菩薩銃・マキシマム サードビックバン

 

「うふふ」

 見よ。天空は紅く染まり、再び宇宙の創生の時が訪れる。
 恐れよ。そして称えよ。
 強き者。汝の名は「菩薩眼」

 新宿中央公園。都会の中のオアシスとなるこの場所で、惨劇は訪れた。
「…なんだ…人が…」
 彼の名は黒崎隼人。いやもコスモブラックという名こそ彼にはふさわしい。
 今日も彼は正義と友情のために戦い続けている。
 その彼の目にうつったもの。それは、あまりに無残な仲間の姿であった。

「どうした、コスモイエロー!」
 彼らコスモレンジャーの前に、『本名』という文字はないらしい。
 ともかく、彼は正義の為に戦う同士、コスモイエローこと劉弦月の姿を発見した。
 友情の黒き貴公子が助けずにいられようか。いやない。
「ぼ、ぼ…」
 抱き起こした彼が残した言葉はこれだけだった。
「おい、イエロー、しっかりしろっ!!」
 彼女相手に意識が残っていただけでも、驚異というべきなのだろうが。そんなこと、
コスモブラックが気づくはずもなく。
「わかったぞ、イエロー。お前の仇はこの俺が……! 必ずっ!」


 そのころ。日本列島すべてをその魅力で支配し服従させる、かの女性は。
 何故かまだ新宿公園にいた。
 そのまま桜ヶ丘に行けばいいのに、何が彼女をそうさせなかったのか。

 ――おかしいわ。
 
 彼女の「菩薩センサー」が彼女に対する敵意を感じとったのである。
 レベルは7。かなり高い。

 ――私、何かいけないことでもしたかしら…。

 聖女の名に恥じぬ敬虔さである。
 外見だけは、とりあえず。

 ――思い当たることなんてないのだけれど…。

 菩薩眼は菩薩眼。決してそれ以上でもそれ以下でもない。
 
 ああ皐哉。貴方は今どこにいるの?
 まさか、あのニクイ女と一緒にいるんじゃないでしょうね。
 貴方に限って、それはないはずよね。

 そうして、不幸に自ら身を投げる者がまた一人…。
「おや、美里さん。どうしたんだ、こんなところで」
 彼女の大切な陶酔の時間を奪った者が、颯爽と現れる。
「黒崎くん…」
 菩薩眼は横文字を使わないらしい。
「…漆黒の貴公子、コスモブラックと呼んでくれ」

「――何故?」

 黒崎隼人、初戦敗退。
 しかしヒーローはここでくじけてはならないのである。
「何かあったのか」
「特に…なにというほどのものじゃないんだけれど」
「ああ、それなら早くここを離れた方がいい。さっき、イエローがここで倒れていた。
ひょっとしたら彼を倒した敵がまだ残っている可能性がある」
「まあ…」
「しかし、なんて奴だ…白昼堂々、こんなところでいきなり攻撃をしかけるなんて」
「大変。早く皐哉に知らせないと」
「そうした方がいい。相手はよっぽど自分の力に自信を持つ敵らしい。見つけたら…」

 ――彼だ。
 菩薩眼、キラーアイモード。座標確定

「見つけたら、どうするつもり?」
「当然、友情の漆黒の貴公子の名にかけてこの俺が…」

 ターゲットロックオン。エネルギーフル充填まで12秒。

「本当に、仲間を大事にしてるのね」
「フッ…それは…俺が正義のヒーローだからな」

 カウントダウン開始。10,9,8,7,6…

「うふふ。そんな風に思えるなんて、羨ましいわ」
5,4,3,2,1…


 天使が…裁きの雷をもたらしていく。
 銀河が泣いた。虹が砕けた。
 そして、宇宙が砕けた。
 


 レッド…ピンク…ビックバンって…すげぇな…。
 彼の哀れな涙は、白い光に飲み込まれ、蒸発した。 



 最後に残るのは、天の御使いのごとき、無垢な微笑。


『うふふ』


 


 

裏でホモ話ばかり数時間かけて書いていたのがいいかげん苦痛になったらしく。
だからって、走るのがこれなあたり、四號サンもうダメダメです。
次の犠牲者? そんなの誰にもわからないよ。
この調子で続きます。続けるなと言われてもやる。
「銀河が泣いた。虹が砕けた」の元ネタわかった人がいたら、作者まで。かなり古いです。
なんで主人公が緋勇じゃなくオリジの眞崎皐哉なのかは、最終回で明らかになります。
…たぶん。

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