――QuickUSOYA 2006.9.5――――――――――――――――――


今週の内容........
1.「しーもす君と小猫さん」(担当:不滅の放蕩)
2. 更新情報(週刊魚魚)
3.
4.「しーもす君と小猫さん」

1. しーもす君と小猫さん――――――――――――――――――――――――――


しーもす:どうなるんでしょう?
小  猫:決まってるじゃない。
しーもす:まだ何も言っていませんが。
小  猫:どうせ冥王星の運命は、とかでしょ。
しーもす:まあそのとおりなんですけどね。
小  猫:矮惑星とかいう段階で地価は大幅に下がるでしょうね。
しーもす:土地売ってるわけ?
小  猫:20年程前から、地上げ屋も乗り込んでいたらしいですよ。
しーもす:素早いですね。
小  猫:商売に不可能はありません。
しーもす:どこの国のロケットで行ったんでしょう?
小  猫:一式陸攻を改造して飛んで行ったらしいです。
しーもす:ワン・ショット・ライターとして有名な旧日本軍の攻撃機ですね。
小  猫:山本五十六が乗っていて撃墜されたやつです。
しーもす:よくぞそんなもので冥王星まで。
小  猫:竹槍でB29を落とそうとする国に不可能はありません。
しーもす:そういえば、イスカンダルへ向かうヤマトは順番に惑星を通っていきまし
たね。
小  猫:軌道上の各惑星の位置を考えると、あり得ない気もしますね。
しーもす:実は二重惑星であるガミラスとイスカンダルは、冥王星だったという疑惑
が。
小  猫:そうだったんですか。
しーもす:大マゼラン星雲まで行ったことにして、出張旅費の水増し請求を。
小  猫:スケールが小さいですね。
しーもす:矮惑星にはふさわしい話です。


2.発売情報と更新情報のお知らせ ──────────────────────

■週刊魚魚
http://www.sakanafish.com/


今週の特集は「襟裳川ミステリ文庫・これはシャーロック・ホームズのパロディでは
ありませんシリーズ」。
ご注文まんが果糖水的生活232やふたご対談もひかえています。
四角を転がすすごろくゲームもあります。ころがしましょう。


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嘘関係のサイトの更新情報等、何か告知がありましたら
こちらの更新情報で紹介いたします。
紹介したい方はこちらまでご連絡ください。
q_usoya@yahoo.co.jp
まで。


3. 何が悲しうて英国在住日記 そのにじゅうなな。――――――――――――――


ずっとメリー・ポピンズが不思議でした。例の、風にのって桜通りのバンクス家にやっ
てくるあの家庭教師です。
何が不思議だったかって、
「何故こんなコワイ人にコドモはなついてるんだ」
ということがです。

メリー・ポピンズはコワい。
初めて読んだとき幼少のわたしははっきりそう思いました。
どこからともなく現れて、雇用主であるバンクス夫人に「紹介状なんてない」だの「
休みは自分の取りたいように取る」とか自分の方から宣言し、バンクス家姉弟には「
わたしは命じているのであって公平にしようとしているのではない」と言い切り、反
論されたら「判断をするのはあなたですかそれともわたしですか?」と子供に詰め寄っ
ています。しかも、この人は子供相手に常にこういうキビシイ態度をとり続けていて、
ほとんど笑わないのがまたコワイのです。確か伯父さんの誕生日かなんかで、空中に
浮かぶためには笑わなければならないときにも、メアリー・ポピンズだけはなんとな
く例外で、にこりともしないでにいきなり宙に浮かんだりしていたはずです。

そりゃ具体的に児童虐待をしているわけでは決してなく、たとえば肝油を飲まされる
かと思ったらバニラ味のシロップだったりもするようですが、しかしそのシロップも
あくまでもキビシく子供に与えるという態度をつらぬいています。一応、空を飛べる
らしいとか、動物と話ができるらしいとか、夜空にハシゴかけてのぼれるらしいとか、
そういう子供的に気になるクォリティをも持ち合わせているのですが、なにしろ表情
や言動から何を考えているのかということが読めないのですメアリー・ポピンズさん
は。妙に子供心を不安にさせる存在です。

