エルピダの提案

全員サッカーのすすめ(2004/12/24 update)

2004年の全国大会は東京のFINEが優勝しました。FINEの皆さんおめでとうございます。
今回の優勝で特に印象に残ったのはFINEの戦い方・試合での選手起用方法です。関東ブロック予選会では3位のギリギリで全国大会の出場権を獲得。夏の関東大会でも準優勝でした。関東の大会では、全員サッカーでいつも接戦。全国大会でも全員サッカーで接戦を勝ちあがって見事に優勝を飾りました。改めて、電動車椅子サッカーという競技において、選手が試合に出場することの大切さを教えてくれたように思います。
FINE同様、全員サッカーを展開しているのが東京のレインボーソルジャーで、今回の全国大会では準決勝の延長戦で惜しくも敗退しましたが、素晴らしい試合を何試合も見せてくれました。

今回は全員サッカーについて書いてみたいと思います。

全国大会に出場しても試合に出られない選手が実際は結構多いです。旧型国産電動車椅子で性能が劣り、まだ初心者選手のケースを言っているのではありません。電動車椅子も高性能で、電動サッカーの技術もある選手です。なぜそうなるかと言えば、目先の勝負がかかっているからです。
そんな中、FINEとレインボーソルジャー2チームの登録選手は、全員が今回の全国大会の試合に出場しています。特にFINEではイマセンで入部1年未満の選手もシッカリと出場を果たしました。それは、多分選手が試合に出場することの大切さをチームが認識しているからだと思います。なかなか出来そうで出来ないことですから、素晴らしいと思います。

まず、全員出場のメリットについて。

◆チームスピリットの醸成 : 全員の気持ちが1つになれる。応援する家族や関係者も一丸になって参加できる。勝って皆で喜び、負けて皆で悔しがる。チームの中に活気があり、仲間意識が強くなります。

◆チーム力の向上 : 各選手が試合に出場しますので、練習にも気合が入り、試合で失敗したプレーなどの課題がありますので、具体的な個人目標とチーム目標を掲げて次の試合に臨めます。

◆試合出場の最大の価値

☆筋ジスなどの進行性の病気の選手にとっての試合出場
筋ジスは進行性の難病ですので、選手生命も残念ながら短いものになってしまいます。選手活動も進行していく病状との戦いでもあります。しかし、その病を抱えた中での電動車椅子サッカーとの出会いはまさに宝のようなものだと思います。電動車椅子サッカーでは自分の夢や希望を実現する舞台があり仲間がいます。その舞台で活き活きと活躍する選手を家族も最大限応援します。選手も自分の夢を目指して、そして家族の期待に答えようと命懸けで頑張ります。
病気の進行が進んできますと、ひとつの試合に出場するためにも多くの努力が本人・家族に必要になってきます。エルピダでもさまざまな工夫をして応えるようにしています。
そうした選手・家族に大きな希望と勇気を与えるのが、試合への出場です。
逆に期待していた試合に出場できないとき、選手生命を引退へ追い込みかねない精神的なダメージを受けてしまうことがあります。本人が諦めていなくても家族が支援をあきらめてしまうケースがあります。

今、電動車椅子サッカーと言う競技は、夢中になっている選手や家族にとっては、夢や希望を叶えるもっとも大切な舞台で、他には替えられない唯一無二の生きがいにまで昇華していると思います。

電動車椅子サッカーが筋ジスの病気にも良い影響を与えていることは、多くの電動車椅子サッカーの関係者がお分かりと思います。であるならば、FINEやレインボーソルジャーのように選手の試合出場を大切に考えるチームが、どんどん増えてほしいと願います。

では、全員サッカーの導入方法

◆大勝できる試合 : 中心選手だけで戦った場合 8対0 で勝てるとします。前半から積極的に全員サッカーを展開して、接戦に持ち込み最終的に1〜2点差で勝利できるように選手起用のマネジメントを行います。大切なポイントは中心選手と控えの選手を分けて戦わないことです。なるべく混ぜて、出来ればポジションも組み合わせを色々変えて実践を積むことがチーム力の向上につながります。そして勝った喜びを全員で分かち合えることが、応援するスタッフ家族を含めて最高の財産になってゆきます。

