──QuickUSOYA 2006.1.31──────────────────


今週の内容........
1.「しーもす君と小猫さん (前編) マジンガーQ」(担当:古賀)
2. 更新情報(笛育シネマシアター・笛育妖怪館/週刊魚魚) 
3.「しーもす君と小猫さん」
4.「しーもす君と小猫さん (後編) マジンガーQ」

1. しーもす君と小猫さん (前編) マジンガーQ ―――――――――――――――

「小猫!お前は福にも鬼にもなれる!そう、福にも鬼にも!」
「何ですかしーもすお爺さん、やぶからぼうに」
「やぶからぼうではない。わしは今自宅の地下にひそかに作っていた研究室で鉄骨
の下敷きになりこの世にお別れを言いかけておるところなのじゃ」
「ええっ、読者が話の流れにまだついてきてないうちにいつのまにそんな緊迫
した事態に?」
「わしが死んだら、おまえはこの世に天涯孤独。たよるものは何もない」
「そうでもないですが。家には死んだ父の愛人とか死んだ母の愛人とか死んだ弟の愛人
とか死んだ伯父の愛人とか死んだ従兄弟の愛人とか死んだ血のつながっていない妹の愛
人とか死んだポチの愛人とかそんなのがより集まって一大擬似家族を築いてますんで」
「しかし心配することはない。わしの発明したこれさえあればこの世におそれるもの
はなに一つない」
「って自分に不都合な返事は鮮やかにスルーかよ」
「これがこの機械の怪物マメ…」
「マメ?」
「ジン」
「ジン?」
「…ガーZじゃ」
「…ガーZ。って何で区切り区切りいうんですか」
「いや、一気にいうと気恥ずかしいネーミングだし」
「だったらつけるなよ」
「しかたがない。それでは中間をとってマジンガーQにしよう」
「って何の中間だ」
「これこそわしが40年かけて作りあげた世界初の節分豆まき専用巨大ロボットなの
じゃ。小猫、これを手に入れることによりお前は福にも鬼にもなれる!そう、福にも
鬼にも!」
「……じゃ、まあそういうことで。僕は今から学校に行きますんで。葬式の準備は
帰ってからやりますから。あとはよろしく」
「逃げるなよ。人の人生40年分の結晶から」
「いや、もう勘弁してください。父方の祖父も死ぬ間際に『くれぐれも巨大ロボット
だけは遺産にもらうな』と言い残してますんで」
「そんな馬鹿なことを言い残すやつがいるか。それにお前の父方の祖父はこのわし
じゃ」
「……ちょっとこの紙切れの文字を音読してみてください」
「なになに…くれぐれもきょだいろぼっとだけはいさんにもらうな そふ かぶと
しーもす」
「というわけで父方の祖父も言い残してますんで」
「無理矢理事実を捏造するな!」
以下 後編


2.発売情報と更新情報のお知らせ ───────────────────────


■笛育シネマシアター
http://fueiku.cocolog-nifty.com/fueikumovie/
『サロメ』

■笛育妖怪館
http://fueiku.cocolog-nifty.com/monster/
『逃町(にげまち)』
『石兎(いしうさぎ)』
etc



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■週刊魚魚
http://www.sakanafish.com
あけましておめでとう!周りの冷たい目に負けず
言い続けるのも大切です。

素敵まんがは「雪まんが果糖水的生活213」そしてふたご対談と
いった内容ですって。

当選確率10万分の1!
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嘘関係のサイトの更新情報等、何か告知がありましたら
こちらの更新情報で紹介いたします。
紹介したい方はこちらまでご連絡ください。
q_usoya@yahoo.co.jp
まで。

3. 何が悲しうて英国在住日記 そのにじゅうに。―――――――――――――――




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若干間が開いてしまったので前回までのあらすじ
それまでの生涯においてどちらかというと都会にしか住まったことのなかった軟弱なポ
ンニチ婦女子は、国中が北海道のような国のさらに僻地に放り出され、非常に使えない
バスに依存する日々に陥った。しかしある日、永遠に来ないバスを菩提樹の木の下で待
ち続けていたとき、女ポンニチは突如さとりを開いた。
**********************

