―――QuickUSOYA2004.9.14―――――――――――――――――――――

今週の内容........
1.「しーもす君と小猫さん」(担当:不滅の放蕩)
2. 更新情報(週刊WEBマガジンSAKANAFISH)
3. 何が悲しうて英国在住日記 by まき・とうこ
4.「しーもす君と小猫さん」


1. しーもす君と小猫さん――――――――――――――――――――――――――

しーもす:台風シーズンだねえ。 
小  猫:そうですねえ、自然の猛威の前に人間はなす術がないのでしょうか。

しーもす:なんだい、妙にシリアスじゃない。 
小  猫:実は台風のせいで、僕の最愛の… 
しーもす:えっ、なんかまずい話題振っちゃったかなあ。 
小  猫:最愛のタコちゃん風船が飛ばされちゃって… 
しーもす:それが自然の猛威かよ!さておき、科学が進歩しても台風は防げない
     ね。 
小  猫:いや、そうとも言い切れませんよ。 
しーもす:ほう、何か妙案でもあるのかい? 
小  猫:台風も、小さいうちなら何とかできると思うんですよ。 
しーもす:てことは、台風が生まれる南の海に何か仕掛けでもするのかい? 
小  猫:台風が生まれるのは、そんな場所じゃありませんよ。 
しーもす:じゃあどこなのさ。 
小  猫:いい質問だ。 
しーもす:ほかに質問のしようがあるかい! 
小  猫:台風は実はオホーツク海からベーリング海のあたりで生まれるので
     す。 
しーもす:ちょっと待った、そんな北の方で台風が生まれるわけないだろ。 
小  猫:親台風は長い旅路の果てに、北の海で卵を産み落とします。 
しーもす:ますます怪しくなってきたな。 
小  猫:卵からかえった子台風は、成長しながら南の海に向かい…
しーもす:泳ぐのかい、台風って。 
小  猫:数多の困難や外敵を乗り越えたものだけが、生まれ故郷を目指すんで
     す。 
しーもす:そうだったのか…それでどうやって台風を防ぐって? 
小  猫:子台風の通り道に待ち伏せをして一網打尽に。 
しーもす:なんだか可哀相になってきたなあ。 


2.更新情報のお知らせ ―――――――――――――――――――――――――


■週刊WEBマガジンSAKANAFISH
http://www.sakanafish.com/

夏の間にTシャツの予約受付中です。しかし夏は9月15日までです。
なぜそのようなことになったかといえばそういうものだからです。
すなわち明日予約締め切りです。キャー。


今週の特集は。
「続々々々々々々々々・智恵子(小)」
HTMLファイル名の長さの限界に挑戦します。
さらにいえば風鈴まんが果糖水的生活179やふたご対談などあります。


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嘘関係のサイトの更新情報等、何か告知がありましたら
こちらの更新情報で紹介いたします。
紹介したい方はこちらまでご連絡ください。
q_usoya@yahoo.co.jp
まで。



3. 何が悲しうて英国在住日記 その12。――――――――――――――――――――

こないだBBCのニュースを背中で聞きつつキッチンに立っていたら、「ところで皆さ
ん、今度ライブ・エイドのDVDが発売されるよ」という声が聞こえたので、わたしは
思わずネギと包丁を握りしめたまま走って行ってTVの前に正座しました。そこには
1985年の夏のロンドンの青空と、ステージの上の音楽と、若々しいボブ・ゲルドフ
と、そしてものすごい数の観客で埋めつくされたぎゅうぎゅうのウェンブリースタ
ジアムが映っていました。

20年前の当時、地球の裏の夜の半球で、ライブ・エイドを生中継で同時に眺めていた
わたしは思ったものです。

「あんなに人がいていいのか。前の方なんてあぶないじゃないか。いやイギリスの
ことだから、何か危険防止のしかけがあるに違いない」。

で、
色々あってこの国に流れてきてわかったこと。

「防止のしかけなど、ない」。

たとえウェンブリー規模だろうがなんだろうが、スタンディングの場合は、ただ人
間がひたすら詰めこまれるだけです。前の方にいると当然大変なことになるのです
が、それで大変なことになったところで「そういう目にあうということを承知で前
の方にいるあんたがいかん」と言われて終わりです。それがいやだったら後ろの方
とか2階で見ろ、というわけです。

