インタビュー

電動車椅子について



Yokohama Crackersの野田拓郎さん

エルピダ:電動車椅子はいつ頃から乗るようになったんですか?

初めての電動車椅子

2台目の電動車椅子


野田さん:小学校4年からです。初めての電動車椅子はユニカム社(当時西平技研)の昇降型の電動車椅子です。当時はバリアフリーの環境が整っていなかったので、学校では使えなくて自宅で使っていました。

エルピダ:乗ってからの変化は?

野田さん:私の場合は、先天性の障害で最初から立つことも歩くこともできませんでしたから、それまで「自分で動く」という経験がありませんでした。電動車椅子に乗って初めて「自分の意志で思い通りに動ける」という「当たり前のすばらしさ」を味わいました。全く新しい自分の世界を手にしたような、大袈裟ですけれど、そんな感激がありましたね(笑)。最初は、操作技術が未熟なのに、とにかく乗って動いていることが楽しくて楽しくて、家の柱をどれだけ削ったことかわかりません(苦笑)。上下昇降できる利点も大きくて、座席をテーブルの高さに合わせて自分で物を取ることができたり、床に落ちた物を拾えたり、飼っていた犬と同じ目線で遊んだり、家族と一緒に同じ炬燵に入ったり、初めてできるようになったことがたくさんありました。そういえば、ダニー(犬の名前)のしっぽも数え切れないくらい踏んづけてましたね(笑)。電動車椅子を手にした最初の日の晩御飯のときに、自分でテレビの前まで行ってテレビを消して戻ってきたら、家族にとても感激されたのを憶えています。

野田お母さん:できれば幼稚園ぐらいから電動車椅子に乗せられればよかったと思います。(自分で動くことができるということは、本人は勿論ですが、むしろ)介助者にとって素晴らしいことだと思います。

エルピダ:外でも電動車椅子を使うようになったのは?

3台目の電動車椅子

タックユニカム社製
特注の昇降型電動車椅子

野田さん:大学に入ってからです。キャンパスが電動車椅子で動けるようなバリアフリーな環境なのかどうか、事前に下見もさせてもらっていました。外で使用することや小回りが効くことを考えて、極力コンパクトな設計にして、タックユニカム社製の特別注文の昇降型電動車椅子を作成してもらいました。これが3台目の電動車椅子です。合格が決まってからすべて大慌てで進めましたので、最後は徹夜までしていただいて、入学式の朝ギリギリに届けてもらって感動しました。教室や学生生活の場で電動車椅子を使えるようになったことは、特に人間関係の広がりの点で大きかったと思います。自分が話したい友だちの方に振り向いたり、側まで近寄ったりできますので。同時にリフト付きのワンボックスカーに電動車椅子ごと乗り込んで通学することが可能になり、買い物、映画、スポーツ観戦など、電動車椅子で外出する楽しみができました

エルピダ:電動車椅子サッカーとの出会いは?

野田さん:もともとスポーツ、特にサッカーが大好きでした。でも自分は「観る側」として楽しむしかない状態でした。そんな頃、お世話になっていた横浜市総合リハビリテーションセンターの隣に、障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」という大きな建物が建ったのを発見し、何気なく中に入って見学していました。電動車椅子でできるスポーツなんてないだろうなとスポーツ指導員の人に尋ねたところ、「ありますよぉ。やってみる?」とあっさり言われて紹介されたのが電動車椅子サッカーでした。自分にもできるサッカーがあったなんて、目からウロコもいいところ、そのまま電動車椅子サッカーの虜になってしまったんです(笑)。

エルピダ:電動車椅子サッカーを始めた頃は?

野田さん:入会したクラブのメンバーは、外国車が日本に入ってきた初期から乗り回していた「強者」揃いでしたので(笑)、大学入学のときに作った国産昇降型の電動車椅子ではパワーや俊敏性の点で相手になりませんでしたね。レギュラーなんて遠い話で。今考えれば、むしろ過酷な条件で酷使していた電動車椅子には無理をさせてかわいそうなことをしていたなと(笑)。

エルピダ:その後、インバーケア社のトルクに乗ったんですね?

野田さん:トルクに乗り換えるときは、ちょうど日本選手権の前で、間に合わせてもらうためにみなさんにご苦労をお掛けしました。トルクになってからは格段にプレーできるようになって、ここから本当の自分の電動車椅子サッカーライフがスタートしたと言ってもいいぐらいだったんですが、モーターの加熱、バンパーの取付、クラッチガードなどの問題がありました。

エルピダ:そしてエルピダで改造ということになりましたね。

4台目の電動車椅子
インバーケア社のトルク

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エルピダで改造した現在の電動車椅子

野田さん:そうです。周りから「小さくなったんじゃない?」なんて言われましたから、見た目もコンパクトでスッキリして印象が変わったと思います。外出やサッカーに十分威力を発揮する電動車椅子に生まれ変わってくれました。その生みの親、いやブラックジャックかな、エルビダの中村さんには大感謝ですね(笑)。そういえば、あのときもかなり中村さんに連日の作業で無理をしていただいてしまいましたよね。たしか、終わってから体調崩されちゃったんですよね・・・すみませんでした、はい(笑)。できたばかりのエルピダに10回以上は通って、細かい部分をひとつずつ中村さんと試行錯誤して作り上げていきましたが、ユーザーの自分にとってはとて充実した楽しい時間でした。

エルピダ:野田さんにとって、電動車椅子との出会いは本当に大きかったんですね。

野田さん:本当にそうです。自分のQOLも大きく変わりました。電動車椅子を使い始めたことがまず大きな転機。そして、その電動車椅子を使って、電動車椅子サッカーをやれるようになったことも、第2の転機なのかもしれません。一人でも多くの人に、小さいうちから電動車椅子に乗って思い通りに自由に動き回れるようになってほしいし、興味があれば、スポーツを、電動車椅子サッカーを体験してみてほしいですね。電動車椅子は、自分の新たな可能性や欲求を次々に作り出してくれる、ベースとなる存在です。昨年6月にパシフィコ横浜で開催された「ヨコハマ・ヒューマン・テクノランド」というイベントのアトラクションで電動車椅子サッカーをやらせていただきましたが、電動車椅子でサッカーをやるなんて、まさにこういうテクノロジーがない時代には絶対に実現できなかった楽しみだし、今の時代でホントによかったなと思いました(笑)。そして、今後の進歩がどんどん自分たちのQOLの向上に結びついていってほしいと、どん欲に期待しています。

Yokohama Crackers Official Site
http://www.bc.wakwak.com/~crackers/

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