昔々 路端の夜話で おいらが六つか七つの頃だったかな、 およね婆さんから聞いた話だ。 この辺はな、夜な夜な古ぎつねが出て人間に悪さをする そうだ。もしそういう事にぶつかったら、袖で目をかくし 「ナモミだぁー」って大きな声で叫ぶんだ。 そうすれば、不思議や不思議、さあっと消えるそうだよ。 |
ナモミだぁー! と叫んだ。 すると不思議や不思議、たしかに消えた。 昔、およね婆さんから聞いた話がまさにこれだなと思った。 またしばらく歩いた。 するとまた出た... 目の前に立ちふさがった。 同じく黒装束の魔物、目だけ青く光る... 喜兵衛どんはまた袖で目を隠し... ナモミだぁー! と叫んだ。 |