それはたいへん正しい。正論だ。正論ですが、「はいそうですか」と素直に後ろに
引き下がるわけにもいかない場合もファンにはあるのもまた事実であって。

それはある夏、グラストンベリー・フェスティバルに行ったときのことです。これ
は、田舎町グラストンベリー郊外の広大な牧場に機材を山ほど持ちこんで、巨大な
ステージをいくつか設置したものです。それぞれのステージに、昼過ぎくらいから
次々に若手・中堅・ベテランバンドが出てきて演奏するのを、野原のまんまの観客
席で、好きなように立ったり座ったり踊ったりして見てまわれるようになっていま
す。たくさんある夏のロック野外フェスの中でも大規模なもののひとつであり、確
かその年は10万枚以上チケットが売れていたはずです。

わたしはその最終日、一番大きなメインステージの正面に朝から貼りついていまし
た。理由はひとつ、わたしがファンをやっているその日のトリの人を、できるだけ
よい位置で見たかったからです。ステージの前約5mのところに、ステージと平行に
頑丈な鉄の柵が設けられていて、最前列の人たちはそこにしがみつく形になるわけ
です。ちなみにトリは、午後8時からの予定でした。

午後の間ひとびとはわりと平和で、あるバンドが現われるとそのファンが前に出て
きて歌って踊って、かれらが終わるとぱちぱち拍手して後ろにさがって一休み、す
ると次のバンドのファンがそろそろ出てきて準備にかかる、という感じでした。

そのような中で何故朝から張っていたかというと、その目当ての人のファンが超コ
アな人たちばかりであることを、経験上いやというほど知っていたからです。だか
ら午前中に出かけていったのですが、しかしまだ始まる前のがらんとした観客席の
前方では、もうすでに人が柵にスズナリで、よく見たら全員その人のファンで(わ
れわれの多くは顔見知りです)、CDや雑誌の交換なんかをしていたりして、要する
にコアの人たちの考えることはわたしも含めて皆同じなんであります。

夕方あたりから、背後に観客が詰まり始めました。そしてハッピー・マンデイズとい
う乱暴なバンドが出てきたら、かれらは暴れ始めました。上下に暴れているぶんに
はいいのですが、前方に出てこられるときついのです。また、興奮して隣りの人に
しがみつき、あきたらずにその人によじのぼり、人々の頭上に水平になってじたば
た暴れて泳いでいく兄ちゃんがときどきいて、これは下の人たちにとってとてもあ
ぶないのです。

だから人間海スイマーが出ると、ステージと柵との間にたくさんいるごつい警備の
おっさんたちがわっと寄ってきて、地引網を引くがごとくその兄ちゃんを一番前ま
で引き寄せて引きずり下ろし、まだ興奮してげらげら笑っている兄ちゃんにさりげ
なくケリを入れながら、どこかへずるずる引きずって行きます。その姿が見えなく
なっても、兄ちゃんの「うへへへひゃほーい」という声はかなり長い間聞こえてい
ます。

トリの午後8時が近くなると、背後の観客は膨れ上がり、すさまじい数の人の海とな
り、もはや身動きできなくなってわれわれは柵に押しつけられていました。そして
いざ始まり音楽が鳴り始めた瞬間、おそらく背後のお酒おクスリその他でビシビシ
に決めて「これがフェスティバル最後のひと騒ぎだ」と手ぐすね引いて待っていた
のであろう人々は全員「わっ」と色めきたち、その酔っ払った10万人の圧力が、予
想しない瞬間に一気に前に押しよせてきました。

10万の人とあくまでも頑丈でびくともしないすばらしく非情な鉄の柵にはさまれ
て、わたしの肺からは空気がぎゅうぎゅう搾り出され、目の前に火花が散り、次に
まっ白になり、変な形で斜めにかしいで固まったままの身体のどこかで骨がぎりぎ
りときしむ音が聞こえ、しかし顔はまったく違う方向を向いたまま、そして肺は空
気をふたたび吸いこむことがまったくできず、やがて大音量の音楽と人々の大歓声
とが夢のようにだんだん遠のいて行き、そのときわたしは心底、「あ、これ、死ぬ
な」と思いました。

そのときかすかに視界に入りました。近くの女の子がどうやら立ったまま気絶した
らしく、警備のおっさんたちが集まってきて3人がかりで女の子の肩と脇とをわしづ
かみにつかみ、さながら畑から大根を抜くがごとくずるっと柵ごしに引き抜いて、
これは大切にどこかに運んで消えていくのを。

