――Quick USOYA 2002.12.24―――――――――――――――――――――――

今週の内容........
1. しーもす君と小猫さん
2. 更新情報 (週刊WEBマガジンSAKANAFISH)
3. しーもす君と小猫さん

1. しーもす君と小猫さん ――――――――――――――――――――――――

小  猫:ようこそ当グランドプリンスクイーンキング・スパリゾートホテルニ
     ュー嘘屋へ、お越しくださいましたあ!
しーもす:…フルネーム、ノーブレスで言い切ったよ、この仲居さん…すげえ。
小  猫:ワタクシ、こちらのお部屋「阿修羅の間」をまかなわせていただきま
     す、小猫、と申します。どうか、ご贔屓くださいませえ。
しーもす:小猫、さん、ですね?よろしくお願いします。
小  猫:……。けほん。えー…。どうか、よろしく、ご・ひ・い・き・に、お
     ねがいしますうううう!
しーもす:へ? はあ…よろしく、お願いします…。
小  猫:ち! ニブいなあ、こやつも。今日もスカ客かよ…ったく、連日しみ
     ったれてやんの、早く景気よくなんねえかなあ…ど・う・か! ご・
     ひ・い・き・にいいい!
しーもす:…え? …ああ! そっか! そういうことですね! そうロコツに両手
     突きださなくたって、いいじゃないですか…ったく、風情のない…え
     えっとお、剥き出しですいませんけど。はい、これ。ほんのおこころ
     づけです。
小  猫:まあ!お気づかいいただきましてえ! ありがとうございますうう!
しーもす:よくもまあ、ヌケヌケと…うわあ、すんげえ早さで、たもとにしまい
     やがった。
小  猫:お食事をご用意する間、お風呂にでも、ごゆっくり、どうぞ。
しーもす:あ、いいねえ。そうさせてもらいます。お風呂、どこかな?
小  猫:お部屋出られまして、右の階段をお降りいただきますと、天井から綱
     が一本、ぶらさげてございます。
しーもす:へ? 綱?
小  猫:はいい。その綱におつかまりいただきまして、向こう岸まで、ご跳躍
     くださいませ。
しーもす:アスレチックかよ、ここは…変わった趣向の、お風呂ですね…。
小  猫:くれぐれも、綱をお手はなしいただきませんよう、お願いいたします。
     落ちたが最後、当館創設120年来、いまだかつて生きて這い上がれた
     者なしという奈落でございまして。当館名物、無間地獄1本渡り、に
     てございます。
しーもす:風呂はいるのも、命がけだな…。
小  猫:奈落の底には、人肉食してまるまると肥えたカニが繁殖しておりまし
     て。
しーもす:ぐげげ。
小  猫:そりゃあ、もう、大変な数なんでございますよ。わしゃわしゃと。カ
     ニの上にさらにカニが群れなし互いにのりあげ、われ先にと落ちてく
     る獲物を互いに奪いあうんでございます。きびしい大自然の生存競争
     を、まざまざと見せつけられる思いでございまして。成人男子の1体
     や2体、カニに埋もれ、ものの数分で生きたまま喰いちぎられるので
     ございますよ、くへっへっへっへ。
しーもす:…なんか、すっごい、楽しそうに、ベラベラよくしゃべるねえ、小猫
     さん…。
小  猫:本日のお料理は、「カニ三昧コース」のほうで、およろしうございま
     したね?
しーもす:絶妙なタイミングで、メニュー確認しやがる…えーっと…ええ! も
     ちろん! カニ食べに、こんなひなびた温泉旅館まで、来たんだもん!
     やっぱ、冬は、温泉とカニ料理!これでしょう!ニッポン人なら!
小  猫:ええ。ええ。まったく、おっしゃる通りでございます。クリスマス・
     イブだっちゅうのに、やもめ一人で、こんな片田舎までわざわざお越
     しになるなんて。よほど色気にご縁のないお暮らしぶりかと。
しーもす:大きなお世話だよ。
小  猫:今晩と明晩の2日は、日本で最も「生殖活動の大義名分が立ちやすい
     日」として、都会の洒落たホテルなんかは10月から予約がはいる日で
     ございましょ、お客さま。お若い女性のかたなど、この夜のために、
     血まなこで勝負パンツ漁りに歳末バーゲンをハシゴするんでございま
     すよ。
しーもす:見たのかよ。
小  猫:それに比べ、やもめ一人で、こんなひなびた旅館に貧乏ヅラひっさげ、
     のそのそ現れ…
しーもす:貧乏ヅラで悪かったな。
小  猫:わたくしも、もう今ではこんなオバサンになってしまいましたけれど
     ねえ。ほほほほ。若い時分には、クリスマスのお誘いをどう断わろう
     かと、そりゃあ、言い訳いろいろ11月ぐらいから考えあぐね…あの時
     分は、毎日が、ときめいておりましたわねえ、そう思いませんこと?
     お客さま?
しーもす:はあ…あのお…別に、ひとことも小猫さんの豊穣な恋愛遍歴など、お
     尋ねしてないんですが…。
小  猫:あ? お風呂でございますか?ご無事なお帰りを〜。

