とりもどそう!人間らしい介護と福祉

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報告5月4日杉並住民のつどい

広げよういのちのネットワーク

会場写真  5月4日、杉並区桃井の勤労福祉会館で、430人が参加して、「とりもどそう人間らしい介護と福祉 杉並住民のつどい」が開かれました。伊藤周平さん、土肥徳秀さん、長谷川ひでのりさんによるパネルディスカッションの中で、介護保険制度の問題点がつきだされ、「こんな制度は廃止するしかない」「介護は全額公費負担で」とあらためて確信する集会となりました。
 集会には各地で介護保険に反対する仲間も参加しました。関西からかけつけた高槻市と東大阪市の住民と介護・医療の現場で働く仲間が壇上にあがり、ともに全国に運動を広げていくことを誓いあいました。相模原市議の西村あやこさんも紹介されました。
 区民の切実な訴えの最後に、住民の会の呼びかけ人が、ずらりと壇上にならんで訴えるとともに、「この運動を杉並36町の隅々にまで広げて、都内23区、いや全国にも広げていこう」と呼びかける集会アピールを全参加者で確認しました。

上荻Bさんからの手紙

手紙上荻Bさんからの手紙
 先日は多くの皆様方に暖かく励ましていただいて本当にありがとうございました。おかげさまで、希望を持って前向きにいのちの限り生きたいと思います。

 集会の最初に上荻のBさんからの手紙が紹介されました。Bさんは下半身マヒの一級障害者で、4月1日の介護保険実施以降、介護の自己負担が約40万円にもなりました。再度の要介護認定を申請しましたが、結果は同じ要介護度3。「介護と福祉を要求する杉並住民の会」はこの問題をみんなの共通する問題として、介護の保障を杉並区に交渉しています。
 4月27日には、杉並区との第2回目の交渉が行われました。無理をおして車椅子で参加したBさんとその娘さんが実情を訴えました。
「いま水が必要なのに、これから井戸を掘るから待てと言う、断崖の上に立っているのに、ロープがないと言うのと同じ。どうか答えてください」「制度導入で、母が受けた精神的肉体的な打撃について考えてください」とつきつけました。
 区は言い逃れの回答に終始しました。必死で自宅で自立生活をしようとしているBさんの心を、「施設に入ったら」と言って傷つけたことも謝罪しようとしません。これに何人もの区民が怒りをこめて発言しました。
 「いま老人会で集まっても『介護を受けられないから早く死にたい』と暗い話ばかり。そんなふうにした杉並区は許せない」「政府の役人の話を聞いているようだ。だが、あなたたちは杉並区の公務員です。政府がどう言おうと、法律がどう言おうと、区役所でできることがあるはず」
 こうした追及によって区は「改善について区内全体、関係者の意見を聞き検討する」「Bさんの再々度の申請も受け付ける」と約束しました。
 また非課税世帯への自己負担の軽減制度を申請したのに拒否されたCさんの要求、営利目的の悪徳業者の実態の指摘に「調査します」と答えさせました。車いすの低額払い下げの要求にも、区は言い逃れしようとしましたが、対処を約束させました。

 Bさんは、介護保険の実施以降、その重圧と心労でほとんど外にも出られない状態になっていました。しかし、4月27日の杉並区との交渉に参加され、多くの人に励まされることによって、家族の方も驚かれるぐらい元気を取り戻されました。

老年よ大志をいだけ 

 呼びかけ人 Yさん
 介護保険で「老人は死ね」ってね。困った世の中になったと思わないで世直しをしなくちゃね。老人が先頭に立って「老年よ大志をいだけ!」と。
 この手ね。これは熱い手なんです。決して誰も捨てない手なんです。確かな手なんです。ひとりで困っている人に「みんながいるよ!」そういう手にしなくちゃ。私はその先頭に立ってププーッとラッパを吹きます。

 呼びかけ人 Tさん
 杉並区と交渉を持ちましたが、杉並区の公僕なのに厚生省の役人のような答弁でした。福祉は市町村の責任です。わたしたち杉並の住民は、力を合わせて杉並区と交渉して立派な介護と福祉を実現する会をつくりたいと思います。

