の根拠な何なのよ!
小  猫:あ!そのころは「嘘屋本舗2086」ですね。こりゃあ、またロゴ作って
     おかなくちゃ!
しーもす:ロゴ作りは、後でいいから、いいから。ほら、ちょっと、落ち着いて。
     ね、ね。プリーズ。
小  猫:はい。あ、その頃はきっとインターネットなんて言葉は使われないで
     すね。
しーもす:あ、そうだよね。パソコン使ってインタネ、ケータイでメール飛ばし
     てた、なんていうのは、レトロになっちゃってるよね、きっと。
小  猫:きっと私たちがガスランプや蓄音機を眺めるのと、同じ感じですね。
しーもす:なるほど。
小  猫:“昔はテキストだけで笑っていたらしい。昔のひとは素朴だったんだ
     ね”とか、私たちは言われちゃうんです。
しーもす:やっぱり、トホホな未来だね。ボクたちって、つくづく役立たずだな
     あ。

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