2. 更新情報 ――――――――――――――――――――――――――――――

【週刊WEBマガジンSAKANAFISH】
http://www.interq.or.jp/ski/sakana/

今年ももう終わりですね。
ではよいオトシブミ
[オトシブミ科、体長六〜一〇ミリメートルの甲虫。
クヌギ、ナラなどの葉を丸めて巣をつくり、地上に落とす。
巣中で卵は孵化して幼虫になり、巣の一部を食べて育つ。
名前は巣が巻いた手紙のようにみえるところから。
夏の季語。]
を!
そんな今週の更新情報です。

今週の特集は「20世紀のまんがまんが」
再リクエスト特集ですよ。
さらにいえば
水炊き鍋まんが果糖水的生活131とよんこまさん、
ふたご対談もあったりします。

3. しーもす君と小猫さん ――――――――――――――――――――――――

小  猫:お帰りなさいましい。お風呂は、おくつろぎいただけましたか?
しーもす:ゼエ、ゼエ…た、ターザンの真似ごとだけじゃ、ないじゃん! 風呂
     にたどりつくまで、いくつ難関あるんだよ!あそこ!
小  猫:だって、お客さま、途中で「聞いちゃおれん」と逃げ出すように、ダ
     ッシュで出て行かれるんですもの。はい!
しーもす:だから、その、すぐ両手を突き出すの、やめなさいって、ゼエゼエ…
     えーっと…あ! さっき、あげたじゃない!
小  猫:えええ!あんだけで、おしまいですかああ? じゃ、お料理は、ご自
     分でお運びくださいまし! ぷん、ぷん!
しーもす:わーったよ!わーった!はい!これ!少ないですが!ど・う・ぞ!…
     ったく。
小  猫:ホントに少ないな…。
しーもす:心づけもらっといて、文句いうなああ! うわあ、何度みても、見事
     な早さで、たもとに入れやがるなあ…。
小  猫:そういちいちカリカリされては、せっかくのご旅行も、楽しさ半減で
     ございますですよ、お客さま。
しーもす:やかましい! だいたい、あの、風呂にたどりつくまでの仕掛けは、
     なんだあ? あれ?ここは「風雲たけし城」か?
小  猫:当館のほうが、ご本人さまの生死がかかっておりますゆえ、真剣味が
     違います。
しーもす:瀕死のおもいでたどりついたら「因業地獄」とか扉に書いてあって。
     ええっと、もうひとつは何だったっけ…。
小  猫:「畜生地獄」にてございます、お客さま。
しーもす:素直に「男湯」「女湯」って書きなさいよ、あんなもん…ネーミング
     センスに、すっごく問題ないか? ここの館主?
小  猫:なかなか凝った趣向でございましょう?戦前は、かの芥川龍之介先生
     が、睡眠薬にしようか当館で終えようか最後までお迷いになられたと
     いう、由緒ある旅館でございますのよ。
しーもす:東尋坊みたいな旅館だな…『るるぶ』に書いてあった「文豪ゆかりの
     由緒正しい」って、そういう意味だったワケね…。
小  猫:お食事のおしたくが、整っております。どうぞ。
しーもす:をを! さすが! 老舗旅館! 見事な盛りつけ! すげええ!
小  猫:ええ。何もない田舎でございますが、カニだけには事欠きませんので。
     くけっけっけっけ。
しーもす:…これって、やっぱり…あの、カニなの?さっきの、ターザンの…?
小  猫:はい! 当館名物「無間地獄1本渡り」直産でございます! いやあ、
     お客さま、お戻りになれるとは!見栄えは貧乏たらしい分、体力あり
     あまっておいでですのねえ。なかなか、いらっしゃいませんのよ、お
     戻りになれるかた。
しーもす:誉めてんですか? それ? …たしかに、金庫破りするルパン3世の気
     持ちが、少しわかるようなコースだったけどなあ。
小  猫:こちらのカニ鍋は、もうダシができあがってございます。煮たちまし
     たら、こちらのタレにつけてお召し上がりくださいませ。こちらのカ
     ニ刺身盛り合わせは、そのままでも充分お召し上がりいただけますが、
     こちらのお酢醤油を少しだけつけましてお召し上がりいただきますと、
     一層おいしくいただけます。こちらのカニのお吸物は、生臭くないよ
     う山菜をあしらいまして、板前が細心いたしましてございますですよ。
     カニごはんのほうも、お申し付けくださいませ、わたくしが何百杯で
     も盛りつけさせていただきます。もう、隅から隅までカニ尽くしでご
     ざいます、これがホントのカニバリズム、なんちて、うぷぷ。
しーもす:なに、ドサクサまぎれに、ボソボソ言ってんです? ををを! な、な
     るほどお! たしかに、カニ三昧コースを謳うだけのことはある! す
     げえ! こんなにひとりで食べ切れるかなあ…ねえ? ねえ? 小猫さ
     ん? ここのダシ、変わった臭いがするね? 何、ダシに使ってるの?
     このへんの名産なの?
小  猫:お客さまが、キツい香料の石鹸かシャンプーをお使いなのではありま
     せんか?
しーもす:あ、そーかー…って! ええ! ああ! ひょっとして!これ、さっき
     の、淫欲地獄のお?
小  猫:「因業地獄」でございますよ、お客さま。

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