 呼びかけ人 Aさん
 介護保険で人間関係が金の関係に変えられている。Bさんを助けられないような杉並ではいけない。Bさんが納得するまで、杉並区との交渉しようと先日の会合で決めました。必要な介護はみんなの力でかちとりましょう。人は商品ではない。いのちの問題なんです。

パネルディスカッション

介護保険はすでに破綻
福寿会在宅総合ケアセンター所長 土肥徳秀さん
 私は、介護保険制度は、初年度から赤字になってしまうと推計しています。厚生省は、施設整備もせず、利用料を高額にして利用抑制した上で、平均利用率を3分の1しか使わないと想定して、予算を組んでいます。保険料を徴収する前から、赤字になってしまうことがわかる保険は世の中にありません。既に破綻しています。みなさんもぜひ知恵を集めて、制度の不備を指摘していきましょう。

福祉の現場はズタズタ
九州大学助教授  伊藤周平さん
 4月4日の新聞に介護保険で悩んでいた90歳の女性が首吊り自殺をしたと報じられました。支える側のケアマネージャも良心的な人は、病気になったり、やめたりしています。現場はズタズタになっています。「医療保険改革の実験」というが既に被害者が出ています。実験材料にされる方はたまったものではありません。わかりにくい制度だからこそ、学習会を重ねてこの危機的状況を知らせていきましょう。

介護保険廃止の奔流を
元東京都議・都政を革新する会代表 長谷川ひでのりさん
 要求する住民の会と杉並区との交渉によって上荻のBさんは生きる意欲を取り戻されました。住民の会のたたかいは、杉並の三十六町から一粒の水滴がわき出て、全国の運動と結びつき、介護保険制度を廃止する奔流になる。そう強く感じます。 いのち、生きるというもっとも大事な権利を団結して実現していく運動を広げるために私は、今度の総選挙で介護保険を争点にたたかいます。

集会アピール

この4月から、介護保険制度がはじまりました。この介護保険は、「介護の社会化」に名をかりた、福祉切り捨ての制度、介護は金で買えというとんでもない制度です。実際に、四月以降、これまで受けてきた介護が受けられないということが、あちこちで起こりはじめています。介護が受けられないということは、いのちが奪われることを意味しています。
 しかし、わたしたちは、こんなものに負けてはいられません。必要な介護を求めることは、あたりまえの権利です。国と行政には、この権利を保障する責任と義務があります。この権利の保障を行政や国に要求し、福祉をとりもどすためには、わたしたちじしんが団結し、行動しなくてはなりません。「介護と福祉を要求する杉並住民の会」とはそのための組織です。

住民の会は、行政に要求するだけでなく、お互いが助け合い、介護や医療の現場で働く人々とも交流し、連携をとりお互いで学びあいながら、地域に網の目のネットワークをつくっていきたいと思います。寝たきりの一人暮らしのお年寄りでも、安心して暮らせるようにしたい、お年寄りが元気に、堂々と胸を張って生きることができるようにしたい。これが、わたしたちの願いです。

この会には、誰でも入れます。もちろん、介護が必要なお年寄りや、その家族の方々が主役ですが、介護は社会全体で支えるものです。ですから、介護や医療の現場で働く労働者のみなさんや、若い人、元気なお年寄りも、協力してやろうという方は、ぜひ参加してください。
 また、「われこそは」と思う方は、ぜひ世話人に加わってください。この運動を杉並36町の隅々にまで広げて、都内23区、いや全国にも広げていこうではありませんか。

また、要望があれば、説明会、懇談会に出向きます。どんなに小さな集まりでもかまいません。家族だけの集まりでも、隣近所の2、3人の集まりでも、仕事の仲間どうしの集まりでもかまいませんから、どんどん申し込んでください。説明に伺います。
                    5月4日

いのちのネットワークへの参加を呼びかけます


 介護保険制度が始まって1ヶ月、介護と福祉を切り捨てる制度のもとで、最近でも介護を担われていた家族が絶望しているという相談が寄せられています。わたしたちはこの制度で殺されることを拒否します。どうすればいいか相談もできずに絶望する人をひとりも出さない運動をつくりましょう。
 

連絡先/杉並区阿佐谷南1−15−1
杉並区役所 都政を革新する会議員控え室
電話/03−5378−2264
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