稽古記録第四回【その4】
(1999/10/09)Up Date

『追い風吹く!!

思いがけない好機がおとずれた!! なんと、ゴールデンウィーク中の作業が出来るようになったのだ!!!(うぉ〜〜!!すごい!!)
話を持ちかけてくれたのは、私たちが借りている倉庫の社長の渡辺さん。毎回毎回、私たちの借りているスペースの、何倍もの作業スペースを提供して頂いたり、重い荷物の搬入にフォークリフトを出してくれたりと、本当にいつもお世話になっている方だ。
渡辺さんから、
「作業の進み具合はどうですか?」と、いつもの様に優しい口調で聞かれ、さすがにこちらも「順調です」とは言い切れずに苦笑いしていると、なんと、「ゴールデンウィーク中ね、私ちょっと顔を出す用事があるので、もし良かったら中で作業をしていてもいいですよ」と言ってくれたのだ本当に、本当にこの申し出には感謝の言葉では言い尽くせない程、私たちは感動した。何よりもお世話になりっぱなしで、その上休日まで倉庫の使用を許可して頂けるなんて・・・・今考えてもこの御好意がなければ作業は終わっていなかっただろう。この場を借りて本当にありがとうございました。

さて、数日増えた作業日を費やして、セットのほぼ8割が完成した。
改良した点は、骨組み自体の軽量化と可動部分の強化。結局蝶つがいの数を倍に増やして、一番負担のかかる部分には、ドア用の大きな蝶つがいを使用した。まあ、あの大きさを考えれば当然かもしれないけど。
崩壊時に発生する音の問題には、セットとセットの接地面に厚手のスポンジをかませて、クッションで音を吸収する方法をとった。それと、崩れる時のスピードを調節するのに太いロープを天上から吊るし、落ち具合を加減するという案が採用された。

そして、再び私たちの前に巨大壁がその姿を表した。
今回は仕上げもほぼ完成に近い状態の、まさに本番用のものだった。長い日数が掛かった分だけ、このセットに特別な思い入れも生まれてくる。
お腹を痛ませて産んだ子供を見ている母親の気分、かな?
とにかく失敗は許されない。明後日はいよいよ劇場入りだ。明日はセットや道具をトラックに積み込む日なので、実質上作業の出来る日は今日が最後だ。
時間は午後を少し越えたところ。もう後戻りはできない。

本番用の担当者が各持ち場に就く。公演当日は、舞台のそでに隠れてしまっているが、都合6人の男がこのセットの仕掛けに携わっている。
皆の呼吸を合わせ、最終実験が開始された!!
「せ〜の
掛け声と共に車輪付きの最下部が動く。蝶つがいで接合された縦柱がそれに合わせて引っ張られ、それぞれが内側に向かって傾く。不安定になった最上部の柱や天板が勢いよく下に落ち、それに伴い天上から本体に渡してあるロープがピンと引っ張られ、重力の法則に少しでも抵抗すべるく落下の加減が手動で調節される・・・・。

いよいよ崩壊寸前!!

ドン!!


・・・・・・・・。それは以前聞いた音とは明らかに違っていた。
瓦礫が崩れる大きな音が倉庫内に響き、セットが完全に崩壊した。接地面に取入れたスポンジクッションが功を奏し、今回は地鳴りもなかった。
実験が成功したのだ!!!
わき上がる歓声とガッツポーズ 直ぐさま各部分のチェックが入る(ここら辺がプロの現場っぽい動き F1のピット・インみたいに手分けして各部分のチェックをしている)。
「大丈夫。問題ないよ」 
再び歓声が上がる。今度は安堵の声に近かった。

数々の試行錯誤を繰り返し、みんなの力で出来上がったセット。プレイヤーズ・ハウスのもう一つの主役と呼ぶに相応しい風格と、我々の愛情をそそいだその姿を前に、何とも言えない感情が込み上げて来る。
その後、本番の練習も予て数回同じように仕掛けを繰り返した。本当に大丈夫!! 何度繰り返しても耐えうるセットが出来上がった。やった!!!


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「さて、じゃあ取り壊すか」
な、何!?
ちょ、ちょっと・・・・どう言う事??? 
実は・・・明日のトラックの搬入の為このままでは当然積み込めないので、各部分部分に分けて持ち込むのだ(予めそのように設計してあります)。せっかく上手くいったのに・・・・また建てた時うまく作動するかな? 私の質問に金ちゃんと山ちゃんは「大丈夫!!」と親指をつき立てて答えた。

続・稽古記録【第四回】・完



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