それからもうひとつどうしてもわからなかったことがあります。
彼女がバンクス家にやって来たとき手にさげていて、そして子供たちの前でものを無
限に出してみせるあれが、「じゅうたん製のかばん」とあることです。
「じゅうたん」の「かばん」ってナンダロウ、いやそのひとつひとつは知っているけ
ど、それを並べられるとイメージがつかめなくなり小学生はものすごくこまりました。
解決を見出すべく、家の洋間に敷かれているじゅうたんをめくってみて、これすごい
厚いけどこれでかばんを作れるんだろうか、とハサミを手にして真剣に考え、そして
親にどつかれたものです。

それから長い年月が経ち、子供はそんなことをあまり考えない大人になりました。そ
してなんかの拍子で英国に流れてきて、学生をやっていました。

その学校の先生のなかにひとり、飛びぬけて上品な英語を話す人がいました。その人
は40代なかばで外見もものごしもおだやかな男性で、なんでもハーロウのパブリック
・スクールを出たという話でした。しかし、政経界で権力を模索するよりは好きな音
楽でも聴きながら若い学生連中にものを教えている方が楽しいってんでここにやって
きた、という上品でおだやかながらファンキーでもある、というちょっとした変り種
でした。いやファンキーどころか、若いころはばりばりのレイバー(労働党員ではな
く、レイブをやる人)だったそうですが、そういうサブ・カルチャーの話を楽しそう
にしていてもその言葉は階級的に上の方の発音で、これはかなり珍しい種の英人さん
でした。

ある日講義室でその先生を待っていました。
5分ほど遅れて「いやこれは待たせてしまって失礼」とつぶやきつつ入ってきたその
先生の手に握られていたのは、
ひと目見て理解しました。それはまさに「じゅうたん製のかばん」でした。その視覚
にうつるものをキーワードに幼いころに悩まされたあの疑問が四半世紀を越えて脳に
よみがえり、そしてイメージできず手をつかねて脳の中にごろんと転がっていた言葉
と実体とがいきなり火花を放って結びつき、それはまるでウォーターを理解したヘレ
ン・ケラーもさながら、あああのじゅうたんとハサミを手にして悩んでいたあの家の
洋間、おーい当時の幼児の自分見えているか、あれこそがアレだ、きみが知りたくて
もどうしても知ることができなかったアレだ、そのアレが、今、こんな遠いとこで大
人になって予期せずいきなりわかったぞー!

と感動、講義などそっちのけで耳に入らず、終了と同時に飛んで行き、「すすすすみ
ません先生そそそれはいわゆるひとつのじゅうたん製のかばんではないですかメリー
・ポピンズが持っていた」とたずねました。

すると先生は突然わははと笑い出しました。「いやすまない、実は毎年この鞄を初め
て持ってくるたびに、必ず留学生に訊かれるんだよその質問。今年はどうなるかなと
思ってたら君だったかあはははは。いやごめんごめん悪気はない、で、そう、これが
じゅうたん製のかばんだよ。中は平凡、コート掛けが入ってたりはしないけど」

ついに実体となって目の前に現れたじゅうたん製のかばんは、じゅうたん製のかばん
でした。いや、そうとしか言いようがないものだったんです。地味な茶色に花柄が散っ
ていて、床に敷くじゅうたんよりはもう少し薄手でしたがその生地で作られていて、
形状としてはガマグチを大きくした感じです。メリー・ポピンズが挿絵で持っていた
ものとよく似ています。先生いわく、「ぼくの祖母のものだったけど、実際には祖母
もその母からもらったんだと思う。今ではもう誰も使っていないし、アンティークと
いう興味もあまり集まらないんじゃないかな、だからこれはただ単に古い鞄だよ。ぼ
くはこれを、丈夫だし面白いから使ってるだけで」。

