しばしの休憩を挟み、ここから各個人個人の練習に入る。
現段階での問題点は、役者と演じるキャラクターのギャップ(力量にも関係してくるが)。一刻も早くそれを克服していかなければ先は見えない。短期間に完成していく。(特に、山田、綾、トシ、前田と書かれている。)

その他、現段階での指南

中島(道弘・エスナ/ロブ役)……
「劇中で人を殺しちゃうシーン。重要。すんごい感情で、心全部使ってやる。オーディションで一位の責任になっていかないといけない。やっぱりここで、選手会長は中島になっていかないといけないと思う。」

明日香(大貫・マリア/若子役)……「若子は明日香にあっているはず。すごい純粋な子。マリアは難しい。映画を観て勉強して欲しい。」

金子(亮介・マイク役)
美和(巻生・マイラ役)……
「マイクとマイラは二回目だけど、後は心の込め方。楽だと言うことで油断しちゃうとダメ。」

小野(誉士・ジム役)……「小野はあれだな、(この段階で役名がまだ決まっていなかった)ジェイコブのところにいたんだよな。ジェイコブ、くそったれジェイコブ。別名・・・・・・・だよな。頭は弱いんだけど純粋な子(この段階で設定も台詞も完全には決まっていなかった)。」

個人稽古を始め、早くも問題が見えて来た。

演技に慣れていない人が作ってしまう傾向にある。エネルギーはあるが、作ってしまう者。自分(のフォームに)に固執して自分を捨てられない者・・・。ここで言う“作ってしまう”とは、役者がその役に対する解釈が浅い時(後々尾を引きずる場合もあるが)などに見られる傾向で、雰囲気で演じてしまうケースの事。当然その役は人間味のある役にはならずに、只のお芝居になってしまう。

提案により、前回同じ役についていた者、その他出番待ちの者などが、問題のある役者達のサポートをしていくことになった。
今日から全てが始まる。しかし先はまだ見えない。


最後に、綾の感想を載せておく。

「みんな昼間のミーティング(があった)のことで、心にスッキリしない何かをずっと引きずった状態のまま、ここの稽古場に来たのではないかと思う。私がそうだった。海音さんが、話の最初で、“ムーンライトの公演の時は、何か不穏な空気が流れる。”と言った時、私はびっくりした。昨日の新人の稽古を見てて、そのあと集合してサジェストを聞いている新人の顔を見て、すごく嫌になった。かなり引いてしまい、見たくもないという気までした。新人なんか入って来ないで欲しいとさえ思ってしまった。この後すぐ、面倒だなぁとも思ってしまった。昨日の事だけではないが、新人の事と言い、今日のミーティングの事と言い、なぜあんな事になってしまったのか。仏と鬼なら、鬼に近いような心の感じがした。」

我々は‘鬼’になる。
しかし、鬼は鬼でもこの‘鬼’では無いことは彼女も知っている。
本番まで2か月を切った。




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