タンカー重油流出 補償請求上限、6割に  IOPC基金 理事会で承認  Feb.19.1997

島根県隠岐諸島沖で沈没したロシアのタンカー「ナホトカ」の重油流出事故の被害補償を協議する国際油濁補償基金(IOPC)の理事会が18日、本部のあるロンドンで開かれた。理事会はナホトカ事故に対する迅速な対応の必要性を確認、ヤコブソン事務局長(スウェーデン)に補償請求への支払いを開始する権限を付与し、基金の支払い限度を暫定的に補償請求総額の6割に設定する、との事務局長提案を承認した。

IOPC基金筋によると、事務局長は3月末までに緊急性の高い保証について、7,8億円規模の一部仮払いを実施する。

理事会開催は事故後初めてで、19日に決定事項をまとめた文書を採択して終了する。

ヤコブソン事務局長は、事故報告の中で、重油回収、観光、漁業被害などの補償請求額は、現段階で「少なくとも2百億円に達する」と推定。請求総額は将来的に「さらに高額となる」と指摘した。

賠償責任は原則的に船主側にあるが、船主に過失がない場合、 IOPC基金と船主責任保険組合から支払われる保証の上限は約225億円。このうち99%近い約222億4千万円をIOPC基金が負担する。

今回の6割の支払い限度設定は、ナホトカ事故の補償請求額が上限額を超えた場合を想定しての暫定的な予防措置。状況に応じて変更可能で、今年4月の理事会で6割の上限設定が適当かどうかを見直す。


[資料室] [調査日誌] [ご意見・情報交換BBS] [Back]   [Home]