面白がって使ってくれたおかげでさ迷える留学生がひとり救われました先生どうもあ
りがとう。ところで、メリー・ポピンズついでにひとつお訊きしていいですか。あの
う、メリー・ポピンズってこれこれこうですごくコワい人じゃないですか。いや、大
学の講義室でする質問じゃないかもしれませんがこれも幼いころからどうしてもよく
わからないこの国の文化で。

「そうだねえ、怖いというより厳しいんだよねメリー・ポピンズは。そしてそういう
のって、英国的に子供をしつける存在としてのひとつの理想なんだよね。厳しいよ。
でも優しいときもあるでしょう。子供もそういうふうにしつけられてると理解して、
厳しくしつけてくれてありがとう大好きメリー・ポピンズ、って感じかな」
「んなばかな。そんな都合のいい子供が存在するのでしょうか」
「だから理想だって。おとぎ話なんだって。大人と子供の関係がこうであればいいな
あ、とわれわれみんな夢のように思うわけよメリー・ポピンズ読んで。まあ、あとは
この国のピューリタン的精神とかエドワード時代に対する憧憬とかいろいろ解釈はで
きるだろうな、面白いな、きみどうだいひとつ研究して論文でも書いてみては」

結局研究はせずそのまま学校を終えてまたいくばくかの時間が過ぎました。しかしわ
たしは今でも、子供を見るとときどき − 特に若干アレな子供を目にしたとき −
たとえば「マキサンマキサンぼく走る見ててー」と叫んでどどどと突進してきて、まっ
たく減速することなくわたしのテーブルの足にごんと激突、あおむけにひっくり返っ
てびー!と泣くから、よしよしとなぐさめてやり、ところでこれからは危ないから走
るなよ、と言い聞かせて手を放したところ、まったく同じコースを、まったく同じス
ピードで、まったく同じようにどどどどと突進しまったく同じ足にごん!とぶつかり
同じあおむけでびー!と泣いたりしている5歳男子など − しかもこの5歳児はわ
たしの名前は「マキサン」だと認識しているようだ − この5歳児に「判断を下す
のはあなたですかわたしですか」と言えたりしないものか、そしたらかれが「ぼくの
ことを厳しくしつけてくれてありがとうマキサン大好き」と言ったりはしないものか、
そして「なるほどこのように夢のように考えるのだ」とおぼろげながら理解するので
す。



執筆担当:まき・とうこ
【The Total Frontal John Cleese】
http://www.btinternet.com/~akko.o/tfjc/


4. しーもす君と小猫さん ―――――――――――――――――――――――――

小  猫:それにしても、緊急の話題といえば宇宙移民でしょうか。
しーもす:そんなに切羽詰まってるんですか?
小  猫:ええ、太陽がいずれ巨大化して地球を飲み込んでしまいますから。
しーもす:何十億年も先の話では?
小  猫:いえいえ、宇宙の歴史の中では僅かな時間です。
しーもす:そうかなあ。
小  猫:問題なのは、人類の生存に適する星があるのかどうか。
しーもす:たとえあったとしても、先住生物がいるでしょうね。
小  猫:戦うべきでしょうかねえ。
しーもす:なるべく平和にいきたいものです。
小  猫:まずはお辞儀の仕方からですね。
しーもす:浅からず深からず。
小  猫:シチュエーションによって15度30度45度と使い分けるそうです。
しーもす:そして、この星に来た動機を、相手の目を見ながらはっきりと話す。
小  猫:決して奢った態度ではなく、しかし自分を卑下してもいけない。
しーもす:繰り返し同じことを言わない。
小  猫:やはり「この星が欲しいんだ」という気持ちを誠心誠意伝えることですね。
しーもす:理想的な態度で接したとしても、喜んで受け入れられるとも思いませんが。
小  猫:その時は戦うまでです。我々にはこれがあります。
しーもす:だから竹槍はやめましょうって。

執筆担当:不滅の放蕩
【不滅の放蕩】
http://www.infostage.net/~fumetsu/

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