◆負ける試合 : 中心選手だけで戦った場合 1対3 で負けるとします。前半戦スタートは中心選手だけで戦います。0対2 とリードを許す。 やはり実力差があり、かないません。ここからは全員サッカーを展開します。その後4失点で 0対6 で敗戦です。
ここでのポイントは中心選手を起用して最強メンバーで、まず挑戦すること。そしてリードを許した(負けた)という結果を出すことが必要です。敗戦の責任は中心選手が背負い、悔しさは全員で分かち合うことが出来ます。

◆接戦の試合 : 
・全国大会のブロック地区予選で、全国大会の出場がかかった試合の場合 : 
この試合だけは中心選手だけで戦って勝ちに行きます。
前提条件:トーナメントの場合は既に1回戦2回戦などで全員が出場している。
ポイント:全国大会に出場が決まれば全員を全国大会に連れて行け、全国大会出場という大きな夢が実現します。
勝負の試合で、出場できない選手が出る場合は、試合前に全選手に説明することが必要です。前提としては、その大会で全員が試合に出場している状況が大切だと考えます。

・全国大会1回戦の場合 : 
大切なポイントは接戦でも、全員出場を果たすことです。勝ちたいのは分かりますが、負ければトーナメントですから出場機会は無くなってしまいます。全国大会で試合に出たことが一人一人の選手と家族の大切な財産になります。この財産はその選手にとって大切な宝になるからです。勝つ確率が低い状況になったら、選手に経験という宝を与えることを考えましょう。
中心選手だけで戦って、大敗ということであれば、とても残念すぎます。

上記の考え方で、全員サッカーを導入し展開して、中心選手の層を厚くすることが、強いチーム作りにつながります。
大切なポイントは多くの選手が試合に出場すること、そのことが選手のやる気・希望に火を点けるのです。その姿を見て応援するスタッフ家族にも喜びが広がり、更なる支援の体制ができます。
逆に、上手く行かない導入方法は、全員平等の全員サッカーです。この方法ですと、勝つための工夫、努力が無視されてしまいます。中心選手の努力が報われ、全員が納得できる試合結果が必要です。

勝利至上主義サッカーのデメリット

■レギュラー選手&家族&スタッフによる富の独占
富とは試合出場のメリットです。夢や希望の実現です。最高の夢の舞台を一部のメンバーで独占することになってしまいます。
それだけに止まらず、チーム内での主導権、発言権なども集中しますから、強者と弱者が生まれてしまいます。

全国大会が終わって、来年の全国大会に向けた新たな一年のスタートが始まります。チーム内の雰囲気はいかがでしょうか?これまで積み上げてきた一人一人の選手・家族・スタッフの精神的な財産が働くときです。

全員サッカーを行ってきたチームには、負けたとしても
「やる気」「向上心」「思いやり」「喜び」「協力」「やさしさ」「連帯感」などがあふれていますか?

中心選手だけで戦ったチームでは、勝ったとしても
中心選手に「傲慢」「差別心」「冷たさ」、控えの選手に「落胆」「悲しさ」「不完全燃焼」などの芽が、もしくは気まずい雰囲気が出ていませんか?

いくつかの選手の悲劇も見てきました。悲しいし、残念に思っています。結果的に見ても、チームは本当には強くなりませんので、誰も得をしません。

2005年度から新ルールが始まります。いままでは退場する選手が多く出やすいルールだったことで、選手の交代も促されていました。これからは、選手の交代が少なくなるかも?とちょっと心配しています。ですから、上記の全員サッカーを心に留めていただきたいと思っています。

ルール改正についての考察
高木カズさんのHP:サッカージャパンサカボラ日記をご覧ください。

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