海運事故、処分適切に 総務庁、運輸省に改善勧告 Mar.24.1997

総務庁は24日、運輸省に対し、海上運送の安全対策の改善を勧告する。安全確保のために行っている運輸業者への立入検査が特定の地域に偏っている上、海難事故を起こした業者に検査が実施されない例があることが判明、事故後の行政処分も各地方運輸局によって処分内容にばらつきがあるとも指摘している。総務庁は、事故の大きさなどを踏まえ、適切な検査と行政処分を行うよう求めている。

運行業者への立入検査は、各地方運輸局が対象となる業者を選んで実施している。行政観察結果によると、四国運輸局は93年度から95年度までに旅客船業者70者を検査したが、59社は香川県の業者で、業者数が最も多い愛媛県の業者は7社しか検査を行っていなかった。

鹿児島県の業者は95年5月に1人が死亡、2人が行方不明になる貨物船の衝突事故を起こしたが、九州運輸局はこの業者に対し検査を実施しなかった。中国運輸局も4ヶ月間に4回の海難事故を起こした倉敷市の業者に対し、調査を行っていなかった。

事故を起こした業者に対する行政処分も、各運輸局ごとにばらつきがあることが分かった。東北運輸局は軽傷者21人が発生した事故を起こした業者に「文書指導」をしたが、中部運輸局は重傷者1人、軽傷者35人を出す事故を起こした業者に対し、文書指導よりも軽い「口頭指導」にとどめていた。

総務庁は_事故の大きさなどを踏まえ、検査を重点的に実施する_事故の大きさや累犯性などを考慮した処分基準を作成し、適切な行政処分を行う_などを求めている。

 


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