―――QuickUSOYA2004.10.5――――――――――――――――――

今週の内容........
1.「しーもす君と小猫さん」(担当:佐々木バレット)
2. 更新情報(週刊WEBマガジンSAKANAFISH)
3. 現代厨房文学館 by 古賀
4.「しーもす君と小猫さん」


1. しーもす君と小猫さん――――――――――――――――――――――――――

SE:ノックの音

小 猫 :どうぞおはいりください
しーもす:失礼します
小 猫 :どうぞ、おかけになってください
しーもす:はい、失礼します
小 猫 :それでは、これより当社、株式会社ワンニャン・ムームーカンパニーの2004
          年度秋採用の二次面接をはじめさせていただきます。よろしくおねがいいた
          します
しーもす:よろしくおねがいします
小 猫 :まずはじめに、お名前と出身校、出身学部を確認させてください
しーもす:はい。私はしーもす太郎と申します。出身は私立A大学、学部は経済・経営
          学部です
小 猫 :当社に興味をもたれたきっかけはなんでしょうか?
しーもす:はい、御社を志望した理由は御社の事業に、現在のコンピュータ全盛の社会
          にはない、人間的な「温かみ」を感じたからです。御社のはじめられた「死
          神」という事業……ユーザーが満足の中で安らかに逝ける「幸福な死」をプ
          ロデュースするという事業は、人間的な価値が軽視されているこの時代に、
          経済利益の追求だけではない「心の豊かさ」を社会に提供する、文化的でク
          リエイティブな事業だと思っています
小 猫 :履歴書でしーもすさんは、「即戦力の自信がある」と書かれていますが、何
          か、経験がおありなのでしょうか?
しーもす:はい、実は私は自爆装置の販売のアルバイトをしたことがあります
小 猫 :ほお。そのお店ではどのような業務をされていましたか?
しーもす:カウンターです。ですから、もっともお客さまと接することになるポジショ
          ンです。実は、このアルバイトをするまで私は「死神」という仕事に否定的
          だったのですが、ここぞというときにいつでも自爆して果てて、漢を上げる、
          壮絶な死を提供してきた経験から、私は「死神とはただ人死につけこんだ金
          儲けなのではなく、人間的な誇りある仕事だ」と思うようになりました。
小 猫 :具体的には、どのような経験からそう思うようになられましたか?
しーもす:カード破産した二十代の男性に、「松本零士」という自爆装置を販売したと
          き、来店当初はあまり乗り気ではいらっしゃらなかったのですが、「首吊り
          よりも自爆」という私の言葉―――私の殺し文句です(笑)―――などもあ
          って、店から出ていかれるときには、すっきりした表情で出て行かれました。
          その時ですね。


2.更新情報のお知らせ ――――――――――――――――――――――――


■週刊WEBマガジンSAKANAFISH
http://www.sakanafish.com/

更新はしてますがTシャツ発注者の方々しばしお待ちください。

今週の特集は「襟裳川ミステリ文庫・これはシャーロック・ホームズのパロディではあ
りませんシリーズ」
いつからやっているのでしょう。
そして今月から毎日変化魚魚大事典を設置。毎日毎日。
そのほかにもプリンまんが果糖水的生活180やふたご対談などあります。


――――――――――――――――――――
嘘関係のサイトの更新情報等、何か告知がありましたら
こちらの更新情報で紹介いたします。
紹介したい方はこちらまでご連絡ください。
q_usoya@yahoo.co.jp
まで。



3. 現代厨房文学館――――――――――――――――――――――――――――――

  
1. 「今週の伝染るんです」――――――――――――――――――――――――――

「お、大喜利の答を書いている」
「本当だ」
「きっときだて、古賀、梅千代が交代でお題を出す笛育市大喜利に面白い答を
書くのが大好きの人なんだよ…」
「大喜利の答を書くのがどれほどに好きなのか…」
「きっと家族を犠牲にしてもかまわないほど好きだと思うよ」
「いいや、手足の2、3本失ってもいいくらい好きだと思うよ」
「………………………………そんなには好きじゃない」

http://homepage3.nifty.com/fueiku/ohgiri/index.html

二ツ目にすらなれないかわうそに大喜利などッ!!と言わずふるってご参加を。


2. 「現代厨房文学館」 (その23)――――――――――――――――――――――

二十世紀の末か、二十一世紀の始にあった話であろう。どちらにしても時代は
さして、この話に大事な役を勤めていない。――その頃、巨大掲示板のスレッド
に出没する名無しさんの中に、51と呼ばれる男がいた。
これも、51と番号で書かずに、何の誰と、ちゃんと姓名を明らかにしたいの
であるが、生憎過去ログにはそれが伝わっていない。恐らくは、実際、51を
ゲットする以外には何の能もない、平凡な男だったのだろう。
この男が、何時、どうして、巨大掲示板にあらわれるようになったのか、それは
誰も知っていない。余程以前から、同じようなAAに、同じような煽り文句で、
同じような役目を、飽きずに毎回繰り返している事だけは、確である。今では
誰が見ても、この男にDQNでない時があったとは思われない。その代り、生ま
れた時から、あの通り寒そうな発言と、形ばかりの罵倒とを、繰り返していたと
いう気がする。こう云う特徴を具えた男が、周囲から受ける待遇は、恐らく書く
までもないことであろう。
では、この名無しの主人公は、唯、軽蔑される為にのみ生れてきた人間で、別に
何の希望も持っていないかと云うと、そうでもない。51は五六年前から妹と
云う物に、異常な執着を持っている。当時はこれが、無上の萌えとして、上は
万乗の君の夜のオカズにさえ、上せられた。従って、吾51の如き人間の手には
、年に数度、同人誌同人ゲーム即売会の折にしか、はいらない。そこで妹に飽
きる程ハァハァして見たいと云う事が久しい前から、彼の唯一の欲望になっていた。
勿論、彼は、それを誰にも話したことがない。いや彼自身さえ、それが、彼の
一生を貫いている欲望だとは、明白に意識しなかった事であろう。が事実は、彼
がその為に生きていると云っても、差支えない程であった。
しかし、51が夢想していた、「妹に飽かむ」事は、存外容易に事実となって
現れた。その始終を書こうと云うのが、この話の目的なのである。