つまり、この国のイナカバスとわたしとは、根本的に人生観を異にするのです。裏切ら
れてはまたかぼそい信頼をつないで待っている約束を違え踏みにじりつづけて、待ち人
をボロボロにした挙句、ふらりと現れては「ほら来てやったぜ。乗れよ。乗りたいんだ
ろうオラ。乗りたくてたまらないんだろこれなしでは生きられないんだろうへへへへへ」
と言うバスに、「そのとおりですありがとうございますおバス様ああ嬉しいなあ、バス
に乗れるなんて幸せだなあ」と屈辱に歯を食いしばりながら従う、という生活にわたし
はつかれたのです。

ここでわたしの日本製の運転免許証が登場します。
それまでのわたしにとっては免許証とは

「高い金払わされ路上では恐怖を味わわされ口の臭い教官にバカとか呼ばわれ、一応保
険証以外の身分証明が取得できたのはいいんだがそれ以外には用途もなく、代償があま
りにも大きくてなんだか納得のいかないもの」

だったのですが、
そういえばこれがあれば車が運転できるのだ、とそこで初めて気がつきました。いや軟
弱な話ですが。

日本製免許を英国のものに書き換えるために、在ロンドン日本大使館と英国運転免許証
交付局 (DVLA)との間を何枚もの書類およびわたし本人が数往復し、若干の手数料が
あちこちに支払われました。その詳細は省略しますが、英国的に非常にゆるやかなお役
所仕事にじりじりと、かなり長い時間を待たされた間、わたしの手元には真新しくピン
ク色にきらめく一枚の免許証がぽんと送られてきました。
そのときわたしはダンス・ウィズ・ウォルヴズ的に、コブシを握って立つ女になり、荒
野にきらめく免許証をふりかざしながら「わははははははやったこれでバスとはおさら
ばなのだ」と笑ったものです。

しかし笑うのはまだぜんぜん早かった、と気づくまでそう長い時間はかかりませんでし
た。
なにしろ10年以上ペーパードライバーだった軟弱な婦女子です。
そしてふと見渡すと、
伝統に妙に固執したがるこの国の人びとは、この21世紀に、かたくななまでにマニュア
ル車を運転している。
ぴかぴかの新車だってみんなマニュアルである。
オートマはないことはないが車種も数も少なく、ゆえに中古でもマニュアルより数百ポ
ンド単位で高額である。
ナビ文化もまたこの国には普及していない。
それはうっかりナビなんか乗っけていると、即座にウィンドウ叩き割られて抜きさられ
てしまうから、というワイルドな社会であるという理由のほかにも、やはり、なんか人
々が変にかたくななのだ。
それから走っている車が全体的に古い。
なんかこう、80年代の太いマユゲと肩パッドというか、「ウォール街」のマイケル・ダ
グラスが握りしめている携帯というか、内装打ちっぱなしのバーというか、そういう時
代を彷彿させるデザインの車たちが、いまだ現役でそこらをぶいぶい走りまわっている。
確かに右ハンドル左側通行であり、その道路にはニッサンマイクラ(マーチはこう呼ば
れている)や、トヨタヤリス(ヴィッツである)や、ホンダシビック(そのまま)は山
のように走っているけれども、ここの車社会は違う社会なのである。
と、
異国の車社会のハシクレにつらなったとき、わたしはこの先進国なんだかそうじゃない
んだかよくわからないような事実に直面し、思わずうろたえました。

ええい、とりあえず車を買おうそうしないと先に進まぬ、とわたしは気を取り直し、く
るま好きを名乗る男子に事情を話し、どうしたらいいだろうかと相談しました。
すると男子いわく。

