稽古記録第四回【その2】
(1999/10/09) Up Date

『一難去ってまた一難

『ムーンライトリハーサル』には、ラストに大きな見せ所がある。最後にセットを破壊して戦争で荒廃した町並み再現するのだけど、今回は“巨大な壁の崩壊”という演出プランがあり、ラストの最大の見せ場とされていたのだ。
大きな仕掛けのあるセットの場合、まず美術監督の圭ちゃんが小さな模型を作って持って来て説明をする。小さな発砲スチロールで作られたこのミニチュアは、可動させる部分まで再現されていて小さいながら立派なセットの縮小版になっているのだ。
「へぇ〜・・・今回は2段重ねの壁がぺっちゃんこになる仕掛けか・・・。」
今回と言うのは、実は前回’97年公演の
『ムーンライト』でもラストに大仕掛けがあって、私も実際にその作業を手伝っていたからだ。私はちょうどその年に入ったばっかりの新人で、作業場で右も左も分らずに細かい作業をやっていた。今回はこの大仕掛けの作業メンバーに入っている。周りを見渡せば、その後新人も何人も入ったので結構古株の劇団員となっている。思わず気合いが入ってきた。
ちなみに前
『ムーンライト』では、全長4mを越す巨大な壁が、左右真っ二つに割れる仕掛けだった。劇中のエイハブの台詞、「ジェーンよく見てろ、これが本当のラストシーンだの合図でこの仕掛けの登場なのだが、私はこの時“美術B”役として、実際に舞台に立ち、合図と共にこの壁を可動させ、崩壊させた担当の1人だったのだ!この巨大壁の御開帳には、見ていたお客さんもびっくりしたらしく、セットの裏にいてもその反応が伝わってきて大成功だった。今回もこれが計画通りに行けば凄くなるぞぉ・・・そんな大きなプロジェクトだった。

だが!!

部分部分を手分けして完成させ、それを模型通りに建ててみた時・・・でかいのだ!! これは劇場の大きさに合わせて、予め圭ちゃんがデザインしてあるので、圭ちゃんの頭の中ではある程度イメージしていたのだろうけど、私は初めて見た時、「うわっ!! すげぇ〜!!と思ってしまったのだ。

なおかつ!!

ある程度、劇場で組み立てた時と同じように再現してみたのだが、大きさにも勝る大問題・・・重いのだ!! なるべく軽量化を考えて設計したのだろうけど、実際に作ってみたら予想を(ちびっと)超えてしまったらしく、これには圭ちゃんも思案気味だった。
これが、ただ立っているだけの巨大壁であれば何の問題も無いのだけれど、最後に崩壊するとなると・・・この重さは色々な問題を生むのだ。

まず音。
今回の劇場シアターモリエールは、新宿のど真ん中にある劇場で、1階は店鋪になっている。公演中都合7回大きな音が出ますのでよろしく・・・と言う訳にはいかないのである。公演初日に劇場支配人さんからストップでも入った日には・・・・これは絶対避けなければ!!

次に耐久性。
公演中7回、このセットが壊れては次の回には元に戻り、また壊れるの繰り返し。この重さでは崩壊した時にセット自身の重さで、必ずどこかが本当に壊れてしまう。派手に崩れて、何事も無かった様にまた元に戻る。その為には軽量化はもちろん、細部まできっちり計算して毎回同じように壊れなければいけない必要があるのだ。

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