稽古記録【後半部】

はじめまして。ザ・プレイヤーズ・ハウスの佐々木綾です。
コトさんに代わり、私が後半部を務めます。
これは、ひとつの作品を舞台にのせるまでの道のりを綴ったドキュメンタリーで、
『ムーンライト・リハーサル』の“もう一つのストーリー”でもあります。
私の目から見た『ムーンライト』として、皆さんにお届けしたいと思います。
・・・・とは言え、コンピューターをいじるなんて、人さし指でしか出来ない私が
ホームページだなんて、チョットドキドキしております

これまでの流れ〜

『ムーンライト・リハーサル』の稽古が始まり、半月が過ぎようとしていた。・・・・が! しかし、進んでいない!!シーンが全く進んでいない!!ページにすると、なんとたったの2ページ・・・! 2時間の芝居の、初めの五分くらいのものだ!うぉ〜〜〜〜っ!!本当に本当に先が見えない・・・。

シーンは冒頭、劇中劇。爆撃に怯えるマルス(トシ)とマリア(明日香)。
「オレにコーラ投げられるのが恐いようだけど、マルスとマリアに落ちて来るのはコーラじゃない! そんな所にどんな気持ちで住んでいたと思うよ!?」
稽古場にはよくこういう激が飛んでいた。内田さんが演出中キレる時は、なんとなく(うわ〜〜やべ〜〜、もうそろそろ内田さんキレるぞぉぉぉ・・・)というのが空気でわかるのだが、その気配を感じると、隣に座っていたヤス(安田・舞台監督)が、内田さんのコーラのふたを、そーーっと閉めていたらしい。その後、内田さんがキレて、コーラや灰皿が吹っ飛んでいた。
この時の事を内田さんは後々で「(そーーーっとふた閉めてたこと)気付いてたよ。」と笑ってた。という、笑えるような笑えないようなエピソードが残ってしまうくらい、稽古は全く進まないでいた。

この時期、仕事も目に見えて増えてきた。頭の中は公演一色。お客さんに送るDMを作ったのもちょうどこの頃だ。こぼしたら大変なので、ジュースは離れた机に置き、ハジとハジを合わせてチラシを折る・・・。(このホームページを読んでくれている人の手にも、そのDMが届いてたとしたら、なんかうれしい気分だ。)

だけど、これ程までにシーンが進まないなんて・・・。これでこの先、ライト(山田/照明のヤな奴)で時間をとり、私(キャロル・斉藤/女性記者)でつっかえ・・・などとやっていくと・・・・・・。←その先を想像できない程、本当に恐ろしかった。多分、みんなそう想っていたと思う。

流れを変えたい!!

4月5日。午後1時、いつものように稽古場に到着。稽古着に着替え、ストレッチで体をほぐす。だがこの日、いつものようには始まらなかった。全員が集合すると内田さんが、「今から桜を観に行こう。」と言い出した。(はにゃ〜〜??)という感じだった。しかも(うぉーーしっっ! これから稽古だー!)と思っていたから余計だ。だが、内田さんはこう続けた。

「オレは演技と桜は似ていると思う。自分はきれいだ、なんていうのはなくて、ただただエネルギー一杯で咲いている。」

公演稽古が始まってから、演技がうまくいかない・・・進まない・・・で、時間ばかりがずうーーーーーっと、過ぎてきてしまった。その流れをどうにか変えないとだめだった。だから今日は気分一転させるためにも、桜に元気をもらってやっていこう!! ということだ。
稽古場からすぐの砧公園に着くと、目の前に、まるで天国に来たかのような、満開の桜だらけの景色が表れた。平日の昼だというのに、花見の人がうじゃうじゃいてちょっと残念だったけど、その人間たちの顔はみな明るく、陽気だった。

この時の感想をトシ(マルス/アーサー役)は後でこう書いている。
「桜は“大きい”と思った。静かにドーンとそこに立っていた。自分はただ力一杯花を咲かせてるんだ、という“強さ”のようなものを感じた。自分はなんて小さいのだろうと思った。」

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