「あんた何に乗りたいんだ」

なので正直に、

「何に乗りたいか、という希望を訊ねられた場合、答えとしては『アストン・マーチン』
なのですが。8000回程度のローンを組めばなんとかなるんじゃないかと思います」

男子しばし沈黙後、

「いやあそれにしても日本の車はいいよね、日本車人気あるよね、いい車つくるよねな
にしろ日本車はいいよねあはははははは」

なんとなく話をそらされているのを感じましたが、男子は続けて

「でもさ、あんたせっかくだから、日本車じゃないもんにしたらいいよ。せっかくここ
にいるんだから外国の車の感触も味わってみるべきだよ」。

それもそうだまったくだ、外国暮らしなのだから外車だよガイシャにしようふっふっふ、
と賛同し、わたしはその男子のアドバイスに従い10年ものの安フィアットを買った、
のですが。

このフィアットは実は見かけはラブリーなんだけれども、実はイタリア的におそるべき
気楽ないいかげんグルマであり、乗り手はバス時代よりもボコボコにヒドイ目にあわさ
れたということと、
このイタリア車に辛酸をなめさせられているある日、ふと気がつくとその男子がトヨタ
カローラに乗っていたので、あんた言ってることとやってることが違うじゃん、と言い
立てると

「いやあれは一般的見解を述べたまでであって、ぼく個人は日本車を支持するのだ」

とかわされ、
わたしの英国くるま社会生活はどうも快調なすべりだしだとはとても言えなかったとい
うことは、
また次回にゆずります。

けっこう車バナシがつづく。



執筆担当:まき・とうこ
【The Total Frontal John Cleese】
http://www.btinternet.com/~akko.o/tfjc/



4. しーもす君と小猫さん (後編) マジンガーQ ―――――――――――――――


「おじいちゃん、例のやつが大きく新聞に出てますよ。『しーもす教授の巨大ロボット
発明に捏造疑惑』」
「捏造とは失礼な。見よ、わしが長年苦心して作りあげたこの超合金製のボディ。ミサ
イルでもレーザーでも傷一つつかない」
「雨が降ったら破れましたが」
「たまたま雨には弱い。それに1度エネルギーを補給しただけで100年動き続けるこ
とが可能な活動力」
「三歩歩いたら止まってしまいましたが」
「たまたま三歩歩いたところでちょうど百年目。それに装備された数々の超兵器。まず
光子力ビーム。目から強力な光線が」
「家の便所の裸電球より暗いですが」
「たまたま並列つなぎだからだ。直列つなぎにすればもっと明るくなる。そして手が
自由に空を飛び回るロケットパンチ」
「発射したとたん下に落ちましたが」
「たまたま地球の重力が強すぎるから。無重力だったらちゃんとうまく飛ぶ。超高熱を
放射するブレストファイヤー」
「サンマも焼けませんが」
「サンマは新鮮な肝を刺身にした方がずっと美味い。どうじゃ、この高性能の巨大ロボ
ットの一体どこらへんが捏造だというのじゃ」
「捏造以外の何ものでもないです。それに巨大ロボット、巨大ロボットって、このロボ
ット身長50センチしかありませんよ。どこが巨大なんです」
「蟻から見たら十分巨大」
「それに節分豆まき専用ロボットって言ってましたけど、豆まき機能なんかありまし
たっけ?」
「たまたまつけ忘れたが問題はない。オプションとして別売の豆まきハンドをつければ
いい」
「そんなの作ってないでしょう」
「心配ない、今から40年かけて作るから。今年の節分には十分間に合う」
「どんな計算だ。それに考えたらお爺さんは前編で鉄骨の下敷きになって死にかけて
いたんじゃなんですか」
「日頃の行いがいいから奇跡的に一命をとりとめた。それに鉄骨が思ったより軽かった
し」
「軽かったってどのくらいですか?」
「100グラム。右足の小指にちょっと当たって死ぬかと思った」
「捏造にもほどがある」





執筆担当:古賀
【笛育市更新日記】
http://d.hatena.ne.jp/DOCUMENT/
【笛育妖怪館】
http://fueiku.cocolog-nifty.com/monster/
【笛育市大喜利掲示板】
http://homepage3.nifty.com/fueiku/ohgiri/
【笛育シネマシアター】
http://fueiku.cocolog-nifty.com/fueikumovie/
【笛育ライブラリー】
http://fueiku.cocolog-nifty.com/book/
【笛育演芸場】
http://fueiku.cocolog-nifty.com/engei/
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