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第十章・演技とは? ここで、海音(内田)氏が自ら演じて手本を見せる。演出を付ける時によく使う方法で、初めのうちは役の身になり台詞を読んでニュアンスを伝えていく程度なのだが、最終手段として実際に自分で動いて示す事でよりイメージを掴んでもらい、自分の演技との違いを発見してもらうのだ。 ここまで進めて、余りにも他の劇団員の存在が見えて来ない、記述が少なすぎて稽古場にいる他の役者達の状況が見えて来ない、という事に気がついた(・・・申し訳ない)。 食事休憩。 ================================ 6:45~ その後、シーンを何度か繰り返す。先の手本があるので、以前よりはそのイメージ(自分の取るべき行動)が掴み易いのだろう、トシに少し変化が見られるようになる。外見的な変化ではなく、内面的な変化というべきか? 感覚を使った演技をしているのだ。しかし、ここでも新たな問題が発生する。この感覚とはつまりトシであり、その感覚を使う事は、善くも悪くも“トシ”そのものが出てしまうのだ。 今、トシの演技に足りないのは、マルスの持っている“使命感”だ。これは、トシが持っていないのではなく、“マルスとしての使命感”が足りないのだ。いや、その使命感が分らないと言った方が適切か?
「それと、今回何でトシを主役にしたか分るか?前の公演で、トシは端役で、演技よりもその他の責任を背負っていた。しかし公演中のトシの顔は男らしい顔をしていた。そして公演後、“自分はこの今の自分からは絶対落とさないでやって行く”って言ったろ?おれはそこに賭けたんだよ。男が一度言ったこと、守って欲しい。」 「おれは今すごく悩んでるよ。これ以上トシに賭けていくのは酷なんだろうか?さっきから自問自答を繰り返している。トシも演技が分んなくってパニックしてるけど、おれも同じだよ。どーすればいいか迷ってるよ。でもな、やるしかないって思ってるよ。トシは、ただただ怯えて心も見えなくなってるだけだろ?それじゃぁ弱すぎるって。演技が出来ないのはまだ良いとして、強くなって来いよ。本当はそんなに弱くないはずだ。トシもおれと同じぐらい弱くて、おれと同じくらい強いはずだ!!」 =============================== ちょっとテンションが良くなって来たところで、稽古を終える。課題としては、トシの演技上での行動が、普段のトシそのものが出てしまう所のポイントを整理してくる、と言う事。 「これからもっともっと厳しくやっていく!!それでもいいな? でも頑張ろう!!楽しくやろう!!・・・まあ楽しいことなんて無いと思うけど。でも、もっと厳しい稽古にしていく。もっと厳しいけど、もっと楽しく明るく!!」 この最後の励ましにも似た激励を受け、皆稽古場を後にした。 |
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