それを見たわたしは思わず、

「今ここで死んだらおっさんに引き抜かれて続きが見られん!!」

と叫びにならない叫びをあげ、
両手で柵のヘリをつかんで全力で体を引きあげ、後ろに押し返し、柵と自分との間
にスキマをつくることに成功して、空気をはあはあむさぼり食いました。ステージ
は2時間近く続き、その間わたしはステキな音楽を幸せに至近距離の大音響で聞きな
がら、しかし同時に生死をかけて戦っていました。このグラストンベリーは名ライ
ブのひとつとしてのちのちまでコアファンの中で語りつがれるものになりました
が、しかしそれはおそらくそこにいたコアな人たちが、皆文字通り命ぎりぎりの法
悦の境地、天国の入口に立つ気分で見ていたからだ、という理由もあると思われま
す。

舞台が終わりようやく人の波が引き始めたとき、わたしは強烈な苦痛と快楽と死の
恐怖と生の喜びを異常な環境で一度に味わわされた結果、浜にうち上げられたクラ
ゲのような気分で、柵にわが身をひっかけて呆然としていました。するとある警備
のおっさんが、

「あんた朝からそこにいたよな。いったいなんでまた、そんなヨレヨレになってま
でそんなとこにいたんだ」

と話しかけてきました。
実はこのトリの人を見たくて必死だったんだよ、と言うと

「そりゃ大変だったなあ。じゃ、よし、オレこれから裏に回るんだけど、裏でその
人に会ったらそういう日本人がいたと伝えておいてやるよ」

ああ、これがロックだ。なんというか、実にロックなんだなあ。こういうことがあ
るからこそ、こっちのライブは危険防止のしかけなんかされずに放っておかれるの
ではないかと、わたしはひそかににらんでいます。

執筆担当:まき・とうこ
【The Total Frontal John Cleese】
http://www.btinternet.com/~akko.o/tfjc/


4. しーもす君と小猫さん――――――――――――――――――――――――――

小  猫:ところで、台風の進路予想を信じますか? 
しーもす:予報技術は進んでるからねえ、大体合ってるんじゃないの。 
小  猫:ところが関東地方に来る台風については、必ずしも正確じゃないんで
     すよ。 
しーもす:へえ、そうなの。 
小  猫:予報円の中心が東京から少しでも南北にずれているとしましょう。
しーもす:ふむふむ。
小  猫:すると実際は、その方角に数十キロから百キロ以上もずれるんです。
しーもす:そりゃまたひどいね、どうしてだい? 
小  猫:来ると言って来なけりゃ笑って済むけど、来ないと言って来た場合は… 
しーもす:どうなるの? 
小  猫:担当予報官は市中引き回しの上打ち首獄門、その上司はお家断絶に。
しーもす:うーむ、中央集権の弊害がこんなところにも…
小  猫:お上直々の不興を買うわけですからねえ、それはそれは大変です。
しーもす:だけどまあ、予報円の範囲に収まってればいいんだろ。 
小  猫:予報官たるもの予報円に甘えず、ドカンと一発、一点勝負じゃな
     きゃ。 
しーもす:ドカンと一発で打ち首獄門じゃたまらない。 
小  猫:気象庁の中庭には、そうして出来た首塚が。 
しーもす:ひいぃ…でも、レーダーや気象衛星のおかげで分かりやすくなったよ
     ね。 
小  猫:台風だって馬鹿じゃない、レーダーをかいくぐるステルス台風なんて
     のも。 
しーもす:まさか。 
小  猫:台風は自分の親台風を超えるべく日夜精進しているのです。 
しーもす:親を超えると言えば、室伏広治選手。 
小  猫:誰でしたっけ、それ? 
しーもす:もう忘れたのかいっ!ほらハンマー投げの… 
小  猫:「イ〜チジョウ、ニッポンジュウドウ、ヨワ〜イ」ってやつでしたっ
     け? 
しーもす:「ライナー投げだ!」……って違う!ほら、繰り上がり金メダルの…
小  猫:えっ、あれは長嶋一茂じゃないんですか。 
しーもす:首の太さだけで決めつけてないか?だいいち一茂が父親を超えたか
     よ。 
小  猫:ふぅん、じゃあ室伏の父親って? 
しーもす:あのアジアの鉄人と呼ばれた… 
小  猫:衣笠祥雄! 
しーもす:頭部の状態だけで決めつけるなってば。



執筆担当:不滅の放蕩
【不滅の放蕩】
http://www.infostage.net/~fumetsu/

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