           ―――――――――――――――――

「何時になったら、妹に飽ける事かのう…」
「>51殿は、妹に飽かれたことがないそうな」
51の語が完るか完らないかの中に、誰かが、嘲笑った。レスの主は、その頃、
51と同じ板の同じスレッドに常駐していた1である。このエロ板の野人は、
生活の方法を二つしか心得ていない。一つはスレッドを立てることで、他の
一つはDQNを笑う事である。
「お気の毒な事じゃ。お望みならこの1がお飽かせ申そう」
始終叩かれている厨房は、たまに好意的なレスを貰っても容易に心を許さない。
51は、例の笑うのか、泣くのか、わからないような笑顔をして、1のレスと、
妹絵の壁紙とを、等分に見比べていた。
「おいやかな」
「……」
「どうじゃ」
「……」
「おいやなら、たってとは申すまい」
「いや……忝うござる」

           ―――――――――――――――――

1: 【殿の御意】切口三寸長さ五尺の妹のエロ画像希望【明朝まで】part51(876) 

           ―――――――――――――――――

51は、寝起きの眼をこすりながら、殆ど周章に近い驚愕に襲われて、茫然と、
掲示板を見つめた。前にあるのは妹のエロ画像をなみなみと海の如くたたえた
おそるべき数のスレッドである。その分量を見ただけで、吾51の同情すべき
妹萌えは、実に、この時もう、一半を滅却してしまったのである。
「>51殿は妹に飽かれた事が、ござらぬげな。どうぞ、存分にハァハァして下され」
「いや、もう十分でござる。……失礼ながら、十分でござる」


『妹粥』 芥川龍之介



執筆担当:古賀
【笛育市大喜利掲示板】
http://homepage3.nifty.com/fueiku/ohgiri/


4. しーもす君と小猫さん――――――――――――――――――――――――――

小 猫 :当社では手段ばかりではなく、そのシチュエーション、人間関係、ドラマチ
          ックな筋書きなど、より高度な死を総合的にプロデュースして提供していま
          す。しーもすさんがアルバイトをされていた会社はそうではなく、手段のみ
          の販売ですよね。
しーもす:確かに、御社の事業と比較すると、スケールが小さいことは否めないと思い
          ます。けれども、私は販売に際し、「松本零士」のほかにも「クレオパトラ」
          や「メロス」、「尾崎」、「ドロンボー」、「象」など、お客様のおかれた
          状況を的確に判断し、お客様のニーズに本当にあった商品をお勧めしてきま
          した。その経験が、御社の仕事の中で生かせると考えています
小 猫 :「ドロンボー」や「象」とは、どのような商品ですか?
しーもす:自爆とは少し異なりますが、「おしおきだべー!」「こーのすかぽんたーん
          ッ!」で楽しく逝けます
小 猫 :なるほど
しーもす:「象」はというと、いつの間にか群れをはなれ、人目につかない場所でひっ
          そりと
小 猫 :……変わった商品ですね
しーもす:ですよね。でも、うちのお店では人気商品だったんです。人間って、不思議
          ですよね(笑)
小 猫 :しーもすさんは、入社後どこの部署の配属を希望していますか
しーもす:はい、企画・営業職です。そこで管理職に必要な力をつけたいと考えていま
          す
小 猫 :当社は今、新規顧客の開拓に力を入れているため、しーもすさんにもその仕
          事にあたってもらうことになりますが、よろしいですか
しーもす:はい。私は昔から、厳しい現場で自分の力を試したいと考えていました。で
          すから、世間でいまだ自分の死を漠然と捕らえている人々に、いずれ訪れる
          死と恐怖に備えることがいかに重要かを伝えられる営業職は、よい死神にな
          る鍛錬として十分頑張れます
小 猫 :当社に、何か質問はございますか?
しーもす:そうですね……(しばし首をひねった後)……営業業務についてお聞きした
          いのですが、具体的に主にどのようなところに赴くのでしょうか
小 猫 :主に、老人ホームや病院、刑務所、ハローワーク。あとは、人気のない景勝
          地などでしょうか
しーもす:御社にとって、ライバル企業はどことお考えでしょうか
小 猫 :保険会社と医者と沖縄料理店ですね
しーもす:よくわかりました。ありがとうございます
小 猫 :他に何か質問はございますか? なければこれで面接は終了です。結果につ
          いては合否にかかわらず、一週間後にお電話で連絡いたします。本日はお疲
          れ様でした
しーもす:どうもありがとうございました




執筆担当:佐々木バレット

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